「怪物だーれだ、の意味を知った時怖気がたった」怪物 鯨さんの映画レビュー(感想・評価)
怪物だーれだ、の意味を知った時怖気がたった
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怪物。そのタイトルが、この作品をむずかしくしている。
怪物だーれだ、それはこの物語の中にいる怪物を探す言葉じゃない。
それに気づくまでに時間がかかった。
だれが悪なのか、親なのか先生なのか学校という組織なのか、子供なのか。
見ていくうち、ずっと違和感があった。
ミッドサマーを見ていたときに感じたものと同じようなもの。
何かがおかしい。どこがおかしいのかわからない。こわい。
常識のない行動をする人、組織と闘うこと、チャッカマン、泥水の入った水筒、不可解な行動。
一方向から見ていると真実が見えない。
二方向目、三方向目。
誰かの正義、自分の見たいもの。
全てのことに意味があるのに、ここまでしないと見えない。
自分の見えている情報で相手にヒントを出し、"怪物"を当てさせるのはむずかしい。
同じ価値観でないと。
同じ人間ではある、でも、それぞれの立場が違うとこんなにも見えにくくなるのか。
わたしの信じている普通って、なんだろう。
静かにエンドロールが終わった時、真っ先に感じたのは自分に対する怒りだった。
理解があるほうだと思っていた。
"普通じゃない"、ことに。
だけど、今はっきりと深層心理で何も理解していない自分が分かった。
逆転現象が起こっても、状況は何も変わらないことを子どもたちは知っている。
ただ、
おもしろくない、意味がわからない作品と片付けないでほしいと思う。
問題を出されて、考えるのはわたしたち。
答えを出すのは、わたしたち人間。
怪物だーれだ。
あなたから見える怪物はどんな形をしている?
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