「キラッと光る逸材」ファミリア TWDeraさんの映画レビュー(感想・評価)
キラッと光る逸材
ここ数年、私の「劇場鑑賞する・しない」の選定基準について、特に邦画については「監督」で判断をすることが多くなってきました。まぁ、それなりに作品数は熟してきた(劇場で観てないものも、配信で観られるものは出来るだけ履修しています)という自負からの判断ですが、あくまで私の基準ですから単なる好みだとも言えます。で、成島監督作品について実は「ややネガティブ」な位置づけ。正直、今作も当落線上においていたものの、約2週間ぶりの劇場鑑賞という「飢えた状態」の勢いに任せて観てまいりました。
で、鑑賞後の感想ですが、残念ながら懸念は覆されることなく、今作も心に引っ掛かるとことがなく、おそらく数か月後には記憶に残っていないだろうという印象です。
ちなみに、成島監督と言えば『孤高のメス(10)』『八日目の蝉(11)』が印象に残りますが、逆の言い方をすれば、それ以降の作品(今作も含め)についてあまり「アップデート」が感じられません。
特に残念な点として邦画にありがち、と言うかそれが邦画に限らないとしても、言葉がわかるだけにニュアンスまで汲み取れてしまい鼻につく「あんに善を惹き立てるための、極端で安易な悪の描き方」に辟易します。今作においても幾つかの「対立構造」があり、例えを挙げれば枚挙にいとまがありませんが、例えば(全体からしたら小さなシーンですが)某役人(女性室長)の態度・言動など「未だにそういう演出ですか」とがっかりした気持ちになります。
それでも唯一「キラッと光る逸材」が誠治(役所)の息子・学(吉沢)の妻役ナディアを演じたアリまらい果(Malyka Ali)さんが素晴らしい。演技がやや上滑り気味の吉沢さんの横で、穏やかで抑えた演技は初挑戦とは思えない堂々としたもので今後が楽しみ。日本語・英語・ウルドゥ語のトリリンガルとのことで、是非、日本に止まらない活躍を期待しています。
と言うことで、本編上映直前には次回作『銀河鉄道の父(5月5日公開予定)』のトレーラーが流れていましたが、私的には成島監督作品はもう配信でいいかなと思っています。ごめんなさいね。
ちなみに保険を打つわけではありませんが、日本アカデミー賞とかでは評価が高そうな予想も付け加えておきます。揶揄する意図ではなく、私との選定基準の違いを言っていますよ。悪しからず。