「怪物たちよ」スクロール ブレミンさんの映画レビュー(感想・評価)
怪物たちよ
役者陣は豪華なのに上映規模小さいなーと思い、だいぶ独自路線の強い映画なんだろうなと思っていましたが、思っていた通り、ただ悪い方に意外性がはたらいていた作品でした。
序盤の謎オープニングで、きっちりした空間の中に突然現れたカップ焼きそばが今作の中では最高のシーンでした。カップ焼きそばとは長い付き合いなので、ここで出てくるのかと不意を突かれました。ここがハイライトだったようにも思えます。
物語が考えるな、感じろと言わんばかりの放りっぱなしな感じが随所に見受けられました。チャプター分けする映画はオムニバス的な要素が強く思えてしまい、映画としての面白さを削っているようでした。それぞれの物語もうまい具合に繋がるわけでもないので、この分け方にした意義がわかりませんでした。セリフ回しも独特なものがあり、会話の締めに「生きてる意味あるの?」で締めるのは違和感がありました。普通にしっかり仕事をこなしている人に向かってかける言葉じゃないよなとも思ってしまいました。クビになった上司の腐れっぷりもさることながら、急速にメンヘラと化した菜穂の情緒の不安定さ、ナイフを刺した際の後始末のくだらなさ、森くんの母親が葬式の際に遺影を持って取材を受ける不自然さ、と抱く疑問は増すばかりでした。
演出面にもモヤモヤするところがあり、MVを見ているかのような感覚に陥りました。一枚一枚の画は綺麗なんですが、映画として見るとどうにも違和感がありました。ライターをつけて場面転換も多すぎましたし、この監督誰だ?と思ってみたら日本版CUBEやコンプライアンスの作品を担当した方…。そりゃそうなるわな…。
役者陣が全く輝いていないのがとても残念でした。北村匠海くん、中川大志くん、松岡茉優さん、古川琴音さん、と邦画の世界をリードしている俳優陣を揃えているにも関わらず、この人だからこの役が活きていると感じることができませんでした。
かなり独りよがりな作品に仕上がっており、原作から好きになれる気がしませんでした。邦画よ…頑張ってくれ…。
鑑賞日 2/7
鑑賞時間 11:55〜14:00
座席 G-8