ガール・ピクチャー

劇場公開日:2023年4月7日

ガール・ピクチャー

解説・あらすじ

北欧フィンランドを舞台に、人生を揺るがす運命の恋と性の冒険に巡り合う3人のティーンエイジャーを描いた青春映画。

クールでシニカルなミンミと、素直でキュートな親友ロンコ。同じ学校に通う2人は放課後にスムージースタンドでアルバイトしながら、恋愛やセックス、将来への不安や期待についてのおしゃべりを楽しんでいる。そんなある日、恋愛感情を抱いたことのない自分に悩んでいたロンコは、理想の相手との出会いを求めてパーティへ繰り出すことを決意。ロンコの付き添いでパーティに参加したミンミは、大事な試合を前にプレッシャーに押しつぶされそうになっているフィギュアスケーターのエマと急接近する。

ミンミ役に「エデン」のアーム・ミロノフ。2022年・第38回サンダンス映画祭ワールドシネマドラマ部門で観客賞を受賞した。

2022年製作/100分/PG12/フィンランド
原題または英題:Tytot tytot tytot
配給:アンプラグド
劇場公開日:2023年4月7日

スタッフ・キャスト

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(C)2022 Citizen Jane Productions, all rights reserved

映画レビュー

4.0 エマ役リンネア・レイノのフィギュアスケート演技が美麗。国際的な活躍を大いに期待

2023年4月5日
PCから投稿
鑑賞方法:試写会

笑える

楽しい

日本に届いてきたフィンランドの最近の話題と言えば、2019年に34歳で首相になったサンナ・マリン(当時世界で最も若い在職中の国家指導者だという)が、今月2日の総選挙で所属するフィンランド社会民主党が後退した責任を取り辞任することや、マリン首相が在任中に申請したNATOへの加盟が4日に正式決定したことなど。同国の女性首相は3人目だったそうで、男女平等の目安となるジェンダー・ギャップ指数の2021年調査でフィンランドは世界第2位になっており、女性に開かれた社会のイメージがあるが、意外にも同国の映画では若い女性を主体的な主人公として描く作品が少ないとか。

そんなフィンランドで作られた「ガール・ピクチャー」は、比較的最近の映画でいえば「ブックスマート 卒業前夜のパーティーデビュー」のように、ハイティーン世代の登場人物たちが友情をはぐくんで絆を固めたり、性的なことを含む大人の世界に足を踏み入れたりといった要素が中心になっている(「ブックスマート」のプールのシーンで流れていたPerfume Geniusの楽曲「Slip Away」が、「ガール・ピクチャー」のある印象的な場面でも使われている)。登場人物3人のうち、母親をはじめとする家族との関係に問題を抱えるミンミと、フィギュアスケートの欧州選手権出場を目指すエマとの関係性は、パルムドール受賞作「アデル、ブルーは熱い色」やセリーヌ・シアマ監督作「水の中のつぼみ」を想起させもする。

もう一人のキャラクター、ロンコはミンミの親友で、出会いと性的な体験に前向きなのだが、言動が(男性目線からすると)微妙にずれていて、相手と良好な関係をなかなか築けない。ロンコの性的なこと、ミンミの家族とのこと、エマのスケートという3人それぞれの事情に、ロンコとミンミ、そしてミンミとエマという2組の関係性のストーリーがからみ、3度の金曜のパートで綴られていく。

ロンコ役とミンミ役の女優2人は20代前半、エマ役のリンネア・レイノは20代後半で、役の年齢よりも実年齢のほうがかなり上なのだが、それぞれに性的な演技が必要なシーンがある事情を考慮すれば、適切なキャスティングということになるだろう。ちなみに、監督のアッリ・ハーパサロと共同脚本の2人はみな女性で、インティマシー・コーディネーターも参加している。

本作を特別なものにしているのは、何と言ってもリンネア・レイノによるフィギュアスケートの演技だ。あまりの見事さに経験者を起用したのかと思ったが、プレス資料によると3カ月の特訓でものにしたとか。特技にダンスとダウンヒルスキーを挙げていることから、もともと優れた身体能力の持ち主なのだろうが、それにしても数カ月であの表現力は驚異的だ。トリプルルッツのような高難度技のシーンはダブルのアスリートを使っている可能性もあるが、ゆっくりと滑りながらのパフォーマンスは間違いなくレイノ本人。さらに母国語のほかにも、フランス語、イタリア語、英語、スウェーデン語を話せるとか。天から二物も三物も与えられたリンネア・レイノが、サンダンス映画祭で観客賞を受賞した本作をきっかけに、国際的な座組の映画に出演する機会が増えることを大いに期待する。

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高森郁哉

3.0 ガールズフッド溢れる一本

2025年7月23日
Androidアプリから投稿
鑑賞方法:DVD/BD

ミンミとロンッコが仲良しなのは、同じアルバイト先で深めた関係性なのでしょうか。
否、仲良しだったから、同じアルバイト先で働いているのでしょうか。

一方で、なかなか思う通りの演技(フィギアスケート)ができないエマには、ヨーロッパ代表選手権のプレッシャーが、容赦なく彼女を襲うー。

かてて加えて体重管理のためのカロリー制限の故でしょうか、飲み物ひとつ選ぶのにも気を遣わなければならない。
ミンミ・ロンッコも知り合ったときのエマは、本当に、精神的にはボロボロの状態だったことでしょう。

出会うことで、エマはミンミとロンッコという、いわば「心の支え」を得ることができたし、他方のミンミ・ロンッコにしても、無二の親友を新たに得ることができた。

フィンランド語での原題は『Tyt,t tyt,t tyt,t』で、「女の子たち、女の子たち、女の子たち」という意味のようです。

そのタイトルのとおりに、少女から大人の女性へと、今まさに脱皮しようとしている若い女性の心情の揺れ動きを見事に描き切ったという点で、「ガールフッド溢れる作品」ということでは、邦画で例えれば、『私をくいとめて』や『勝手にふるえてろ』、『甘いお酒でうがい』などをものしている大九明子監督などの作風にも親和性がありそうだと、評論子は思いました。

ネットで公開されている監督インタビューによれば、本作を観た多くのレビュアーからは「自分が10代だった頃に観ておきたかった映画」という評が数多く寄せられているとも聞き及びます。
評論子も、まったく、その通りと思います。

充分な佳作だったとも思います。

(追記)
もちろん、本作のストーリーからいえば、決してキーになるような台詞ではないのですけれども。

ミンミとロンッコが働いている軽食スタンド(?)は、いったいどんな店なのでしょうか。
見かけるところ、日本でいえば大型ショッピングセンターの片隅によく出店しているファーストフードのコーナーのようでもありますけれども。

しかし、そこで提供している飲み物の名前が、まったく不可解なものばかりなのは、いったい全体いかなることなのでしょうか。
「呼吸」だの「あなたは完璧」だの「ライムの情熱」だの「緑は最高」だの「ピーチラブ」だの「もちろんメロン」だの、そして「二人でマンゴ」だの…。

前菜は「愛は打ち寄せる波」でした。

いずれにしても(少なくとも日本人には)およそ食欲、購買意欲をそそりそうなネーミングではないとも思われます。

初めて店を訪れて困惑するエマを尻目にミンミは注文の決定を迫るのですけれども。
しかし、この店で注文を速断即決できるのは、余程の常連でもない限り無理だと思ったのは、果たして評論子、独りだったでしょうか。

(追記)
<映画のことば>
生姜ジュースはいかが?
寝たきりの人も飛び起きる味よ。

亡母が好みでなかったからか、子供の頃から評論子の家庭では食卓にあまり乗らなかったようで、長じても評論子はいわゆる香味野菜があまり得手ではなく、お好み焼きや焼きそばに紅しょうがを添えるようになったのも、その実、ここ数年のうちのことでした。

そんな評論子であってみれば、「飛び起きる」どころか、「あの世に直行」かも知れないと思うと、ちょっと可笑(おか)しくて、笑ってしまいました。

(追記)
評論子は、英語が得意という訳ではないのですけれども。それでも乏しい知識を振り絞って考えれば、邦題の『ガール・ピクチャー』は、「少女たちの肖像」くらいの意味合いでしょうか。

女性と女性(少女と少女)の間ではどうなのか、男性の評論子にはよくは分かりかねますけれども。

少なくとも日本では、男女の間では、こんなにも赤裸々に「性」が語られることはないこともあり、「映画は異体験」と常々は考えている評論子には、まさに「異体験」で、そういう意味では「新鮮な一本」でもあったとも思います。

上記のとおり、原題の『Tyt,t tyt, tyt,t』は、フィンランド語で「女の子、女の子、女の子」を意味するそうですけれども。

ときに、日本よりは男女の平等が徹底していると思われるフィンランドの社会でも、この言葉は、女の子らしくない行動について、「女の子なのに」というトーンで使われることが多いと聞きます(監督インタビュー)。

そうすると、本作は、彼(か)の国フィンランドでも、かなり実験的な作品だったのかも知れません。
(飽くまでも、フィンランドを知らない評論子の印象ということで、ここはお納め願います)

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talkie

3.5 【性に奔放で寛容な国フィンランドで生きる3人の少女の物語を描く自由でジェンダークィアな青春映画。三人の少女が、自身の想いを自由を獲得する方法を学んでいく姿が素敵な作品である。】

2024年4月14日
PCから投稿
鑑賞方法:VOD

楽しい

幸せ

■クールで皮肉屋なミンミと、素直なロンコ。
 親友の2人はいつでも恋愛やセックスの不安や期待にまつわるおしゃべりを楽しんでいた。
 出会いを求めてパーティにやってきたロンコ。一方、付き添いで来たミンミは、フィギュアスケーターのエマと急接近する。

◆感想

・東洋の日いづる国に住むオジンサンにとっては、可なりドキドキする作品である。
ー えーっと、私が遅れているんでしょうか? けれどもオイラが高校生時代に付き合っていた女の子から、クン二リングスを指導された経験は、胸を張って言うが全くなし!-

・フィンランドの人達にとっては、若い頃から人生=セックス(変な意味ではない。)と言うのが普通なんだろうな。

■この作品が、沁みるのはミンミと、ロンコの性にまつわる言葉の遣り取りや、ミンミが出会ったフィギアスケートの選手で行き詰まっているエマとの出会いであろうな。
 ミンミが、自分達とは違うフィギアスケートの頂点に立とうとするエマの姿を見て、彼女がルッツが巧く出来ず悩む姿を見て、抱きしめる姿。

<今作は、子供と大人のはざまにいる3人の少女が“こうあるべき自分”を思い描き、つまずき、失敗しながらも誰かと寄り添い、自由を獲得する方法を学んでいく姿が素敵な作品である。>

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NOBU

3.5 フィンランド、オープンだなぁ

2023年7月3日
iPhoneアプリから投稿
鑑賞方法:映画館

笑える

楽しい

同じ学校に通っているミンミとロンコは放課後スムージー店でアルバイトしながら、恋愛、セックス、などを語り合ってた。そんなある日、恋愛がうまくいかないと悩んでいたロンコは、出会いを求めて、ミンミとパーティへ参加することにした。そこで、ミンミは、ジャンプがうまく飛べなくなったフィギュアスケーターのエンマと出会い、お互いを好きになり・・・てな話。

ミンミは母が再婚し愛情に飢えていて、ロンコは頭でっかちでセックスの際注文が多く男が逃げていき、エンマはスケートだけの生活で遊ぶことを知らずミンミと出会い弾けてしまう。10代の少女3人が3様の悩みを持つのが面白い。
年齢設定が定かじゃないが、学校は高校っぽかったが、それにしては酒も飲んでたし、大学生になったばかりくらいの設定なのかな?フィンランドのティーンエージャーってすぐにセックスになるのかな?オープンだなぁ、って思った。
それと、スムージー1杯が7.9ユーロ(1200円以上)とは、高っ!て思った。
精子のマグカップ、理解できなかった。それと、邦題はなんだかピンと来なかった。
ミンミは眉毛が金髪だから一瞬眉毛剃ってるのかという外見で、母の愛に飢えた少女を好演してた。エンマ役のリンネア・レイノは背が高くスタイル抜群で綺麗だった。

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りあの

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