「【”言葉を発しない巨大なMother。 そして監禁された人々。”今作は二転三転四回転半するストーリー展開が秀逸な”人間って怖いなあ”と思う長期間監禁スリラーである。NOBU解釈入ってます・・。】」バーバリアン NOBUさんの映画レビュー(感想・評価)
【”言葉を発しない巨大なMother。 そして監禁された人々。”今作は二転三転四回転半するストーリー展開が秀逸な”人間って怖いなあ”と思う長期間監禁スリラーである。NOBU解釈入ってます・・。】
■映画スタッフの面接のためデトロイトを訪れたテス(ジョージナ・キャンベル)。
深夜に荒れ果てた町にあるAirbnb(民泊予約業者)を介して予約した一軒家の宿泊先に到着すると、ダブルブッキングなのか、すでに見知らぬ男キース(ビル・スカルスガルド)が滞在し、眠そうな顔で現れる。
夜中でもあり、町のホテルは学会があるために満室のようで、テスは仕方なくそこに泊まる。
が、その夜、テスがベッドで寝ていた部屋のドアが開けられ、キースが魘される声で目が覚めてしまう。そして翌日、その家の地下室でテスとキースは謎の扉を見つけるのである。
◆感想<Caution!内容に触れています。>
・序盤の、テスとキースのダブルブッキングと思われる出会いは、キースをビル・スカルスガルドが演じているために、”コイツはまずいんじゃないか・・。”と思いながら観ていると、キースは地下室の先に在る地下道で、現れた裸体の巨大な女に叩きつけられてアッサリ殺される。ウワワワー!
・すると、イキナリ場面が変わり、AJ・ギルブライド(ジャスティン・ロング)と言う俳優らしい男が、ご機嫌で赤い車を運転するシーンに変わる。あれれ、と思っているとAJの携帯が鳴り、彼が共演女優に性的暴行を加えたために訴えられたことを伝える電話が入るのである。
弁護士に相談するも、冷たくあしらわれ、AJは仕方なく賠償金を作るために家を売ることを決断する。で、彼が訪れたのがテスとキースが出会った家なのである。
・そして、AJは家に入るが、テスのパソコンやスーツケースがあり、不審に思った彼は地下室に行き、部屋の大きさを測っている(地下室の面積も家の広さに入れようとする、セコイ男である。)が、そこに再び裸体の巨大な女が現れ、彼は地下道に連れ込まれるのである。そこには、女性が赤子の育て方を示すビデオが延々と流れており、更にテスが閉じこめられており、女が刺し出す哺乳瓶から乳を仕方なく飲むのである。嫌だなあ。
・そして、マタマタシーンは変わる。無表情の男がホームセンターに行き、出産と赤子を育てるための道具を購入している。ラジオからは、レーガン大統領のニュースが流れている。強きアメリカであった時代である事がそれで分かり、男が帰るテスとキースが閉じこめられた家の周囲の家も、真新しいのである。
ご存じの通り、デトロイトは米国経済の凋落を示す、且つて自動車業界で栄えた町である。この辺りはエミネムの「8 Mile」を観ると良く分かる。
で、ここで現在の家に棲む裸体の巨大な女の正体が分かるのである。
・AJは地下道の中で、年老いた男がベッドに寝ている姿を見つけるのである。彼が収集していた多数のビデオ。映像は映されないが、AJがテープを再生した時に女性の悲鳴が聞こえる事と、AJの”アンタ、何をしたんだ!”と言う驚愕の表情から類推出来るのである。セクハラ男のAJが驚くのだから・・。嫌だなあ。
・テスは、警官を呼び助けを求めるが酔っ払いと思われ、相手にされない。この辺りも「ドント・ブリーズ」にこの映画が影響を得ている事が分かるし、更にはデトロイトの貧民街の実情が分かるのである。
・裸体の巨大な女はAJとテスを追って来る。だが、彼女はテスには敵意を持っていない。愚かしきAJはテスを女と共に臨家のビルの屋上から突き落とすのだが、巨大な女はテスを守るように地面に激突して死ぬが、テスは女がクッションになったために、命を取り留めるのである。
■ここまで観て来ると、ビル・スカルスガルドが演じるキースは、地下に棲んでいた、且つてホームセンターで出産や赤子を育てる道具を買っていた陰気な男の息子であり、数々の女性を監禁した可能性があるのでは、と思うのである。でなければ、あんなに魘されないだろうし、裸体の巨大な女に容赦なく叩きつけられて殺される事は、無かったであろう。
彼の荷物が家の中には(見える範囲では)余り無く、自動歯ブラシが彼が普通に使っていたように、何度も映されるショットからも類推出来るのである。
<今作は、二転三転四回転半するストーリー展開が秀逸な、”人間って怖いなあ”と思う長期間監禁スリラーなのである。
偶に使われるジャンプス・ケアに(この作品は、余り、ジャンプスケアに頼っていない所も良いね。)真夜中にピョンピョンと椅子から飛びあがりながら、鑑賞した作品である。あー、オモシロ怖かったなあ・・。>