銀平町シネマブルースのレビュー・感想・評価
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同じ映画館を使ってもこれだけ違う映画にできる
映画館が舞台だったり、映画を作ったりする映画は名作が多い(気がする)。うんうん、わかるよその気持ち、映画ってやっぱりいいよなーなんて思いにさせてくれる。基本的に映画愛や映画への情熱に満ち溢れているだけで嬉しくなるのかもしれない。
映画監督の近藤くんの再起、スカラ座の再建、貧困ビジネスに巻き込まれるホームレスの苦しい現状が描かれる。個人的にはホームレスの佐藤さんが印象に残る。ホームレスになってもあんな感じに映画を愛していけたら幸せだよね。
そしてスカラ座の60周年イベント。映画を上映する合間にいろんなドラマが展開していてとても面白かった。恋が生まれたり生まれなかったり、涙が溢れたり出来事があったり。映画が好きな人が集まって、映画を観て、語らい合うって楽しいに違いない。そしてイベントで上映された映画(映画中映画)が意外と面白かった。ミニシアター系ならあれはあれでありだ。さらに、いろんな日本映画へのオマージュが入っているのもいい。考え過ぎ?いや、あれはそうだと思う。一人でそう思ってニヤニヤするのもアリだ。映画の正しい鑑賞法の一つだ。
城定秀夫が監督だと意識していなかったけど、エンドロールで城定さんの名前を見て、あーやっぱりなと納得。道理でいいなと感じていたはずだ。やはり映画館を舞台にした映画は面白い。同じ映画館を舞台にした大御所が監督した映画とは大違いだ。
最後に。渡辺裕之さんが出演していることに驚いた。亡くなったのは結構前な気がするが、こんな形で再会するとは思わなかった。なかなか渋い演技を見せてくれていただけにもったいないと思ってしまう。エンドロールのR.I.P.の文字も悲しい。
映画への愛
画への愛が詰まった作品であった。
友人で同僚の死をきっかけに、鬱と借金で映画を作れなくなった元監督の男と、不祥事でなにもかも失った小出恵介をかぶせていて、再起する…ではなく、再起する決意を抱くまでを描いていたのがよかった。
物語で完結した「お涙頂戴、とりあえず成功」で終わるのではなく、「これからまた成功できるかどうかわからないけれども、とりあえず一歩踏み出してみるか」という終わり方がしっくりきた。
群像劇のスタイルを取りながら、近藤を軸にしてることはブレないのに城定秀夫監督の技量を感じつつ。
でも実際の主演は、宇野祥平かもしれないと思ったりもして。
「良いなぁ、お前良いよ」
あてがきのような配役に目が行きがちになってしまうのは、自分の心が汚れているせいであろう
役者としての再生、忽然と居なくなった魂、そういったものが生々しくクロスオーバーしているのに、しかしそれを優しく暖かく描いた内容である と同時に、最後は自分の足で突き進む力強さも兼ね備えた冷静さも窺えるラストでもある
ベテラン役者陣のプロ根性が、リアリティを追求している点で非常に敬服する 加齢による肌の衰え等、普通ならばメイクでどうにかなるものを敢えて剥き出しにして役に忠実である 上記に書いたあてがきという面の一つの証明である
告白の天丼シーンはリズミカルで充分愉しませくれた "ポストプロダクション"というお仕事映画としても勉強になる
勿論、脚本のご都合主義は否めないが、これも又"ファンタジー"と捉えると、リアリティさとのバランスを考慮したのかもしれない ストーリーはファンタジー、そして撮影はリアリティ、そんな総合芸術としての結晶が映画なのであろうと・・・
川越スカラ座は、評論家の町山さんが登壇した回の作品を鑑賞して、拙い質問をしたが、答えなど一切言ってくれなかった 面倒な相づちを一言言っただけでスルーされた 今にして思えば、映画というのは間口は広いが、究明なんてのは存在しない 批評するならば勉強しろってことだったんじゃないかなと赤面である 自分にとって鑑賞作品が合う合わないは、自分の心の内、もっと許されるならば家族や自分を知っている他人に吐露する位であろう
なぜ、どうしてと自問自答しながら。
下町の借金まみれの小さな映画館“銀平スカラ座”に流れついた近藤。そこに集うちょっと風変わりな常連達と支配人の梶原。映画の力を借りて近藤が再び生きる目的を掴み取るため進み始める。
映画って一体何なのか。時代はデジタルへ。シネコンに高性能スピーカー。3D。ふっかふっかのシートに次々でる新作フード。そんな中踏ん張り続ける全国の小さな映画館へのエールのような本当に素敵な1本で、佐藤さん同様合唱したい気分になりました。
突然いなくなってしまった大切な人への想いも詰め込んで、拍手の中幕が上がる。めちゃめちゃ渋すぎるキャスティングで特に小出恵介は何かと説得力があった。近藤はこれからも生きていく。自問自答しながら。
そういえば昔、銀のエンゼル観てた時中盤くらいでフィルムが切れて中断したことあったなぁってふと思い出した。帰りに無料券貰ったな。私の映画館の思い出。
何だろうなぁ〜他愛もない話なのだが…。
シケタウドンコ監督の「はらわた工場の夜」のポスターほしい
群像劇だからまあ仕方ないけど、宇野祥平が主役だったような印象を受けた。
宇野祥平❤️
前に座ったお客さんの頭が宇野祥平にそっくりだったせいもあるかも。武蔵野館の座席は列ごとの高さに差が小さいので、大きなお鉢が邪魔だった。
浅田美代子がホームレスを集めてきて生活保護申請代行してピンハネする貧困ビジネスの姐さん役(笑)
現実にはヤ○ザに逆らえないホームレスを蛸部屋に軟禁して、生かさず殺さずで儲ける。
毎日カップ麺1個と納豆ひとパックを与えて、支給金のほとんどを巻き上げるらしいです。住宅手当も自前の寮(バラック)を建ててもぎ取ります。
酒盛りなんかさせてくれません。
ホームレスに戻ったほうが人間的な暮らしができるといった宇野祥平のセリフも決してヤセガマンしたわけじゃありません。
でも、フライヤーで100円頂戴オジサンされたら単館系は大迷惑ですね。
それでも段ボールハウスのカサブランカのポスターには溢れるほどの映画愛。
映画館で○ねて本望だったでしょう。川っぺりムコリッタみたいな感じの○○シーンもありました。
古舘寛治に BIG ISSUE 配りのオジサン役で出てもらいたかった❤️
ロケ地の川越スカラ座の事務所には Swallow(スワロウ)のフライヤーが目立っていました。ヘイリーベネットいいですねぇ。
さとうほなみ(ほないこか)ちょっと地味な役だったけど、あのホラー映画のポスターの写真はうんと可愛く撮れてました。
これぞ邦画の醍醐味であーる
ちょっと期待しすぎたかも
映画館や映画好きなら、心に刺さるものがあるだろうと期待していったので、生活保護ゴロ等は不要だったかも。少年と映画監督を始めたばかりの女性のエピソードは良かったな。あの映画館は結局潰れるだろうなあ。
映画って良いもんだな
地方の小さな映画館で成り行きで働くことになった映画監督志望のフリーターが再び映画監督としての意地を取り戻していく映画です。映画館の映画っていうのはなんだか久しぶりに観る気がします。
今作のメインはスカラ座のイベントで主人公・近藤の作品を上映するという感じで、全体的にはコミカルな感じで進んでいきます。怪しい団体からスカウトされて、その流れから映画館のバイトにたどり着き…と基本的には映画館での生活がメインで描かれます。その間に元妻と娘との話や、館長の過去や、近藤の過去など明かされる話が増えていきます。大きく沈むことなく見れるのも今作の魅力的な部分です。
かなり気になってしまったのが、地方の小さな映画館でそんなにゴミ撒き散らかさんやろ…!ってところですね。会話シーンが単調にならないための配慮だとは思うんですが、いくらなんでもマナーの悪い奴らばっかだなというのが気になって集中できなかったです。城定監督の行きつけはあんな感じだったのかな…。
映画館っていいよなって思える作品でした。宇野さん今年もたくさん出てらして…すげぇや。
鑑賞日 2/17
鑑賞時間 20:45〜22:30
座席 B-3
下町の斜陽の映画館の人間関係を綴っています
コロナ禍の最中、街の映画館の苦境が報道されました。
この作品では、コロナ禍には触れていませんが、低料金の配信サービスが広まった現在、小さな映画館で収益を上げることは、とても難しいことを暗に示していると思いました。
電子書籍が普及し、街の本屋さんが減少して、大書店しか残っていない今を思うと、これから先、ミニ・シアターも同じことになるのではないかと思いました。
この作品は、ホームレスになった家庭持ちだった元映画監督が、年配の映画好きのホームレス、スカラ座というちっぽけな映画館の経営者との出会いにより、経営困難な映画館を再生させる中での人間模様を描写しています。
映画に娯楽のみを求める人には、この作品は向かないと思いますが、「映画って、いいよな。いいもんだろう?」という言葉に共感できる方には、心に刺さると思います。
城定秀雄にゾンビものは撮らすな。
映画.comの、藤原さくらのプロフィール写真、古すぎひん?と言うか、これじゃ別人にしか見えへんw
JKモノじゃないspottedで城定秀雄監督です。キャストにはお馴染みの面子が揃ってます。脚本は、いまおかしんじさん。「つぶれかけの映画館」が舞台と言う、最近では二番煎じ感漂う設定です。人情噺の建て付けも丸出しでスタート。「映画館の再建」って言う陳腐なところに、主人公が立ち直る過程を混ぜ混ぜしながら、人情噺らしく地味に沁みるオチ。
単館作品の典型みたいな映画です。そこが良いです。なんと言っても、全キャストの「はまっる感」の半端ない事。全員、あてがきじゃないかて疑うくらいにドンピシャですもん。コレも城定作品らしいっちゃー、らしいけどw
満たされ過ぎない、ほんわか過ぎない、かと言ってビターでもない締め方が、いまおか流なんかね?
60周年イベントの日の、スカラ座のロビーの長回しとか最高に好きだし、微妙な三の線の中島歩も、ツンな日高七海も、最高でした。と。小出恵介さん、お帰りなさいw
良かった。
期待値通りで。
映画館の時代は終わったなと思わせる映画になってしまった
私が映画を見始めた頃(50年前)映画館は汚くて臭いところでした。映画が終わると飲み食いした跡が座席の周囲に散乱し、当時でも館内は禁煙(上映中だけだったかも知れない)であったのに、平気で上映中に煙草を吸う者が多く、吸い殻が床に散乱していたものです。
この映画の中に出てくる映画館は上映後にゴミが散乱し、「昭和か!」と思ってしまいました。また、居酒屋や食堂で煙草を吸いながら飲食をする場面(20世紀か!)、遺骨を川にまく場面(どの時代か!)がでてきます。
もちろんその時代の設定と言うことであれば理解できるのですが、映画館に並んでいるパンフレットは2021年の映画、これはない
それとも川越の映画館はゴミだらけなのでしょうか、川越の人が怒り出しそうですが。
これは一例ですが、要するに作りが雑、予算もなかったのでしょう
映画の好きな人、映画「館」の好きな人を喜ばせようとして作った、映画に人を呼び戻そうとして作った映画なのだと理解しましたが、逆に「映画の時代、映画館の時代は終わったな」と思わせてしまうような映画になってしまっています。
いろいろと減点対象が多すぎて…。
今年49本目(合計701本目/今月(2023年2月度)15本目)。
映画自体はシンプルで、いわゆるミニシアターを救う話が大筋としてありますが、そのサブ筋として、生活保護受給の話など、明示的には出てきませんが、コロナ事情におけるミニシアターの存続危機や、個人の生活の危険が脅かされている等、今日(コロナ事情以降)の背景が見て取れます。
メインテーマは「ミニシアターの存在意義」(もっと憲法論的な話をすれば、表現の自由と営業の自由、映画館であるからこそ、表現の自由は「そこで」行使される場所、という考え方)になるのですが、そこでサブ筋として出てくる「生活保護の話」がとにかく飛びまくってワケがわからない状況になっていて、しかもエンディングロールに注意書きその他が一切ないので、これは何だかなぁ…というところです。
かつ、この映画、「そこそこ、法律系資格持ちを怒らせる」映画なのですよね…。
さっそく採点いきましょう。
※ 採点上四捨五入した結果ですが、点数上示したほうが良いのではと思えるので、今後は示すようにします。
本映画では4.2/5.0(二捨三入で4.0まで切り下げ)という扱いになります。
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(減点0.2/占有訴権について)
・ 序盤でカバンを勝手にもっていく話とそれを取り戻そうとするところです。
泥棒には不正に盗み出した物の所有権はありませんが、占有権はあります。したがって、それを真の所有者が勝手に取り戻そうとすると、占有訴権の関係で問題になります(かつ、占有訴権に関する裁判では、占有権に関する主張しかできず、所有権に関する主張はできません(民法202条))。
※ (民法202条の2)
占有の訴えについては、本権に関する理由に基づいて裁判をすることができない。
・ 本権(占有権以外。所有権や質権など)に基づいて反訴を起こすことは可能(昭和40.3.4)。
(減点0.4/生活保護の代行の話)
・ まず、生活保護の利用が適正かとうかそういう話は飛ばします。
生活保護の代行ができるのは、行政書士か弁護士の方だけですが、そのあとに生活保護の一部をピンハネしているようなシーンが出てきますので、まともな人がやっているのではなかろうということはわかります(こうした行為は、行政書士法、弁護士法のどちらでも懲戒がきます)。
したがって、無資格者が代行しているということになりますが(リアル日本でも、そういうことは一定数存在します)、生活保護申請の代行を無資格者(行政書士か弁護士以外)が行うとアウトです(そもそも、代行の場合、代行者のところに代行理由として「●●として代行を受けた」などと書くことになりますので、無資格者の代行はそもそも通りません)。
また、こうした不正な受給行為は、結局最終最後は税金から賄われているわけですから、住民監査請求(地方自治法)等の対象になりえます(住民監査請求の相手先はあくまでも行政(いい加減な生活保護申請を通すな(その結果として税金を無駄遣いするな)、という言い分)であり、そうした不正受給をした個人でもそうした不正業者でも「ありません」ので、ここの理解(請求先)には注意が必要)。
(減点0.2/スマホの大量契約の話)
・ 映画内で述べている通り、刑法上問題になることは間違いありませんが、民法上は錯誤(95)、詐欺(96)による取消の対象になるほか、結局これらは、不法行為や不当利得の話になってしまいます。映画のストーリーの展開の関係上(ネタバレ回避)、刑法を持ち出したのでしょうが、民法と刑法は別になりますので、民法上問題視することと刑法上問題視することは「両方が別々に、両方同時に動かせる」のです(刑法上問題視した場合、民事で問題にできなくなるとか、という関係にはなりません)。
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ハルちゃんは意外と悪女
『アルプススタンド〜』以降、名前だけで足を運ぶようになった城定監督。
潰れかけの映画館が舞台ということで、『浜の朝日の嘘つきどもと』を連想しつつ。
本作は館より人へのフォーカスが強いが、映画愛に溢れるところは同じ。
話としては地味だし、善人が多すぎるし、都合もよすぎる。
でも、そこが気になったり不快にはならない。
こんな作品をわざわざ観に行くような人は、絶対にそうはならない、確かな愛とユーモアがある。
撮る側、出る側、映す側、観る側など、様々な立ち位置の人々が一箇所に集まる。
言葉を交わさなくても、そこで通じる空気感がありました。
映写技師や映画好きの中学生など、もっと知りたい人物も多い。
小野莉奈主演のサイドストーリーも観たい。
みなさん書かれているように、終演後のゴミの量は気になりました。
人が死ぬ展開も必要かなぁ、とは思いつつ、それでもあの優しい空間が好きです。
「映画っていいものだ」と思える気持ちは理屈じゃない
「映画っていいものだ」という台詞が何回か出てくるが、具体的な理由が説明されないまま、それだけで皆が納得してしまっているのがいい。「映画がいい」と思える理由は、人それぞれだろうし、理屈はどうあれ、「いいものはいい」のである。
そんな映画愛に溢れた人々を描く本作は、偶然が偶然を呼ぶような「できすぎた話」になっているが、映画を巡る寓話として捉えれば、ご都合主義もあまり気にならない。
何よりも、映画を作る者、映画を上映する者、そして映画を観る者たちが、映画館に一堂に会するクライマックスは、祝祭的な幸福感に溢れていて、見ているだけで楽しくなる。休憩時間のロビーでの長回しのような、いかにも映画的な面白さを感じられる場面が、ちゃんと用意されているのも良い。
「キネマの天地」という映画にも同じようなシーンがあったが、映画館で映画を観ながら死ねたら幸せだろうなぁと思ってしまった。
どこかでみた感があるけれど…
映画館は我らの家
想像通りのほっこり映画。たまにはこういうのもいいね。「バビロン」とは180度も違う作風だけど、どちらも映画愛に溢れている。映画って素晴らしい、映画館って素晴らしい。全国の小さな映画館を廻りたくなりました。
吹越満、宇野祥平の表現の豊かさ。
2人とも、やっぱりいい演技してくれます。城定秀夫監督といまおかしんじ脚本にぴったり。どんな役をやっても、自分の味を出せて作品に色を足す。この2人は、現実でもこうやってミニシアターを救っていると思います。
安っぽくて粗い作りではあるけれど、全体的に暖かくて包み込まれるような優しさがある。人生、なかなか上手くいかないけれど、映画はいつだって自分を肯定してくれるし、映画館はいつだって自分の居場所。嬉しい時も悲しい時も、やっぱり映画が持つ力って偉大。お金が無くても、月2本は見るようにしているんだよね。すごくいいセリフ。
全体的にパンチが無くて、見応えは薄いんだけど、感動しちゃう場面がいくつかある。「過去に追いつかれるな!」は、主人公含め、登場人物にも訴えているようなセリフであり、今を生きる私たちにとっても少しばかり勇気づけられる一言で、ちょっとじーんと来るものがあった。
シンプルながらに、いい作品だった。
城定監督、こんな映画も撮れるんだね。もっと長くして、骨太な群青劇にもできたかも。映画好き!ではなく、映画館好き!映画館はみんなの居場所!
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