「この映画は初代のゴジラに山崎監督の以前の作品の要素を加えたような作品でした。」ゴジラ-1.0 Push6700さんの映画レビュー(感想・評価)
この映画は初代のゴジラに山崎監督の以前の作品の要素を加えたような作品でした。
『シン・ゴジラ』ではゴジラの動きが制限されていましたが、『ゴジラ-1.0』ではゴジラがかなりアクティブで、それが良かったです。
物語は『ゴジラ』の初代や『シン・ゴジラ』に近い雰囲気で、ゴジラが悪役の怪獣と対決する正義の味方ではなく、人間に敵対する怪物として描かれています。
時代設定は初代よりもやや古いですが、大まかには同じ感じでした。
自衛隊との対決は、着ぐるみ時代や『シン・ゴジラ』などでも見られるものであり、他の怪獣との対決もやり尽くされた印象がありました。
最近のハリウッド版では米軍との戦闘も描かれているため、被らないためには自衛隊が登場する前の終戦直後くらいしかないかもしれません。
もちろん、それ以前にもゴジラはいたかもしれませんが、ゴジラが水爆実験の放射能で爆発的に強くなったという設定があるため、その時代には難しいでしょう。
この時代は山崎監督が得意とする時代であり、『ALWAYS三丁目の夕日』や『永遠の0』、『アルキメデスの大戦』などを手がけているため、十分なノウハウがあり、映像の使いまわしも考えられます。
実際、この映画は初代のゴジラにそれらの要素を加えたような作品でした。
山崎監督の映像は他の監督のものとは異なります。
『シン・ゴジラ』と比較すると、その違いがよく分かります。
『シン・ゴジラ』でゴジラが動かないのは、動かすのが難しく手間がかかるからでしょうが、『ゴジラ-1.0』ではハリウッド映画並みに滑らかな動きで、比べても劣っているとは感じませんでした。
背景も現代ではなく、終戦直後のものであるため、制作は相当難しかったでしょう。
そして、この時期にゴジラ映画に取り組む勇気と自信も素晴らしいと思います。
ハリウッド版ゴジラや『シン・ゴジラ』などが存在するなか、ゴジラ映画に挑戦したい人はあまりいないと考えられます。
山崎監督の作品で一番好きなのは『寄生獣』ですが、あの時も同様の感覚がありました。
ジェームズ・キャメロンが権利を持っていたにもかかわらず取り組まなかったし、その後も他の監督はためらって手がけなかったのに、山崎監督が手を挙げて映像化し、あまりヒットはしなかったものの素晴らしい映画に仕上げました。
ただ、『ゴジラ-1.0』で少し残念だったのはキャストでしょうか?
おそらく山崎監督の他の作品も同様のタイプの俳優を使用していると思いますが、全体的に軽い雰囲気で、この映画には合わないような印象を受けました。
そのため、内容的には重厚なのに感情移入が難しいと感じました。
ハリウッド版ゴジラの渡辺謙さんのような、もう少ししっかりした印象の俳優を起用すれば、物語全体も引き締まり、人間ドラマも盛り上がったのではないかと思います。