「カンヌ脚本賞納得!まちがいなく忘れられない作品となりそう!」怪物 ぴーちぱいさんの映画レビュー(感想・評価)
カンヌ脚本賞納得!まちがいなく忘れられない作品となりそう!
人はみんな、心に刺さったトゲの痛みをこらえながら生きている
子供も、大人も…
そのトゲは、いじめ、虐待、個人の特異性、
強いられる犠牲、愛する人の裏切り…など、
様々な形で作品中で見せつけられる
それでも人は、
大切な者を痛みから救いたいと願う
親が子供を、教師が生徒を、子供が友達を…
しかしこれが、見事に噛み合わない
同じ時間を共有しているのに、抱える痛みと立場が違うので、それぞれ全く違って見える
特に、子供はまだ自分を守る術がない
その時その時を、嘘で切り抜けるしかなく、
それがまた、大人をも傷つける大混乱へとつながっていく…
坂元裕二の脚本が、
このあたりを実にうまく展開させていて、
唸った!
そして、是枝監督は、
ただ「人」を見せる
ストーリーに結論や結末は特になくて、
人間ってみんな、こんな感じだよね
辛いけど、みんな懸命に生きてるよね
そんなふうに優しい眼差しで語りかける
心の痛みにつぶされそうになりながらも、
緑の中を笑いながら駆けてゆく少年たちの
美しいラストシーンに、
坂本龍一のピアノのメロディが重なったとき、
なぜか涙が溢れてきた
この作品はしばらく忘れられそうにない
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