「マリオ愛」ザ・スーパーマリオブラザーズ・ムービー キレンジャーさんの映画レビュー(感想・評価)
マリオ愛
3D吹替版で鑑賞。
まさかの、朝イチ上映回から満席御礼。
公開前に
「世界の興行収入が1000億円突破!」
「記録的大ヒット!」
「でも、全米の評論家は酷評」
みたいな余分な前情報が入って来ていて、なかなかフラットな気分では観させてくれない。
ただ、観てみて「なるほど」と思う部分も多かった。
ストーリー的な部分やドラマ的な要素もあるにはあるけど、作品の中では「添え物」的な扱い。
とにかく「ゲームをいかに映画にするか」にエネルギーを全フリして作られた感じ。
その分、新旧スーパーマリオ、ドンキーゴング、マリオカート、小ネタを挙げればもっとたくさんのゲームやそのステージ、キャラクターが登場し、彼らが大暴れする。
まさにゲームを楽しむ様に、最後まで一気に連れて行かれる爽快感があった。
作り手の「マリオ愛」がハンパない。
GW中ということもあって、観客のほとんどが小さなお子さん連れのファミリーだったけど、上映終了後、会場のあちこちで拍手が起こった映画は久しぶり。
世代を問わず楽しめる映画だった。
(ここからネタバレ)
ただ、★1つ分マイナスしたのは、クッパがピーチ姫に求婚を迫り、マリオに嫉妬、そして断られたら国を滅ぼすという設定の違和感…というか、雑さ。
個人的には、クッパはもっとハードボイルドに「横暴」で「最凶」な「悪役」でいて欲しいので。
それから、あの最後まで「哲学的な絶望」への欲求を崩さなかったあのキャラクター(「よろずやチコ」「ルマリー」って言うんだ。ギャラクシーに出てたらしいけど、覚えてないな。)、凄くメリハリが効いてて良かったのに、もう一つ活きてなかったのは残念。
そして最後、あの「スター」である。
冒頭から重要なアイテムとして登場していて、当然あれは「無敵状態」の象徴なワケだから、アレを取り合ってラストはその無敵効果でクッパを倒せました!…となると、結局「スターさえあれば良かった」ということになってはしまわないだろうか。(このスター自体、途中の物語にほとんど絡まないのに、結局最後は重要アイテムとして出てくるってのも、ちょっと…)
ドーピングじゃん。
だったら、あのレインボーに輝く最強感を堪能した後、トドメの一撃の直前に無敵効果が切れてピンチが訪れ、もうひとくだりあって、最後は自らの力で・もしくはルイージとの協力で倒す…という方がドラマとしてはカタルシスがあると思うんだがいかがだろうか。
…と書いておきながらナンだけど、そもそも「スーパーマリオブラザーズ」は、そのプレイ時間の大半を「クッパに辿り着く道中の障害をクリア」するために費やすゲームであって、実際、クッパを倒す理由もゲーム上はそれほど重要じゃないワケだから、この映画が「クッパに辿り着くまでが楽しい」時点で、これは『正義』なのかもね。
とにかく、この後は日本でも大ヒットすることになるだろうし、マリオのゲームの楽しさは十分に感じられる作品なので、劇場でご覧いただきたい。