劇場公開日 2023年6月9日

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「空想だったSFに手が届くようになりホラーになった」M3GAN ミーガン くりあさんの映画レビュー(感想・評価)

3.0空想だったSFに手が届くようになりホラーになった

2023年6月15日
iPhoneアプリから投稿
鑑賞方法:映画館

単純

萌える

タイトルは別に褒めてるわけではない。

人類と人工知能の意識の齟齬による衝突から始まり相互理解を探るJ.P.ホーガンの『未来の二つの顔』は1979年だ。
30年くらい前には、人間と思考形態が違うことによる人工知能の暴走ネタは、古典であった。

本映画は、コンピュータサイエンスのバックグラウンドを持たないホラー制作者が、昨今の音声認識アシスタントやAI文書画像作成シーンからインスピレーションを得た、車輪の再発明である。

象徴的なのは、ミーガンがケイティに言う最後のセリフだ。
ホラーの怪物のような「人に害なす悪意のある存在」として描かれてしまっている。
ロボット、人工知能は、一貫してぼんやりとした解像度のため、「論理的に正しい選択をしているが、目的以外の被害を度外視している」タイプの(コンピュータの反乱ネタをやるからこその)恐怖がない。

イマジナリーフレンドが引き起こす騒動を描くホラー作品の亜種であり、そう思って見るべきものである。

そしてミーガンは、ソフトウェア的にもハードウェア的にも、玩具会社が一万ドルで売っていいものじゃないんよ。こんなものが作れたら、ハズブロを倒すどころではない、IT産業を支配できる。違う物語になる。

ちょっと事前の期待度が高すぎた。星3。

ただ、まあ、ミーガンの動きはすごくアクチュエーターで動く機械っぽくて良かった。

くりぽん