怪物のレビュー・感想・評価
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見終わった後、いろいろ考えた。
誰が怪物か
同じ時系列を3回、別々の視点で繰り返しますが、「最後の決闘裁判」と重なりました。
違う点は、「怪物」は視点が変わるたびに見える部分が変わり徐々に真実が明らかになっていくものだが、「最後の決闘裁判は」視点が変わると見える部分が変わるのと同時に同じ事実でも解釈も変わるということ。
怪物もなかなか良かった。
序盤はかなりドキドキさせられました。
特に、進路相談室に母親が入るとみなとがいなくて、戸が開いているシーン。
上から落ちてくるんじゃないかと思いました。
誰が怪物なのか?と考えながら見てましたが、みんな怪物ということですね。
「怪物だ〜れだ?!」
まさに観た後の感想そのものです。
上中下編に分かれる展開の上編、母親(安藤サクラさん)目線の流れは謎ばかりで、中編 ホリ先生(瑛太さん)目線では謎解きであり上編で思ったよりもキチンとした先生なんだと思い直させてくれてホッとしました。母親目線では『友罪』の瑛太さんを彷彿とさせる不気味さでしたが、恋人(高畑充希さん)とのやりとりや謝罪中に飴をなめるあたりはやはり??の感覚が残ります。
下編は観る人それぞれが考えてください!的な突き放し方(?)で最後まで目が離せない作品でした。
それにしてもやはり安藤サクラさん田中裕子さん恐ろしい役者さんたちですね。でもこの2人に勝るとも劣らぬ主人公の子供たち2人の素晴らしい演技に感動です。十数年前『誰も知らない』の時、やはり是枝監督がカンヌ映画祭で発掘した柳楽優弥さんみたいですね。
色々な命題を扱った作品で鑑賞しがいがありますが野党が言い換えた『ジェンダーアイデンティティ』でしたっけ?難しい題材ですね!面白かったですし、考えさせられます。
追伸
途中そしてエンディングの坂本龍一さんの音楽は見事にこの作品として融合してこれも感動しました。ご冥福をお祈りいたします。
怪物だーれだ
是枝監督の作品は最後ハッキリしないものが多く、見るものに委ねられている気がしていたので、そうか、そうだよね。のラストでした。
万引き家族は見始めて、割とすぐ寝てしまって見終わってないので、心配していたけど、終わりまで長すぎる感はなかったし、グイグイと見入ってしまった。
保利先生、かわいそうじゃないですか?濡れ衣。
日本の学校がこんな風だと、海外の人に思われたらやだなぁ。
さすがです。
この手の語り口の映画、最近多い。
複数の視点から見ることにより真実が見えてくるのと同時に、真実が見えなくなってくる。本作はそれをうまく利用して、怪物とは何だったのか?誰だったのか?怪物なんて居なかったんじゃないのか?
誰もが怪物だったのではないか?
、、、と問いかけてきます。
同じ話を何度も見ることになるので下手すると「またかよ、、」と思うのだが本作はテンポもよく上手く変化を付けていて自然に見れた。適度に目線を切り替えて整理し過ぎなかったのが良かったし、それは結末の解釈の幅にもなり読後感が良かった。
脚本、編集、監督、そして役者達の素晴らしさ。
受賞も当然だと思う。
エンドロールで坂本龍一の名前が出た瞬間、グッと来た。
ありがとうございます、そしておめでとう御座います。
みんな怪物
タイトルや予告から怪物当てサスペンス映画かと思ってましたが、内容は想像と違ってました(笑)
それでも期待以上に面白かったです。
安藤サクラは相変わらずの名演技でした。小学生2人も可愛いし、演技も自然だしで引き込まれてしまいました。
ある視点から見たら「怪物」に見えてた人が、別の視点から見ると良い人だったりする。
自分の視点からは、その人の一部分しか見えていない。
同性愛を自覚するシーンはすごくリアルでした。
好きなことを認めたくなくて離れようとしたりとかケンカしたりとか。
何気ない一言で「幸せになれない」と感じたりとか。
あの2人には幸せになってもらいたいなぁ。
自分の中にも「怪物」がいることを自覚して、コントロールして生きていかないといけないと感じました。
面白いけど理解難易度は高め
おすすめできる人
いつもの是枝監督の作品が好きな方には自信を持っておすすめ出来ます!
今作はある出来事を色々な視点から描いていくものとなっているので鑑賞中に先の展開を予想したり、終わった後で話を振り返って考察する方向けです
この映画について一緒に見た人と意見交換するのも面白いと思いますよ!
おすすめできない人
最後には全部分かってすっきりしないとダメな人にはおすすめできません
「怪物だーれだ」のキャッチフレーズの通り様々な怪物候補の人物が出てくるのですが、それを表すため怪物的な人間性を多様に描写しているところを難解に感じてしまうかもしれません
難しくて見終わってもモヤモヤする映画、雰囲気が暗い映画よりも爽快感のあるアクションが好き!という人には微妙です
坂元さんが紡いだダイアログはやはり印象深い
坂元さんの脚本が好きです。人と人との会話の中で生まれる言葉に不思議なパワーや魂が宿っていると感じます。
最終的に少年二人の心に爽やかな風が入り込むようなラストだったのだが、1回観ただけでは消化不良になる点があるかもしれない。2回目3回目を見て、自分の中でゆっくりと各登場人物の心情を噛みしめていくような作品だなと思った。
目に見えていることだけが全てではなく、事実ではなく。自分から見た他者、他者から見た自分、それらはいつもすれ違いが起きている。他の先生からの視点や、星川くんの視点が描かれたとしたら、どんなだったのかなーと思う。湖、火事、廃電車、横たわる金魚、猫…人間以外のものが、どういう意味を投げかけているのか?とかも考え出したらキリがなく、やはり2回目を見なければ。
印象的なセリフを挙げてみる。(映画のシナリオ本、ぜひ欲しい…)
・誰かにしか手に入らない幸せは幸せなんかじゃない、誰にでも手に入る幸せが幸せなのだ
・牛丼は牛に戻って、うんこはお尻に戻る(笑
・親って気使うよね
最近、宮藤官九郎さんがラジオで言っていた。記憶はバケツのようなもの、と。ここ2〜3年の出来事はほぼ覚えていないのに、バケツの底にある昔の記憶はいつまで経っても忘れない。坂元さんは小学校時代の自身の同級生を思い出したそうだが、本当に、子供の頃のこういう記憶って消えないものだ。自分の幼少期を思い出し、切なくなったり、後悔が湧き上がってきた作品でもあった。
子供を怪物だと思い込んでいたのは周りの人達か…
なにが人を怪物たらしめるんだろう?視点によって怪物が変わる。
序盤は、いじめ?→母親が怪物?→先生たちが怪物だ…
と思ったら、息子の湊くんが怪物なのか!?→担任の先生ヤッバ…→あれ?誰も怪物じゃない???
→結論、中村獅童が演じる父親と校長教頭が、根っからの怪物だと思いました。
とかなり揺さぶられました。
そして、伏線がかなり上手く気持ちよかったです。
片方ない靴、水筒の泥、怪物のカード、耳の怪我などなど、見方によって捉え方が変わる面白い伏線でした。特に水筒の泥は感動すらしましたね。
最近の流行りなのか何でもかんでも伏線と叫ぶ人らがいますが、考え直して欲しいなと思いました。
・"人に潜む怪物"が伝播していたと感じました。
最初は湊くんの友達(星川依里)のクズゴミ父親です。
いじめがあり、対応が分からない湊も悩みを抱え、担任の先生にも誤解を産み、そこから母親まで…
・証拠がないことによる恐怖っておそろしいですね。特に担任の先生がガールズバーにいたらしいという噂から先入観を持ってしまい、もう冷静ではなくなっていました。誤解による怪物誕生。
ガールズバーにいたのは、クズ父親でも担任でもなく、前の先生じゃないかなって勝手に思ってました。
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不思議に思ったのは、
なんで飴を食べたのか?
湊のとなりの席の女の子
前の教師はただの教師か
ってとこです。
隣の女の子はたぶん、依里のことが好きなのかなと思いました。初めは湊のことが好きで猫の件を咄嗟に庇ったと思ったのですが、それだと猫の件を密告した理由が分からないので…
あの女の子は、湊が依里をいじめている→本当は仲良し、ってことに1番初めに気付いたんじゃないかな?
飴は流れ的に、周りの先生からの指示かな
前の先生は今の担任の先生との比較で出していたと思うんですが、結局面倒事が嫌なだけの普通の先生だったので、良いキャラでした。
映画館で観るべきかと言われたら、断言は出来ないけど、少なくとも1回は観るべき映画だと思います。
とにかく演技も、ストーリーの早い流れも、決して難しくない理解しやすさも、観客に考える猶予をくれるところも全部満足しました!!!
【追伸】
2回目観ちゃった
個人的には、ラストシーンあの二人は死んでいると思います。
立ち入り禁止表記や天気など全てが二人にとって都合の良い、二人だけの自由な世界に行けたんかなーって
「怪物だ~れだ」のフレーズがまったく異なる響きに聞こえる
いくつかの出来事が、母親・教師・子どもの視点で描かれます。
視点が変われば、知れる情報や見えるものが違い、出来事が異なるものに見えます。
鑑賞後には、トレーラームービーでは不穏にも感じられる「怪物だ~れだ」のフレーズが、まったく異なる響きに聞こえます。
怪物とは、得体のしれないもの、理解できないものを指すのではと思いました。
母親の視点では、子どもに「なぜ?」と問い詰めるとき、母親にとっても子ともが理解不能な怪物に見えたかもしれません。
教師の視点では、自分の言葉を誰も聞き入れてくれないとき、他人のすべてが得体のしれない怪物のように見えたかもしれません。
子どもの視点では、どうやら普通ではないらしい自分のことが、自分でもわからない・説明できない怪物のように感じられるのかもしれません。
子ども視点のシーンがとても印象的です。
ピュアでまっさらで、まだなにも名前を付けられていない感情たち。
子どもたちの眩しく美しい笑顔に切なくなります。
ここを切り取っただけでも素晴らしいジュブナイルストーリーになるでしょう。
ラストはハッピーエンドだと信じます。
最高の役者陣で人間の性を鋭くえぐりまわす圧巻の衝撃作!
安藤サクラさん、永山瑛太さん、田中裕子さん、そしてガラスの様な小学5年の少年達を痛々しくも力強く演じる黒川想矢さんと柊木陽太さん、終始 皆さんの素晴らしい演技に圧倒されるあっという間の2時間でした
特に柊木陽太さんの演技が圧倒的、とても可愛い時もあれば、物凄く不気味でゾクゾクさせられる時もあり、彼の演技にグイグイ引き込まれました
本作は珍しく是枝裕和監督自身の脚本ではなく、伝説の大ヒットドラマ「東京ラブストーリー」や最近では「大豆田とわ子と三人の元夫」の脚本で有名な坂元裕二さんの脚本、それが先日 第76回カンヌ国際映画祭で脚本賞を受賞し世界中に報道され、同じ日本人の活躍をとても誇らしく思い、勇気をもらえました
是枝作品はあまり私には合わない様で、正直 過去作はあまり好きではありませんが、本作は素直に好きだなと思える作品でした
物事は視点を変えると全く違う世界が広がり、常に見えているものが全てではない
人は物事を上辺でしか見れない
人は物事を自分の尺度でしか解釈できない
人は人に言えない秘密を持っている
人は人に知られたくない秘密を持っている
人は自分の醜い所を知っている
人は自分の卑怯な所を知っている
人は自分の弱い所を知っている
人は常に拠り所を求めて生きている
人は・・・人に愛されたいと思って生きている
“怪物だーれだ“ゲームは外から見ている人が自分の本質に迫ると共に冷静な視点で語り、気づかせ、教えてくれるゲーム
孤独で辛い日々を送る少年2人がこのゲームを通じて相手の内面に寄り添い、共鳴し心通わせていくところがとても痛々しく切なくなりました
そういったそれぞれのキャラクターの性を時系列が行ったり来たりしながらの巧みなストーリー展開で描いていく、心揺さぶられる傑作が誕生しました
是枝監督こそが怪物
是枝監督はヒットメーカーと言っていいのだろう。「誰も知らない」のカンヌでの成功体験がその後の是枝チームの制作スタイルを形成し、子どもと家族をモチーフにした(これは彼のメインテーマなのだとは思うが)ヒット作を出し続ける中で海外を含めてトップクラスの役者やスタッフをふんだんに起用できる彼こそが「怪物」になってしまった。「ベイビー・ブロカー」までは許せるが今作はさすがにやり過ぎで中身のないデコレーション過剰な麻雀でいうところの多牌である。坂元裕二の脚本がやり過ぎなのだがこれに脚本賞を与えるカンヌはまともではない。「羅生門」的な登場人物ごとに視点を変える手法はややもすると技巧に溺れて今作のように「あざとさ」のオンパレードとなる。特に最初の母親視点での学校の対応はあきらかに過剰でこんな演出をするのなら安藤サクラの無駄遣いとさえいえる。唯一良かったのは、息子と病院から出てペットボトルを渡して歩きながら一気に学校での出来事を問い詰める長回しシーン。子ども二人の奥の鉄橋を貨物列車が走るシーンや二人が台風の中奥に行く手前で木が倒れるシーンもあざとくて興ざめる。もっとシンプルで切実な映画が観たい。
脚本賞に納得
これはベストマッチだったのかもしれない。是枝的でありながら、どう見ても坂元裕二の脚本。自分が惚れたのはやはりドラマの構造と散りばめられた会話が繋がるところ。役者は永山瑛太がまたまた良かった。ラストの晴天の中の二人。嬉しく悲しいエンディング。
LGBT的な部分については、あんな子供の頃から自覚するのか、と改めて。控えめながら想像以上に決定的に描かれている。インティマシーコーディネーターが導入されたと聞くが、子役たちに充分なケアをしてもらいたいと思った。
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