「その怒号は勇気か人間としての矜持か」福田村事件 Growthさんの映画レビュー(感想・評価)
その怒号は勇気か人間としての矜持か
クリックして本文を読む
1923年いまからちょうど100年前
関東大震災の混乱と先の大戦へと向かっていく混沌とした空気の中、行き交う情報に惑わされ生存への不安や恐怖に煽られたとき、集団心理は加速し、群集は暴走する。いまにも破裂しそうなほど大きく膨れ上がった同調圧力に、命を賭してまで立ち向かえるだろうか。試されるのはなんだろうか。黙殺される正義に違和感を覚えるが、なにが正義かわからなくなる。人は人を蔑む。部落出身者は癩病感染者を軍人は農民を農民は朝鮮人を穢多非人はハンセン病患者を政府は社会主義者を。なにかを下を見ていないと恐怖に押しつぶされるかのように。
人間としての矜持はどこにあるのか。
「鮮人やったら殺してもええんか」
その怒号は勇気か人間としての矜持か。
その叫びには心の奥底から共感し震えるほどに同調できた。なによりカッコよかった。その気持ちも、あの場面で声を上げれることも。もちろん置かれてる時代も立場も全く異なるが現代でもその気持ちは大切に持ち、強く生きたいと思えた。
コロナウイルスが広まってまもない頃の世界を思い出すと案外100年前から根本は変わらず問題は地続きのままなのかもしれない。
コメントする