劇場公開日 2023年6月2日

「人間の行動の奥には何が潜んでいるのか。カンヌ映画祭脚本賞受賞が頷ける。」怪物 M.Joeさんの映画レビュー(感想・評価)

5.0人間の行動の奥には何が潜んでいるのか。カンヌ映画祭脚本賞受賞が頷ける。

2023年6月21日
PCから投稿
鑑賞方法:映画館

カンヌ凱旋記者会見全文から一部引用
坂元裕二脚本の言葉「常に言葉というものに疑いを持ちながら物語を紡いでいます。常に人と人は対話をしながら、そこに誤解が生まれ、争いが生まれ、分断が生まれています。しかし、同時に言葉には、愛情を伝える力がある。その矛盾した存在である言葉と、私たちはどのように付き合っていけばいいのか。」

3部構成で一つのストーリーが別の角度から描かれ、何が本当なのか考えさせられる。自分たちが理解していることは単に見聞きしたことが全てではなく、他人の見方や現に目の前の人の発言や態度もそれが真実なのかは分からない。本人の発言も感情で変わっていく。

それを紡ぎ合わせ、是枝裕和監督と坂元裕二脚本家が傑作を生み出した。カンヌ映画祭での脚本賞受賞も頷ける。

安藤サクラ、永山瑛太、田中裕子らの一見不自然な演技も戸惑うが、中でも二人の同級生の少年の黒川想矢と柊木陽太が素晴らしい。特に女の子かと思わせる柊木陽太の可愛らしさの反面、たくましくもあり知的で行動的な男の子はちょっと現実離れした印象を受けたが、とても良かった。

お勧めの映画である。

<参考>
オフィシャルサイトにある
2023.06.21 カンヌ凱旋記者会見全文を見てほしい。

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M.Joe