「全てが薄っぺらい」ウィッシュ とんがらしメンさんの映画レビュー(感想・評価)
全てが薄っぺらい
まずは端的に感想。ストーリーには一切期待しない方がいい。ちゃんと話を理解しようとすると色々と理解不能なことに気づいてしまうと思いますので。
まず問いたいのは善悪とはなんぞや。
アーシャ。治安のすこぶるいい国でぬくぬくと温室で育ち夢のためにどんな努力をしたかもさっぱり分からない。自分の親族の夢が叶わないと知るや否や偉大な王にクーデターを始めるヒロイン。結局は全てスターの力。友人を無理やり巻き込み危険に曝す。一体どこに憧れればいいんだい?
マグニフィコ王。辛い過去の経験から必死で努力を重ねて魔法の力を得る。願いが叶わないときの絶望を味わせたくないという思いから国民から願いを預かる。国の治安維持のため危険がない願いのみだが国民の夢を魔法の力で叶えてあげる慈善事業も行う。どこぞの誰かに危機感を与えられるまでは国民の願いは本当に大切に保管していた模様。ナルシストだけど良い人だったみたい。願いを預かる前提の国と知って移住してきた国民達から急に手のひらを返されてかわいそう。オープニングで皆楽しそうに踊ってたんですけどね。最終的に妻に裏切られ全てを奪われる悲劇のヒーロー。
どちらが真の悪役なのかおわかりですね?
色々と設定が無茶苦茶と感じることが多かったし、なんというか話の深さがゼロ。幼稚園児ぐらい向けなのかなと思ったぐらい。中でもマグニフィコ王がアーシャに秘密を漏らしてしまうところ。ポッと出のおそらく初対面の小娘に対して、偉大な王が、、、?不自然さしかないよね。まぁマグニフィコを悪役にさせるための展開なのだろうけどさ、おそらくここがこの作品の癌なんだと思う。
アーシャがマグニフィコ王の秘密を知ることになるのはもっと偶然のことでなくてはいけなかった。もしくは元からマグニフィコ王の弟子として数年過ごしておりだからこそ王から打ち明けられるべきだった。要するにアーシャとマグニフィコのストーリーにもう少しバックボーンが必要。
あと描くべきだったのは夢を預けてどんな悪いことが起きていたのか、ってこと。おそらく騎士の夢を持っていたあの子で表現したのかもしれないが、オープニングで皆楽しそうにしていたし、無理矢理感が強すぎた。要するにこれもバックボーン不足。
ミュージカル映画だから尺が足りないのかもしれないけど、本当に心の底から薄っぺらいストーリーだな、と思いました。