ヒトラーのための虐殺会議

劇場公開日:

ヒトラーのための虐殺会議

解説

第2次世界大戦時、ナチス政権が1100万人のユダヤ人絶滅政策を決定した「バンゼー会議」の全貌を、アドルフ・アイヒマンが記録した議事録に基づいて映画化。

1942年1月20日正午、ベルリンのバンゼー湖畔に建つ大邸宅にナチス親衛隊と各事務次官が集められ、「ユダヤ人問題の最終的解決」を議題とする会議が開かれた。「最終的解決」はヨーロッパにいるユダヤ人を計画的に抹殺することを意味する。国家保安部代表ラインハルト・ハイドリヒを議長とする高官15名と秘書1名により、移送、強制収容、強制労働、計画的殺害などの方策が異論すら出ることなく淡々と議決され、1100万人ものユダヤ人の運命がたったの90分で決定づけられた。

出席者たちがユダヤ人問題と大量虐殺についてまるでビジネスのように話し合う異様な光景を、ありのままに描き出す。

2022年製作/112分/G/ドイツ
原題または英題:Die Wannseekonferenz
配給:クロックワークス
劇場公開日:2023年1月20日

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(C)2021 Constantin Television GmbH, ZDF

映画レビュー

4.0会議進行の教科書。しかし...

2024年10月28日
スマートフォンから投稿
鑑賞方法:その他

怖い

知的

難しい

かの悪名高いホロコーストの方向性を決定付けたヴァンゼー会議を映画化した本作品。
映画丸々会議シーンという刺さる人には刺さる構成。

内務省、法務省、外務省、ナチ党官房、総督府そして作戦の実行者である親衛隊の官僚たちが集い、お役所にありがちな縄張り争いや負担の押し付け合いを交えつつ、極めて理性的に「ユダヤ人問題の最終的解決」のための計画を話し合う。

会議の中身はえげつないの一言に尽きるが、美しい湖畔のほとりの別荘で、音楽もなしに淡々と会議が進む様は謎の美しさすら漂う。

具体的なプランを用意して臨むホストの親衛隊、それぞれの立場や状況からさまざまな意見を出す官僚たち。席次を気にし、ブレイクタイムを用意し、反対派の人物には個別に諭す。
会議の議題に関して言えば、許されるべきものではないが、壮大なプロジェクトを前にして、それをいかに実行に移すかを真面目に議論する官僚たちの姿は社会人にとって、どこか胸が熱くなる瞬間があるのではないだろうか。

それでも「ユダヤ人問題の最終的解決こそが正義である」という命題に誰ひとり疑問を持たない空間には、人種ヘイトを行動規範とするナチズムの恐ろしさを否が応でも感じさせられる。そして、「仕事だから」と私たちもこうなる可能性が常にあることに背筋が凍る思いがする。

淡々と進む映画だが、あまりにも重い、考えさせられる2時間。個人的にオススメの一作である。
唯一不満点を挙げるとすれば、親衛隊のラインハルト=ハイドリヒを演じる役者が史実のハイドリヒにあまり似てないこと...くらい。

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山本龍彦

4.0全体主義の恐怖

2024年10月22日
PCから投稿
鑑賞方法:VOD

怖い

難しい

1942年1月20日、ナチス側によるユダヤ人問題について話し合ったバンゼー会議の記録。

案の定、『12人の怒れる男(2008)』とはいかないですね。ヒトラーを総統とするゲシュタポ主導の会議でした。同意を求める方法も全体主義らしい。会議は淡々と進み、費用や輸送などの具体的な数字が生々しく、反論する文民側の根拠も正当性がある。それに文民側はいつの間にか総統の面目に議題をすり替えてるのもいい切り口。それでも…。

第一次の屈辱を味わったドイツの実行力と即決力は恐ろしいものを感じますね。たとえ、この結末が知っていても実行するかも知れないほどの憎悪と熱量と絶対性がある。戦争は始まってしまったら誰にも止められないと理解できた作品でした。

どこか、スター・ウォーズの帝国軍会議にも似ている。

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澄千代

3.5処刑方法効率会議の残酷さ

2024年9月7日
PCから投稿
鑑賞方法:VOD

悲しい

怖い

知的

休みの日にたくさんの映画の中からなんでこの映画選んじゃったかな。
惨殺の仕方をいかに効率よく処刑側の兵士がなるべく心を痛めないように行うかの会議。
重いし辛いよ。
でも、たまにこういう映画も観らんといかんのやろな。

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キブン

4.0ハンナ・アーレントは、「ヒトラーやヒムラーからの命令を実行しただけ...

2024年8月28日
Androidアプリから投稿

ハンナ・アーレントは、「ヒトラーやヒムラーからの命令を実行しただけ」と繰り返すアイヒマンを「全体主義」「凡庸な悪」「思考停止」と言った。確かに無知の穴は、今日もいたるところに開いている。だが、本作を観るとその表現だけでは少し物足りない。

アウシュビッツでは、ナチスによって「ユダヤ人」が虐殺された以上のことが、ユダヤ人であるというだけで殺された「個人」に対して行なわれていた。歴史がそれを「ユダヤ人の虐殺」としてしか扱わないのなら、人々の記憶が忘却された頃、また人類はナチスと同じところに行き着くかもしれない。

あらゆる抑圧の犠牲者たちの無数の幽霊の前で、我々はその痕跡をかき集めるしかない。焼き尽くされたユダヤ人の「個人」。その痕跡や灰、声なき記憶を忘却してしまう世界なら、どんな正義も、どんな法律も在りえないということだ。

もしも私がタイムスリップして、この日のこの会議の16人目の参加者になったらどうするだろう、と想像しながら鑑賞していた。

〝十二人の怒れる男〟みたいに、最初は私一人が異を唱えるが徐々に賛同者が増える…なんてことは絶対無理だろう。「なんだお前!」って言われて銃殺されておしまいだよね。

それでも黙ってるわけにはいかないじゃん!!

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Raspberry

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