スクロールのレビュー・感想・評価
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死んでから縮まる距離があってもいい
冒頭の、詩的でもなくポエティックでもなく、あえて『ポエミィ』と言いたくなる導入が苦手だった。
後に“僕”が自身を森と同一化させた描写だったと分かるが。。
本編自体はリアルなタッチで進んでいくが、やはり“僕”の投稿する文章は自己陶酔的。
彼の小説が出ても読みたいと思わない。
パワハラ上司や空気を読まず詮索してくるお局など、あるあるながら自業自得な面も否めず。
メインで好感を持てるのは“私”のみ。
まぁ、「社会が何もしてくれなかったんじゃない、自分が社会に何もしてこなかったんだ」という台詞から、そのへんはワザとでしょうが。
“僕”と母親の確執はじめ、各キャラの深掘りもないため共感性は薄い。
役者は悪くないが、松岡茉優のクソ重肉食女がやや新鮮なくらいで、他はいつも通り。
むしろMEGUMIの抑えた演技が一番印象的だったかも。
現実的で地に足の着いた映画は嫌いじゃないのだけど、『ポエミィ』な要素との食い合わせが悪かった。
“私”の絵も、あれイラストレーターの仕事じゃないよね。
モボ? モガ?
重めの青春ムービー
みんな社会の一部です。
社会に出て思うように生きられない若者たちの話。
大学を出て働き始めたがパワハラ上司に悩みSNSに詩の様な吐露を投稿する僕。
僕の投稿を引用しあっさり会社を辞めちゃう僕の同僚の私。
誰だか思い出せない「森」からの電話を無視した元チャラ男のTV局社員ユウスケ。
ユウスケと出会った結婚が幸せの全てと考える菜穂。
そんな4人が僕とユウスケの大学時代の同級生「森」の自殺が切っ掛けで動き出すストーリー。
冒頭、夢の中の様なもや~っとした「絶望のモボ」から始まって、ずっとこれだとしんどいなと思っていたけれど、CHAPTER01からは普通の世界。
ただ、主体性がないはその通りだし、消化出来ないのに抱え込んで人を不安にさせたり、っていうのは、所謂「最近の若者」には多いのでしょうかね…。
後回しにして良いこともあるし、若者や年寄りは誰かと繋がることが大切ですね。
あっ、拗らせた43歳もね。
作品の伝えたい事
ストーリーを把握しようと頑張って観たんですがいまいちわからない。
監督さん?演出?映像の世界観が独特すぎてちょっと話が入ってこない。キャストはいいのに勿体ねーって感じました。
各上司とのやりとりのセリフ回しも最終的に「生きてる価値ある?」がこの話の流れでこのセリフ出るかな?と個人的に違和感あり。
ラストの僕演じる北村匠海、母との電話は殻を破って1歩前進した!と個人的に勝手に解釈しました(笑)
作品の観せたい、伝えたい事がわからなかったです。
なにもない箱
豪華若手俳優たちがもったいない
僕とユウスケは、学生時代の友人・森が自殺したことを知った。上司からのパワハラに苦しみ、SNSに思いを吐き出すことでどうにか自分を保っている僕と、あと先考えず複数の女性と身体の関係を持ってきたユウスケは、森の死をきっかけに生きることや愛することを見つめ直すようになった。そんな彼らと、僕の書き込みに共鳴した私と、ユウスケとの結婚が心を満たしてくれると思っている菜穂、の4人の心情を描いた話。
僕、ユウスケ、菜穂、私、の4人についてそれぞれの心の動く様子が観れるのは良くあるが、僕と私の名前もわからないままにしてるのはなぜなんだろう?
パワハラ上司はどこにでも居るし、それに共感してくれる人も、女にだらしない男も、結婚したがる女もどこにでも居る。
観終わって、それだけ?って感じた。
北村匠海、中川大志、松岡茉優、古川琴音、と4人とも主役を張れるくらいの役者を集めた割にはストーリーがイマイチだった。
青春時代の終わりの始まり
青春の蹉跌と再生を描いた群像劇は多い。
直ぐにでも思い出せる近作は、
〔ちょっと今から仕事やめてくる(2017年)〕
〔明け方の若者たち(2021年)〕
〔花束みたいな恋をした(2021年)〕
あたり。
仕事や恋愛、またはその両方で
悩み躓き立ち直る。
本作はとりわけ、先の二作品と
ハイブリッドのようなテイストを感じる。
が、仕上がりはと言えば、相当に劣後するとの感想。
『僕(北村匠海)』と『私(古川琴音)』
『ユウスケ(中川大志)』と『菜穂(松岡茉優)』
『森(三河悠冴)』と『ハル(莉子)』
の三組の行く末。
男性は大学の同級生、
『私』と『菜穂』は顔見知りで
『ハル』はアイドルとの設定も、
カップルとしての三組が交差することはない。
互いに影響は及ぼしながらも、
あくまでも単体毎の帰趨が語られる。
自己の能力への疑念や
社会の仕組みへの懐疑も並行して描きつつ、
この時期にとりわけ大きな要素となる
色恋をも取り込む。
物語りは幾つかのチャプターに分解され、
各々で主人公が少しずつ入れ替わりながら進行。
最後にはプロローグに繋がる円環が完成し、
構成自体はなかなか良く出来ている。
とは言え、各人に降りかかる厄災が薄っぺらく
半分以上は自己責任のようにも見え、あまり得心できぬのが難点。
『僕』と上司の対立は、上司の側だけに問題がある設定も、
本当にそうなのか。
社内の陰口だけでパワハラの片鱗を見せる処理が、ピンと来ない一因。
死の選択に繋がる背景に、納得できる説明が欠けていることも含め。
また『ユウスケ』の女性関係の醜聞は、
普通の会社でこうした事件を起こせば、九分九厘同じ職場には居られるだろうとの、
ほぼほぼクズ男に近い素行。
共に共感できぬ人物像が提示されることと、
意図的な編集と思われる独特の間が
観ていて居心地を悪くさせる大きな要因。
最終的には団円に持ち込まれるも、
強引な展開で唐突感もあり、頷けない。
馴染みの飲み屋の突然の閉店も取って付けた様で、
青春の終わりのメタファーとも思われるが
蛇足のエピソードにしか見えぬ。
好きな女優さん二人の鑑賞が主目的も、
活かしたかがイマイチで残念。
原作は『橋爪駿輝』の連作短編小説とのことだが、
素材として調理した映像化作品と見た方が良さそう。
原作と違う(だから良くない)との議論は何時ものことながら当てはまらず、
あくまでも脚本の出来の良し悪しに帰すべきだろう。
揺らぎ
人生はスクロール。時が来たら向き合えば良い
原作「スクロール」はそれはそれで面白い青春ストーリーだ。顔も忘れかけていた友人の死をきっかけにして、「死んでから距離を詰める関係もある」ことを示してくれる。
果たして映像化した本作はキャストの勝利とでも言おうか。それぞれの個性が際立っていて素晴らしい。小説の中では想い及ばなかった <僕> や <ユースケ> がしっかり生きている。
賛否を醸す冒頭のワンシーンは、ゴシック調の色彩に可愛らしいけど不安定さを感じるウエイトレスが、次々と頼まれもしないオーダーを運んでくる。
なんかワクワクした!何が始まるのか、と。私が知ってる小説「スクロール」の世界じゃない!と。
レストランへの階段を登る北村匠海の横顔からしてもう引き込まれたもんね。
彼の顔立ちが特に好みというわけでもないのだけれど、あの分厚い部類に入るだろう唇とか黒目がちの大きな瞳とかは映し方によって様々な表情を持つ。だからいつも観ていて役者向けの顔だな、と思うのだ。
一方、ユースケ役の中川大志も良い。運とその場のノリだけで世の中渡ってきたような調子よさが滲み出る。けど、ユースケは気は良い奴なのだ。自殺した森が最期にかけてきた電話が自分宛かもしれない、と知れた途端「俺が電話に出ていれば森は死なずに済んだかも知れない」罪悪感に苛まれるのだから。
だもんで、その気もないのに出会ったばかりの菜穂にプロポーズしてしまう。ちゃんとやれば出来るんだという自分の証明のためだけに。
菜穂は令和にあって昭和の価値観を引き摺る女だ。結婚が女の幸せと言われて育ったような箱入り娘。だからお堅い職場に勤めている。千切りにするきゅうりをぶった斬る松岡茉優の演技に唸ったわー。
原作ではもっとはっちゃけてます、菜穂。
そんな菜穂とバーで知り合った <私> は、菜穂から「気をつけたほうがいいよ、重い女と思われるから」と言われて返すひと言が秀逸だった。自分の足で立って生きている女と誰かを頼って生きている女の違いが「重さ」の違いなのだ。
物語は観る者に答えを委ね、正答を導き出してと言わんばかりに会話の間合いを長く取って、ハッピーエンドともそうでないとも取れる方向に進んでいく。
合間合間に入る何気ないカットも素晴らしい。
「キャンバスを前に100円ライターをこすって見える炎の画」や「東京タワーの見えるオフィス」のワンシーン。また、再会した僕とユースケが「銭湯の湯船で癒されている2人」のカットなど。
それこそスマホの画面をスクロールしてスクロールして見つけたある日のワンシーンのようにフレームに収められていく。「その時が来たら向かい合えば良い」のだから。
なんと言っても森くんの遺影が笑える。あごの部分にユースケのピースした指が丸く差し込まれた遺影。20数年間生きて遺影に使える写真がコレしかなかったのか、と彼の人生がわかる1枚になっていた。
全く共感出来ず、苦痛な時間
そうかなと
レイトショーがジャスト
全くハマらず残念だった作品。 本年度ベスト級。
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