「音に惹きつけられる魅力的な認識論的作品。」怪物 コバヤシマルさんの映画レビュー(感想・評価)
音に惹きつけられる魅力的な認識論的作品。
内容、舞台はとある田舎町夜一件の火事🔥の音から物語が始まる。田舎町の小学校に通う少年二人。麦野湊と星川依里を中心に取り巻く人々の三章構成によるサスペンス👥群像劇。印象的な台詞は田中裕子が扮する校長が言う『皆んなが幸せになれる事が幸せって言うんだよ。声に出さない事は楽器に🎷乗せて言うんだ。』この言葉が自身の嘘から自縄自縛になる各々の心情のカタルシスの解放と希望に繋がり非常に印象に残りました。この時の楽器の音🎷が悲鳴にも叫びにも聞こえ心象に訴える良い演出だと感じました。その楽器の音で自殺を思いとどまる保利先生も良かったですし、校長と湊くんの二人も素晴らしい。たまたま学校で聞こえ他、湊の母早織には響かない所など台詞と言うより音が非常に印象深い作品でした。印象的な場面では、年代毎に関わる問題が表に出されて見る人の年齢層を広げてるように感じました。でも来ている人の平均年齢は60歳ぐらいと高めだったのには驚きました。印象的な場面では、最後付近で二人が大雨の秘密基地廃電車内で地鳴りがした時の音が『出発の時間が来たのかな?!』と話す場面。二人の不安な喜びに満ちた表情が非常に心を揺さぶられました。映画を通して終始、音で繋ぐ場面展開には油断ならない緊張感を感じました。火事🔥で始まる時の虫笛(仲間を呼ぶ)の音や吹奏楽器の音や豪雨の音や地鳴りの音。非常に巧みで上手い。最後の『生まれ変わったんだろ?』と言う場面では『生まれ変わってないよ(お互いの性質)』との言葉には感涙ものです。人は自分が見たいものしか見えない。そんなメッセージが産み出す各々の怪物は、この映画の美しい風景を走る二人のラストが、観客に問いを投げ掛けている様に感じます。それはこの作品が監督と脚本家のマリアージュが見事に紡がれたからだと感じます。個人的には、湊くんに恋心を寄せる隣の席の女の子は人知れずボーイズラブ漫画を読んでるのには驚きました。腐女子なのに乙女かよっ!って微妙な心情の機微のやり取りが物語的にはどうでもいいですが好きです。東京03の先輩先生役も校長先生の旦那役も非常に良かった。そんな緻密な人物描写が面白い脚本の要因です。そして銀河鉄道の夜の様な美しい場面も見ものです。過去色々似た様な手法が取られている構成ですが、綿密な構成には驚きます。『羅生門』『カメラを止めるな』など他多数を見ても見劣りしない魅力的な作品です。
返信ありがとうございました。パンフレットに触れてあるものがあるのですね。読んでみたくなりました😌火事を眺め消防作業を頑張れーという早織と、湊のためにもがくように必死になる姿のギャップはさりげなくいい効果をみせていたように感じます。また、隣りの女子の複雑な心境は、猫のシーンで顕著だったと思います。子どもはそれが結びつく先を知らなすぎる点も示唆し、思いがつよい相手への心が共通していたかと。。。
校長の言葉と楽器のシーンで、なんだか心のざわつきが落ち着いたのを思い出します。それまでのロボット的な校長の印象と違い、肩書きや立場を離れ一対一で話をするとき、湊の気持ちによりそう人の心を感じだからだと思います。
コバヤシマルさん、コメントありがとうございます♪
タイトルへのリアクション感謝です!「銀河鉄道の夜」、良い曲ですよね。大好きです😊
「怪物」とはなんなのか、観客一人一人に考えさせるような強烈な脚本でした…。
コメントありがとうございます。本当に因果なものだと感じます。事象には光と影や表裏一体も時に、影や裏の部分が慢性的な渇望を訴える事がありますね。業の深いお互いを思い合うが故の怪物には緻密に組み合わされた歯車を堪能出来ました。本当に裏が表で表が裏なメビウスの輪ですね。
失礼します
共感ポイント&コメントありがとうございました
本当に悲劇好きですね・・・ この意識下の渇望は、皮肉な事に映画をずっと作り続ける原動力にもなる どうしようもないメビウスの輪ですね(苦笑