正欲のレビュー・感想・評価
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言いたいことはわかるのだけどこう何というか伝わらない…。
今年389本目(合計1,039本目/今月(2023年11月度)21本目)。
(参考)前期214本目(合計865本目/今月(2023年6月度まで))
11月3週は異様なまでに数が少なく、2週より前の作品の「未視聴の回収すらできる」というラインナップです。
さて、こちらの作品なのですが、「感想が書きにくいなぁ…」というのに大半つきます。
結局「特定のものへのこだわり」という論点や、LGBTQほかの論点があるのだろうということは多くの方がわかるのではと思うのですが、一歩進んで「映画の主義主張は何か」という点がいまいちはっきりしない(というか、実際には存在しない?)のがかなりつらいです。おそらく「性的マイノリティ」問題を「間接的に」描いた結果こうなったのではなかろうか、と思えるし、一応その「特定のものへのこだわり」も理解はしなくはないですが(実際、程度の差はあっても何かへの「こだわり」はあるんでしょう)、結局多くの方が触れているように「一歩進んだその先にある、映画の主義主張」がはっきりしない点などはどうしてもあげられます。
さらに輪をかける事情が、実はこの映画は「ご当地枠」であり、具体的には「広島県福山市」です(広島市ほかはほぼ出ない)。一方で福山という地名は明示的に出るし広島弁ほかもでる一方で、広島文化もほぼ出てこず(お好み焼きすら出てこないという状況)、「ご当地枠」で見るのもつらく(いわゆる「映画に出てくる場所の巡礼巡り」すらできない)、その観点でもかなりきついです。
※ しかもその割に、なぜか協力地に久留米市が出てきたりと無茶苦茶がすごく(広島弁は明確にわかるので広島の成分があることはわかっても、なぜか久留米やら栃木やらなにやら無関係な場所がエンディングロールで次々出てくる)、どう見たらよいかがかなり謎な作品です。
ただ、「多くの方に伝わるように描くと3時間コースになってしまう」のも確かで(この映画自体も2.5時間コース)、時間調整などもした結果こうなったのでは…とも思え、積極的に無茶苦茶というシーンまでもはないといったところです。
採点は以下のようにしています。
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(減点0.2/ラストの警察が出てくるところの逮捕状の読み上げ)
・ この「罪名」は慣用的に使われているのみで正式名称でも何でもないのでややまずいです(読み上げ時には正式名称が必要)。もちろん各都道府県、市町村ほかの条例で「その名称」になっていることはありますが、「法違反」と「条例違反」はそもそも違います。
※ 条例違反に対しても懲役刑を課することはできますが、2年以下という縛りがあります(地方自治法)。
(減点0.2/結局何を述べたいのかがいまいちはっきりとしない)
多くの方が書かれている通りなので省略します。おそらくマイノリティを扱った結果こうなったのではなかろうか、と思えます。
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マジョリティである稲垣検事の方にも不幸があるのが、現代の問題だと思った。
価値観がどんどん多様化するということは、物事の善悪の判断もどんどん変化するということか。
子供が学校に行かずに、ユーチューバーを目指す。ユーチューブを始めた子供はイキイキとして、それを母親も応援する。
検事の父親は、子供の将来への不安、不特定多数の大人と関わる危険から、それに反対する。
そのせいで家族の中が悪くなり、離婚裁判まで行ってしまう。
稲垣検事は正しい事、当たり前の事をしているはずなのに、作品中の誰とも意見が合わずに孤立して、疑問を抱えたまま映画は終わってしまう。
水が好きな人達は捕まった者もいるが、息苦しい世の中に希望を見つけた形で終わった。
どっちが正しいのだろう?どっちが幸せなのだろう?と疑問を投げかける作品だと思う。
どうでもいいけど、今年広島を舞台にした映画が多いのはG7のせいなのかな。
自分が広島県人ですが、夜景の中途半端な街並みがちょっと恥ずかしいですね。
つめたい世の中
誰だって人に言えないことはある。
人それぞれだよね、っていう本当にシンプルな事がどんどん複雑に大袈裟になってきてるような気がする。
普通であることこそ健全だという人。普通になりたいと思いながら生きる人。他人を理解することはとても困難だけど、それでも誰かとなんとか繋がって生きている人。登場人物達は一様に自分の事なんて誰も分かってくれないと思っている。実はここがこの映画の本質であって決して性的嗜好の物語ではない。
エアバッグを外さなくても、ガムテープで隙間を埋めなくても、日々なんとか生きてはいけるし、無理して居なくならなくてもその日は勝手にやって来る。最後の夏月の一言は印象的な言葉で良かったけど、全体的に細かいとこがなんか気になった。とりあえず皿をスプーンでカンッカンッしながら食べるのはやめて欲しいし、子供には学校とか配信うんぬんの前に自分で散らかした物の片付けくらいしっかりさせて欲しい。で、佐々木君がなんで連れて行かれたかもよく分からなかった。
普通じゃないとは
な、なんだろう...。言いたいことは分かるし、この手の映画を見た後は胸にグサッと刺さって何日も考えることなんてざらなのに、全くと言っていいほど心が動かない。体感時間3時間越えの驚異的な居心地の悪さだった。性的マイノリティの人々は常にこんな気持ちなんだよ、と上手いこと片付けようと思えば出来るけど、そうじゃない。演出が淡白過ぎてとても見入れなかった。
稲垣吾郎の役回りがまるで極悪人のように描かれていることがすごく違和感。自分に正直生きているのは彼しかいないし、魅力的な登場人物と言えばこの検事しかいなかったのに、なんでこんな扱いされなきゃならない?この人は言い方に問題があるのであって、本質的にはそこまで変じゃない。そりゃ子どもの今後を考えれば学校に行かせたいし、それほど親しい仲でもない男が家を出入りしているのは誰だって腹立つ。妻の私は分かってますよアピールがマジでムカつく。
自分では理解できない人がこの世には多くいて、彼らのことを除け者扱いするのではなく、そういう人もいるんだと受け止めて尊重することは大切だ。LGBTQや人種、障がい者差別なんてあってはならない。当たり前だ。だが、異性に恋をしたり、結婚して子供を産んだり、父親として母親として生きる人が全体の多くを占めていることだって現実だ。大幅に変更したアカデミー賞の基準やポリコレは、マイノリティの人々を理解しよう、尊重しようとしすぎるがあまり、彼らを間接的に差別することに繋がったり、これまで俳優として生きてきた人が用無しになったりと、悪循環に繋がっている。
以前話題になった男女で分けるトイレの撤廃問題。それは、誰のためにあるのか?私のようなマイノリティに属さない人間は気持ちよく利用することが出来るのか?いや、出来ない。出来たもんじゃない。ようは、ひとつの物差しじゃ全てを測りきれないということだ。稲垣吾郎演じる検事は、法律という物差しで物事を判断している。無情のように思えるかもしれないが、彼のような人間は絶対的に必要だ。犯罪がマイノリティだからと容認されるような世の中になれば、それを利用した事件が横行するに決まっている。それは私のような人間にも、マイノリティの人々にとっても損しかない。全ては不可能なのだ。
ただ、日本の法律や風習、人々の考えは彼らに厳しすぎるというのは100%賛同する。なぜ同性婚が許されていないのか、何度考えようとも理解できない。でも、犯罪を犯罪といえなくなっては世は崩壊してしまうし、検事は決して間違ったことはしていないと思う。だからこそ、この映画は私には響かなかった。なんかこう、すごく違和感。色んな人の意見聞きたいな。
マイノリティに寄り添うが如き傑作
「普通」って何なの?
世間の「普通」という波。
早く結婚して子供を産む。いい学校に行っていい会社に入る。会社に入ったら上手く泳いでいく。
「普通」でなければ生きていけないという呪縛が、いたるところに充満している社会。
朝井リョウの原作は、そんな社会で我がもの顔で闊歩する、高速度なSNSの実態をかなり理屈っぽく語っている。そこに辟易としてしまった。
だが、映像は違った。映像には小説では描けない顔の表情があった。
「普通」って何なの?と思案するガッキーの表情。
居場所がない学校に行く必要はあるの?と思案する親子の表情。
生きるか死ぬかと思案するガッキーの恋人の表情。
社会はそんなものだよと決めつける、不登校児の父親である検事の表情。
愛の行為は苦手だけど愛はほしいと懇願する女子大生の表情。
それぞれにその人なりの表情がある。あたりまえのことがとても新鮮に感じられる瞬間がある。
時折ズームアップされるそれぞれの表情。そこには理屈では測れない人間の感情がある。
世間は、実は感情で支配されていると改めて感じる。
感情の向こうにYouTubeの共感の世界が広がっている。
蛇口を破壊して大量の水を放出させる、「水フェチ」たち。
小説ではついぞ理解できなかった世界が、映像では不思議な解放感で充たされる。
「普通」は測れない。そこを語り続ける映像の使命に酔いしれた。
傑作か?問題作か?
ありきたり
ひとりひとりが、自分の嗜好性の孤立感に悩んでる。
ただ悩んでる。
ガッキーは職場や親からのよくある普通の結婚みたいな言葉で傷つく
あまりにありきたり。
しかもガッキーと磯村くんは高校時代からの知り合いで互いの秘密を共有している。
う~~ん。
孤独じゃないじゃん
秘密を共有しているので絡み方も他があってよかったかも。
孤独感がパターンなので、途中で眠ってしまった。
今まできれいな役しかやっていないガッキーの新しい表情がまあよかったかな。
でも2時間は長すぎる。
それから二人の疑似的セックスシーンは、体位すら知らないというのは、嘘くさい。映画やテレビにあふれてる。見てないはずがない。
むしろ見てるからこそ、そうではない自分に違和感を感じているはず。
吾郎の家庭のすれ違いと対立はもっと見たかった。
タイトルに反する
境界線
朝井さんの原作を読み深く考えさせられたテーマ。まさかこんなに早く映画化するとは。
期待とあの濃密な内容をどんな風に映像化するのかーという不安で鑑賞。
日常生活にある何でもないようなモノが誰かの心をくすぐるモノになることは、趣味や推しの世界でごく当たり前のこと。
ただそれが性の対象になると膨らみ過ぎる疑問と拒否感が湧くのが正直な気持ち。けど、それはあちら側の人も同じように感じていることが痛いほど伝わって来た。それだけに、”ダイバーシティー”という言葉でくくられる概念に不甲斐なさを感じる。それがモヤモヤの正体なんだろう。
多様な価値観を受け入れるか排除するのかそのボーダーラインがどこなのか。時代の変化を大きく感じる。
鑑賞中に膨らみ続ける戸惑いに対して、俳優さんたちの演技が気持ちを離れないようにしてくれた。
稲垣吾郎さんのいい塩梅のお父さん/夫像。皮肉なまでにパートナーとの関係性の対比が現実味をゆるぎなくさせてくれた。もっと俳優さんとしての活動が見たい。
新垣結衣さんの見たことのない表情に驚き。一見の価値あり!この役を引き受けた経緯をお聞きしたい。磯村勇人さん、何でもできますと宣言された気持ち。
山田真歩さん、渡辺大知さん、徳永えりさん、好きです。白鳥玉季さん、お姉さんになって素敵です。これからも楽しみ。
岸監督の次回作も楽しみに待っています。
理解
意外と「それって趣味じゃないの?」「水フェチなんて他人に言っても大丈夫だよ」という声があって驚いた。
それはあくまでも、そうじゃない人だから言える意見なのではないか。
きっと人による。趣味の人もいるし、他人に言える人もいるだろう。でもその逆もいて、人の数だけ形はあるということ。加えて、その人が持つ性格もあること。
理解というのは、なんだろう。結局、解り合える人同士でしか成り立たない気がする。考えが違う人を突っぱねるわけでもなくて、受け入れることは出来ても理解はお互いの努力なくしてはない気がするから。でもそれでいいとも思う。
ずっとどんよりしている作品だけど、この題材では派手なことが起こっても違和感だからいいんじゃないかな。指輪のシーン好きだったし。擬態して生きていこうな、と思ったし。
「地球に留学している」、「明日生きたいと思ってる人~」の台詞にも苦しくなったと同時に、フィクションだけど同じように考える人がいるんだなと思えたからよかった。そんな風に考える人たちが、一人じゃないといいなと思いました。
理解できなくても、排除はしないようにしなければ
二人がベットの上で模擬的にポーズを取ってみて、どんな感じなのか…、理解してみようとするシーン。
「ああ、自分は、この人たちのこと少しはわかってると思っていたけど…違った…」と、それまでの“溝”がいっきに深く大きくなった。
「SDGs、多様性」が過剰に、免罪符のように、まかり通っているけど…、
理解できなくても、排除はしないようにしなければ…。
しかし、磯村勇斗君は、ホントすごい。
(「ひよっこ」、「恋は雨上がりのように」、「ヤクザと家族」、「前科者」、「PLAN 75」、「さかなのこ」、「移動辞令は音楽隊」、「「ビリーバーズ」、「月」……。そうそう、ジルベールも!(「きのう何食べた」)。
観るたびに、「推し」俳優さんになっていっています。
人それぞれの生きづらさ
出てくる人たちの生きづらさの描写が生々しくて胸が痛くなりました。私自身も普通になりたいのになれないことに悩みがちなのですが、案外そういう人は世の中にたくさんいて、それを隠しながら生きているのかもしれないなと思わされました。なんとなく安心しました。
あと、俳優さんたちの演技が抜群に良かったです。俳優さんそのものが全く出ていなくて、こういう人が街中に本当にいるんじゃないかと思えるほど役になじんでいました。エンドロールで「あの人あの俳優さんだったんだ!」とやっと気づいた感じです。
人それぞれ好みは分かれると思いますが、私は好きな映画でした。
(Ab)normal Desire
朝井リョウの作品が好きなので本作も公開前から楽しみにしていました。
登場人物のもつ性的嗜好や欲を各々のストーリーで描き段々と交差していきます。
とことん隠の部分を描くけれど、どこか希望も感じる作品でした。同じ性的嗜好を持ち合わせていないので、感情移入までいかないけれど、人それぞれの価値観や視点があるという事は言うまでもなく理解ができます。
なので江戸っ子の様なおじちゃんはポカンとしてしまう内容かもしれません。
寺井(ゴローちゃん)から「普通は〜」って一般常識を諭す言葉も出てきますし、自分も使ってしまいますが、もはやそれはタブーと感じるご時世です。
検事という立場で寺井はそれぞれの登場人物と対峙しますが、そんな寺井にも彼自身の性的嗜好がある事が原作では描かれています。映画で語られなかったのは他の登場人物との対比の為なのかな。
神戸役の東野絢香さん、とても良かったです!
また小説読み返そうと思います。
勝手にカテゴライズするなら理解なんかしなくていい
言葉にするのがとても難しいけど、「苦しさ」に少しだけ共感した。普通の顔して生きている自分にはね‥‥
朝井リョウさんの原作映画好きなので、今回も楽しみにしてました。過去作と違いエンタメ感がほぼなかったけど、これはこれで◯
終わりがここでか‥‥と思ったけど、ハッピーエンドなんか人生にないもんね。
Vaundyの主題歌もエンドロールいい感じ
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