劇場公開日 2023年6月2日

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「やはりカンヌの脚本賞は伊達じゃない。」怪物 臥龍さんの映画レビュー(感想・評価)

4.5やはりカンヌの脚本賞は伊達じゃない。

2023年6月9日
PCから投稿
鑑賞方法:映画館

さすがにカンヌの脚本賞を取るだけあって、濃密で見応えのある映画でした。

この映画をひと言でまとめるなら『物事は見る立場が違えば見方も変わる』そんなところです。

学校の内外で起きる様々な出来事に対し母親、学級担任、子供という3者の視点からそれぞれストーリーが描かれています。

この映画のタイトルである『怪物』とは関わると面倒で厄介な人、サイコパス的な人を意味しているわけですが、この映画にはそんな怪物と思わしき人物が次々に登場します。

観客は『こいつが怪物か』と見当を付けながら見進めていくわけですが、視点(立場)が変わると『あれ?この人、怪物だと思ってたけど実はまともだな』と何度も見方を覆されます。それがこの映画の肝です。

母親目線で見れば学校が怪物、学校目線で見れば母親や子供が怪物、子供目線で見れば怪物はいない(強いていうならクラスメイト)。

そんな具合に見る立場によって見方が180度変わってしまう。鑑賞後は『結局、怪物は誰だったのか?』と自問自答することになります。

この映画が教えてくれること。それは
『立場が変われば見方も正義も真実も違って見える。ひとつの側面だけを見てすべてを知った気になり、物事の善悪を判断したり、論じたりするのは危険なことだ。もっと多角的な視点で見て物事を判断して欲しい』そんなところでしょうか。

臥龍