ファミリアのレビュー・感想・評価
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何か惜しい
役所広司は素晴らしい。
でも、なんか惜しいのよ。
説明が長いというか、会話のテンポが悪くて。
比べることや同じようにする必要もないのかもしれないが、外国の映画では1分で済むような会話が5分とかダラダラと。
それと、終盤のマルコスとエリカのマンション屋上でのシーン。
それ要る?そこだけ外国風に濃厚にしてみました的な。
なんだかちぐはぐな感じ。
難民や出稼ぎ(死語?)ブラジル人達が日本で受けてきた理不尽な待遇、仕打ち。
アルジェリアの紛争。人質問題。
解決出来ない問題、いろいろ盛り込み過ぎのようにも感じて。
マルコス達だけがファミリアになっても問題は山積みだからね。
ブラジル期間工問題
人の世は、ほんとに様々な矛盾をかかえております。
トヨタ自動車のホームグラウンド、豊田市が舞台で、自動車工場の製造工、とくに派遣や期間工は今や日系ブラジル人の方や、東南アジアからの技能実習生等の外国人の方々に支えられてることは、周知の通りですが、雇い止めによる外国人期間工の急激な貧困化、とくにリーマン・ショック時の一斉雇い止め問題をチラッと匂わせております。
失業手当をもらえばいいだろう?とか、トヨタだから給料よかっただろう?とか、一回帰国してまた戻ればいいじゃん?とか、雇い止め後にクーリング期間あけてまた雇ってもらえばいいじゃん的な他人事的発想で問題を非人道的に矮小化することもできますが、もし自分が同じ立場ならそんなこと言われたらキレますよという話。
でも、これで製造業に勤める日本人が飯を食わせてもらうというのは、なかなか居心地の悪いハードな問題。
そして雇用促進団地はブラジル人だらけ。かなり不謹慎な表現ですが、わかりやすくいうと銃なしの超リトルシティ・オブ・ゴッド化していくという話です。闇は深ければ深いほど、怖い、悲しいといった人の感情に訴えかけますからドラマティックになるわけです。
日産のある横浜、スズキのある浜松、ホンダやスバルの工場がある群馬や栃木、マツダのある広島、バイクでもいいですが、その他全国各地で少なからずある話と思います。
銃はなくとも、包丁やスコップはあるわけで。
貧困や無意味な外国人差別は犯罪の温床や治安悪化につながりますよ、という単純でつまらない説教で終るならわざわざ映画にしなくてもよいのです。差別はリアルなものは描かれてません。特定の恨みをもった半グレを登場させることで無理やり差別感情を映画全体に漂わせてる感があります。それでも、ドラマを暗く盛り上げるには必要だったと思います。
外国人労働者を同一賃金同一労働でこれから雇うのか?とか話は複雑ででかくなりすぎるので、役所広司と吉沢亮の演技と人気で収めておきましょう、ということでしょう。そして、ブラジル人の役者さんも当たり前だけどリアルで素晴らしい。
今をときめく吉沢亮はここ最近どんだけ映画出てるんでしょうか?このような社会派映画にも出演。お体大丈夫でしょうか?というより、なぜかプラントメーカーに就職して治安の悪い国に勤務。トヨタ自動車がある街で、英語もできて、プラントメーカーみたいなエリート会社に就職できるくらいデキる人なら、地元でよくない?みたいな、野暮な疑問もわきますが、外国人労働者の多い街に生まれ、外国人労働者の貧困や差別をみてきたので、そういう人たちのために働きたかったということでしょう。そう捉えるのが人の道というものでしょう。
それが、そういう純真で素晴らしい人を、何も知らないテロリストが、私利私欲、怨恨晴らし、仇うちに利用するというところから、物語は一気にダーク化します。
役所広司も、息子の吉沢亮に劣らず、ものすごく優しくていい人。でも、昔は手がつけられないワルだったということで、怒りの発露はプロ中のプロだったはず。まさかの不幸続きで、いつ来るかと期待感が募ります。その怒りがいつ爆発するか?というスリルが見物なんですが、暖簾に腕押しというか、なかなかどうして怒りを沸き立たせない。う~ん。いつ怒るの?
それが、さらっと突然優しい素顔のまま殴り込み。なんか、爽やかなやり方。もうちょっと怒りを爆発させて、悪いやつをメタメタにして、観客に待ってました!を言わせてもよかったんじゃないか?
見た目がまんまなので、スコップではなく、『オールド・ボーイ』のチェ・ミンシクばりにハンマーでやってもらえれば盛り上がったはず。
しかし、豊田市はあんなマッドな街なんでしょうか?半グレが幅をきかすというのは、この暴対法の時代にありえないので、そこはかなりファンタジーでした。
役所さん
少し前にハマり役のしこちゃん先生を観てしまったからか、コメディ吉沢亮を観てしまったからか、結婚した相手役とのバランスにしっくりこなかったのは私だけかな。
後半は少し気持ち持ってかれて悔しくて苦しくて辛くて。
役所さん、良かった。
MIYAVIさんはやっぱりこんな役ばかりなのか。
救いの糸は切れない
痛切。
そうとしか言いようのない映画でした。
そんなことがあって欲しくない、起きて欲しくもない、だけど、現実には世界のどこにでもあるし、もしかしたら、あなたの家族に関わるほど身近で起きるかもしれない。
客観的な立場にいたら、自分だってきっとこう言ってます。というか、それしか言えない気がします。
「まずは落ち着いてください」
では、あなたが当事者だったら、どうしますか?
①逆恨みだろうが、なんだろうが、怒りの矛先を見つけて攻撃する(海斗の場合)
②不確かな情報であっても一縷の望みを抱き、自分のできることで何とかなるかもしれないと縋る(誠治の場合)
③絶望して自殺する、もしくは返り討ちで死ぬことを前提の反撃に出る(マルコスの場合)
現実の社会ではどれも難しいし、もし実行できたとしても解決することはほとんどないし、そのことで癒やされることもない。
映画的な決着としては、主人公の犠牲的行動で、一定の救いと希望がもたらされたが、脅しによる証言は裁判の上での信憑は得られないだろうし、犯した罪に見合うほどの懲罰は受けない可能性もある。
なので、誠治のような犠牲的行動も、現実味が薄いし、この映画も決してそのような行動を美化したり、容認しているわけでもない(と思う、たぶん)。
理不尽な出来事がもたらした不幸が、次の理不尽のきっかけ(例えば、被害者側から逆恨みによって加害者側に回る、というようなこと)にならないこと。
そのためには、自分ができる範囲で、誰かに救いの手を差し伸べること。
とここまで書いていたら、中島みゆきさんの『倒木の敗者復活戦』の歌詞の一部を思い出しました。
望みの糸は切れても
救いの糸は切れない
生きていてくれ、という願いは叶わなくても、誰かを救うことで、自分もまた救われることもある。
そういうことだと解釈しています。
展開が気になる傑作
2023年劇場鑑賞1本目。
昨年は302本でした。
さて、記念すべき2023年1本目。
役所広司が出ることぐらいしかしらず、
なんなら今予告でやっている銀河鉄道の父と勘違いしていたくらい。
平穏な幸せそうな家族と、不穏な半グレと移民ブラジル人たちの小競り合いが交互に描かれ、このまま交差しなければいいのになと願わずにはいられませんがまぁそんなわけありませんよね(笑)
佐藤浩市が出演しているのを全く知らなかったので大ファンとしてはめちゃくちゃ儲けものでした。職業を聞いたとき後で助けてくれるんだろうなと安心感もありました。
展開としては「これどっちかだけでよくない!?」というくらい役所広司を中心に二つ大事件が起こるので映画としては緊迫感が続いて本当に面白かったです。
落とし所も見事で、完全ハッピーエンドというわけではありませんが、ファミリアというタイトルに納得の作品でした。
それにしてもMIYAVIはこんな役ばっかりだなぁ。
キャッチコピーで感動が半減
和製『グラン・トリノ』。
名優ぞろいの演技は文句なしだし、3人の「父親」を対比で見せる脚本はそれなりに上手かったが、なんかこう「泣けよ」「感動しろ」みたいな押しつけがましさを感じちゃったのは、ポスターに書かれた「感動の名作」ってキャッチコピーのせいかな?
(感動は自らの内から湧くもので、他人が「感動できます」「感動しろ」と心の中に手を突っ込むようなものではないからね)
(1/11情報追記) 2つの見方ができる映画/(一応)2023年版「マイスモールランド」?
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★ 1/11追記は一番下にあります。
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今年7本目(合計660本目/今月(2023年1月度)7本目)。
※ この前に「噓八百なにわ夢の陣」をみたのですが、この映画にレビュー要素が見当たらないので省略します(ネタ枠とは言わないにせよ、お正月のドタバタ枠?)。
こちらの映画です。
大きく分けて2つの見方ができると思います。一つは、「守りたかったものが守れなかった、多くの人たちの葛藤」という論点、そしてもう1つは当然のごとく「在日ブラジル人と日本とのかかわり」という論点です。
行政書士の資格持ちで、常日頃から外国人問題に興味関心を持っている立場としては後者の立場でみました。特集などからもその見方も一定数想定されているように思えます。
以下では「その後者の立場にたった場合」の採点になります。
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(減点0.3/在日ブラジル人と日本の関係の描写がどうしても不十分)
・ この映画、実は「どこが舞台か」は明確に出ません(ただ、いくつかの描写から、愛知県であることはわかります)。そして、在日ブラジル人は日本では、愛知・静岡で6割を占めます(逆に、日本の首都や第二の首都である東京・大阪ではマイナー)。
以下、映画とかさなる点もありますが、在日ブラジルと日本のかかわりについて知る範囲、調べた範囲で書いておきます(映画内には大半出てきません)
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(前提)
・ 在日ブラジル(2世、3世…)については、先行する「ブラジル移民」という日本の先行した事業がもとになってできた事情があるため、日本では扱いが特別です。
なお、南米の国の中で、ブラジルだけが「ポルトガル語」である(他はスペイン語)点は注意です。
(日本とのかかわり)
・ 上記のように、扱いが特殊という事情がある一方、単純労働で多く従事した経緯があるため、愛知県・静岡県(西部)で全体の6割を占めます(平成30年度データ)。
※ ほか、三重県、岐阜県など。要は「東海地方に集中している」ということです。
このため、国土交通省のガイドライン(交通案内等の言語は、日本語、英語を中心に4言語とし、地域事情を考慮して加えることもできる)から、愛知県や静岡県西部では、現在でも「ポルトガル語」(実際はブラジルポルトガル語)の看板等が見られます。
一方、単純労働で多くの外国人を受け入れた当時(リーマンショックの少し前)までは、日本自体でそもそも「ポルトガル語」の認知度が低く(スペイン語と混同されることもあった)、そもそも論で「道徳・マナー」に関する学習教材が少なく、ゴミ出しマナーや、軽犯罪・微罪と言えるもの(万引きや車荒らしなど)も見られましたが、現在では改善されています(これらが日本では(程度の差はあれ)犯罪だ、という認識差があったし、学習教材も足りなければ、意味不明だったり誤訳等は普通にあり、当事者を混乱させた)。
※ 日本の首都東京や、第二の都市、大阪では在日ブラジル人はほとんど見られなかったという事情も実際存在し(現在も同様)、愛知、静岡という「地方都市」が先だって取り組んだものの、どうしても主要都市とはまだ知見の差があり、いろいろと「必要な手助け」が遅れたのも事実です。
映画内で描かれるようにリーマンショックで多くの単純労働者が解雇されたことは事実で、これにより、子供への日本語教育が遅れて「負の連鎖」を生んだのも事実です。
一方、当時の「日本語教育」は主に、韓国・中国など「漢字文化圏」を想定した作りになっており、「漢字文化圏でない外国人への日本語教育」は試行錯誤でもありました。
このような事情のため、単純労働で生まれた yakin(夜勤)や baito(バイト)などの独特な単語が生まれたほか、日本の労働文化の特徴の「頑張る」(ganbaru)から、ポルトガル語の動詞 gambatear 「頑張る」が逆形成され、そこからポルトガル語の一般的な動詞の活用からこの動詞が一般的に使われるようになるなど、独特のポルトガル語語彙・文法が形成され、これがまた帰国事情にも影響を与えました(そのような語は現地には存在せず、コミュニケーションにも支障をきたす)。
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※ このため、日本で暮らしていく、という前提でひとつ重要になる「日本語の力」を客観的にはかる「日本語能力試験」(便宜上、現在の名称。当時は2級と3級の差がありすぎるとされた4段階だったため、現在は5段階で施行)も、「夜勤」や「遅番」といった「特殊すぎる」語ばかりが優先された当事者にとっては、あまり参考にはなりませんでした(←これらの単語は少なくとも初級で学習するような語とは言えない)。
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(母国とのかかわり)
上記でも書いたように、在日ブラジル人は特殊な事情があるため、帰化条件が比較的緩く設定されています。
しかし、「日本語ができること」と、「契約形態は問わないから(当時はリーマンショックだったので、外国人はおろか日本人も多くの影響を受けた)、300~400万円程度の年収はあるか」も満たすことができなくなり(原則、生活保護を受けていると帰化は許可されない)、一方で上記にも示したように「在日のポルトガル語」が特殊な発展を遂げたこと、さらに、ブラジルの労働需要も日本の事情と一致せず(BRICS成立、ブラジルW杯、大統領選などでバラバラだった)、「帰ることも残ることもできない」という状況になりました。
(時代によっては、国内(ブラジル国内)でさえ雇用の奪い合いになっており、在日ブラジル人はその性質上、日本で労働した経験があるため相当な技術力があるとみなされたため、国民からは「雇用のパイを奪う」と考えられていた)
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…といった、在日韓国、中国の方とは「論点の異なる大きな点」があることは紛れもない事実です。
この観点でいえば「在日ブラジル人とのいろいろなできごと」を扱う映画なのか、というと全然違うし(まったく違うわけではないが、表立っては出ない)、いろいろな見方が可能だろう、というところです。
ただ、個人的には「外国人の人権枠」という趣旨でみたので、こうした点は気になりました。
(減点なし/参考/不動産登記について)
・ 映画の中で、不動産登記書を渡してお金を借りるシーンがありますが、当事者間では有効ですが、第三者に対抗(ここでは、登記の有り無しを主張すること)するためには、登記が必要です(民法177条)。
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★ ここから、1/11追記
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(減点なし/参考/日本人側の「危ない人たち」がブラジル人に抱いていた事情)
・ 「自分の娘が…」という部分です(詳細ネタバレ回避と、被害者加害者の名誉による)。
この事件は、本映画それ自体が「実際の出来事とは関係ありません」とはしますが、実際に同趣旨の事件が起きた事件です(2005年)。このとき、加害者のブラジル人は勝手に帰国しています。
しかし、日本とブラジルには「犯罪人引渡し条約」が当時締結されておらず(現在、2023年でも結ばれている国は少ないです)、結局「現地での刑法で処罰する」(代理処罰という)ことしか期待できなくなりましたが(日本や、日本の被害者を応援する会などは引渡しを要求したり署名を提出したりした)、日本の刑法に時効という概念があるのと同様に、ブラジルもこの事件に対しては時効適用、無罪とした経緯があり、これが一部の被害者を激怒させた、という事情はあります(映画内と違い、ブラジルにいって抗議はされていないようです)。
ただ、「犯罪人引渡条約」というのは、「相手あっての条約」ですから、勝手に強制することは原則できません。また、日本も「過度に」ブラジルに抗議することもできません(内政干渉にあたります)。このような特殊な事情が映画内には見え隠れしています。
「家族」の話のはずが「暴力」の話になってしまっている・・・
日本で半グレの暴力に苦しめられるブラジル人の姿が延々と描かれる一方で、アルジェリアでは、日本人がテロリストの暴力の犠牲になる。
「家族」の話かと思いきや、こんなにも「暴力」に満ちた、陰惨で重たい映画だとは思わなかった。
結局のところ、暴力には暴力で対抗するしかないのだろうが、いくら役所広司でも、半グレ集団のところに単身で乗り込んで行ったら、返り討ちに合うだけに違いない。そう思って見ていると、なるほど、そういうことだったか・・・
老人の、体を張ったケリのつけ方からは、否が応でも「グラン・トリノ」が思い起こされる。移民の子を救うというところも、テーマ的に重なっている。
こうした着地の仕方には、それなりに納得がいくものの、その一方で、あまりにもバイオレンス色が強過ぎて、肝心の「国籍や人種を越えて家族になる」という話が霞んでしまったのは悔やまれる。
絆と生きることと障害を取り除く正義感
完全にファミリーものかとおもったら、凄い重い内容でした。
まず、◯◯によって◯◯と◯◯を失います。
必死に助けようとしましたが、願いかなわず。
自分の息子の年齢と同じくらいのブラジル人青年とブラジル人女性を助けようと役所さん扮する日本人が動きます。(陶芸家)
半ぐれ集団のボスであるミヤビさん演じるこわもての青髪が容赦なくブラジル人青年たちを罠にはめて◯◯◯ていきます。
それを何とかしようと友人の◯◯にお願いして罠にはめようとします。
◯◯に主犯は誰か吐かせて◯◯◯◯◯◯◯に録音します。
そして意を決してアジトに突入します。
さあ、結末はいかに!
是非とも劇場にて鑑賞してください。
思ってた作風とは違った
ファミリアというタイトルだけに他国の方も交えてほっこり温かい話と思いきや内容が結構ハード。
トラブルの発端はブラジル人の1人が風俗店の金を盗んでしまい仲間、家族が半グレ、ヤクザに、暴力、殺し、金を強請られる。
半グレに追われる1人のブラジル人マルコスたまたま逃げ込んだ先が役所広司演じる誠治が住む自宅兼職場の作業場、そこで誠治、吉沢亮演じる学との出会い、そこから始まる話。
それぞれの人にいろんなドラマがあってどの話をつまんで書いていいのか難しくて。
アルジェリアに戻った学とナディアまさかの職場でテロリストの人質になってしまい命を落としてしまう。
こんなストーリーになるとはと想像もしてなかったから驚き!ってのが正直な感想。
人質になる前の話でナディアから学へ赤ちゃんが出来たと報告。そのままの喜びを父誠治へ動画で記録、亡くなった遺品から動画の記録されたタブレットが渡されて誠治が観るんだけど、このシーンは泣けた。
ラストの誠治、半グレによくやった!って感じでスッキリした。
半グレのリーダー海斗(MIYAVI)あんだけ悪でも事故で亡くなってしまった娘のタンブラーを大事に肌身離さず持っていたのは観ていて唯一の救いだった。
あとMIYAVIさんってギタリストですよね?
よく俳優さんとしても活躍してるし貫禄もあるし何か魅力的な方です。
人の命は地球より軽いのか?魂が揺さぶられた!
観てビックリしました。日本でのブラジル人の問題とアルジェリアでの問題とあるのですが、何度も目頭が熱くなり、魂が揺さぶられました。
役者の演技が素晴らしく、終始引き込まれました。
観ていた他の人は、どう感じたかは分かりませんが、私にとっては傑作の映画でした。
キラッと光る逸材
ここ数年、私の「劇場鑑賞する・しない」の選定基準について、特に邦画については「監督」で判断をすることが多くなってきました。まぁ、それなりに作品数は熟してきた(劇場で観てないものも、配信で観られるものは出来るだけ履修しています)という自負からの判断ですが、あくまで私の基準ですから単なる好みだとも言えます。で、成島監督作品について実は「ややネガティブ」な位置づけ。正直、今作も当落線上においていたものの、約2週間ぶりの劇場鑑賞という「飢えた状態」の勢いに任せて観てまいりました。
で、鑑賞後の感想ですが、残念ながら懸念は覆されることなく、今作も心に引っ掛かるとことがなく、おそらく数か月後には記憶に残っていないだろうという印象です。
ちなみに、成島監督と言えば『孤高のメス(10)』『八日目の蝉(11)』が印象に残りますが、逆の言い方をすれば、それ以降の作品(今作も含め)についてあまり「アップデート」が感じられません。
特に残念な点として邦画にありがち、と言うかそれが邦画に限らないとしても、言葉がわかるだけにニュアンスまで汲み取れてしまい鼻につく「あんに善を惹き立てるための、極端で安易な悪の描き方」に辟易します。今作においても幾つかの「対立構造」があり、例えを挙げれば枚挙にいとまがありませんが、例えば(全体からしたら小さなシーンですが)某役人(女性室長)の態度・言動など「未だにそういう演出ですか」とがっかりした気持ちになります。
それでも唯一「キラッと光る逸材」が誠治(役所)の息子・学(吉沢)の妻役ナディアを演じたアリまらい果(Malyka Ali)さんが素晴らしい。演技がやや上滑り気味の吉沢さんの横で、穏やかで抑えた演技は初挑戦とは思えない堂々としたもので今後が楽しみ。日本語・英語・ウルドゥ語のトリリンガルとのことで、是非、日本に止まらない活躍を期待しています。
と言うことで、本編上映直前には次回作『銀河鉄道の父(5月5日公開予定)』のトレーラーが流れていましたが、私的には成島監督作品はもう配信でいいかなと思っています。ごめんなさいね。
ちなみに保険を打つわけではありませんが、日本アカデミー賞とかでは評価が高そうな予想も付け加えておきます。揶揄する意図ではなく、私との選定基準の違いを言っていますよ。悪しからず。
生きて行く者たちは人と繋がって
小さな街で起こる多種多様の住人たちの「家族」の物語。
これでもかと広がった、境遇・出自・家族観など全く異なる登場人物たちが紡ぐ物語をどのような形で着地させるのだろう?試写会を観ながら先の展開が見えずハラハラ・ドキドキ、しかしそんな鑑賞者の心情など全く関係なく、辛く・切なく、そして悲しい方向へとストーリーは展開していきます。
そんなとっ散らかりようを豪華キャスト陣の濃厚な演技がカバーしてくれて、飽きることのない120分余りとなりました。
途中のシーンでブラジルからの移住者が「夢の国日本」へやってきたのに、と嘆きますが、日本からも「夢の国ブラジル」と思い込み、志を抱いて移民となった日本人もかつては大勢いたのだよなぁ、なんて感傷に浸る場面もありました。
ひたすら絶望し、暗澹たる気持ちで涙する中、常にポジティブ、笑顔で皆を率いてくれた吉沢亮さんが私の中ではMVP的に素敵でした。
試写会を観てのレビューなのでネタバレ的なことは書けません。
しかし、本作品のようなエンタメ要素に乏しい作品は上映館が少ないのが残念(全国でも100ほどの劇場だそうです)。
今、我が国が抱える問題から目を逸らさずに考える機会を映画から得たっていいじゃないかと思わされる作品でした。
脚本が良かった、それでもまだ掘り下げられる部分もあったよな、そんな風に感じられる良作だと思います。
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