ちひろさんのレビュー・感想・評価
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属性から解放される時
聖なる娼婦というモチーフは現代においては批判にさらされやすい。本作もややそういう傾向のものとして受け止められている面があるようだが、実際、風俗業に携わる人も、そんなに特別な人たちではない。見下すのも神聖視するのも、どちらも普通から除外するという点で差別的である。
しかし、風俗のような職業が、人間の様々な面を観る機会が多いというのも事実で、そういう意味では人生経験が豊富になるし、観察眼も冴える。この映画の主人公、ちひろさんのもとには生きづらさを抱えた人たちが老若男女問わず慕ってくるが、それはどちらかというと彼女の経験の豊かさゆえだろう。過剰に神聖視は必要ないが、彼女の経験値を否定する必要もまたない。
人は人間関係を築く時、しばしば「属性」に頼ってしまう。ちひろさんは誰にも属性を尋ねない、今目の前にいるその人とそのまま接するのだ。その属性からの自由になる感じに、人は惹かれていくのではないか。親の前では子どもでいなくてはいけないし、学校では生徒でなくてはいけないし、職場では労働者という属性として振る舞らねばならない、しかし、ちひろさんの前では、何者でなくても構わない。属性に疲れた人にはそれが心地いいのだ。この映画を見ている間は、観客も何か属性から解放されたような気分になれるはずだ。
有村架純と佐久間由衣コンビが素敵
有村架純さんに引き込まれる作品。 本年度ベスト級。
有村架純さん主演&今泉監督作品と言う事で視聴。
悪い人が出て来ないホッコリ系の作品。
特別な事は起こらないけど色んな人間ドラマが組み込まれた作品だった。
彼女が演じる、ちひろサン。
過去の仕事も隠さずにお弁当屋さんで働きながら様々な人達に元気を与えて行くようなストーリー。
ちひろサンがお弁当を美味しそうに食べるシーンが印象に残る。
食べ終わった後の弁当容器が美しい(笑)
浮浪者や怪しい女子学生等、誰にでも優しく接するちひろサン。
そんな中でも女子学生のオカジとのやり取りが印象に残る。
シングルマザー役の佐久間結衣さんも良かった。
彼女が作る焼きそばが食べたくなる。
後半、リーリーフランキーさんも登場。
ちひろサンの前職のシーン。
あっさりした面接に店長の人間性を表現した感じで印象に残る。
皆に慕われている感じのちひろサンだけど孤独感がある感じに見えたのは自分だかなのか?
気になるところ。
何故、お弁当屋さんを辞めて新たな仕事をする様になったのか?
人間関係に疲れたのか?
新たな生き方を見つけたのか?
色々と考えるも答えが出ない(笑)
贅沢な秘密基地が羨ましかったです( ´∀`)
主人公の生き方には賛同できないが
有村架純の自然な魅力
有村架純の自然体なようで、どこかベールに包まれているような、秘めた憂いみたいなオーラが役にマッチしていた。
これ良いねって言ったら、それ良いねって言ってくれて、それだけで良かった。
この言葉に「ちひろさん」の世界観が凝縮されている感じがしました。
部屋の殺伐としてカーテンも揃っていない感じ、汚れて擦り切れた靴、愛に乏しく育つと自己肯定感が低く自分を大切に出来ない傾向にある。
昔、ちひろさんにかけて貰った言葉が温かく心に残っているのだろうと思う。職業や身なりへの偏見なく、人の心根を感じて接することへ繋がっているのかと感じた。
人に魅せられて、心と心が触れる時・・・
ホラーやアクションみたいな、画面の派手な映画が好きな自分ですが、たまにこういう作品が無性に見たくなる。
元風俗嬢が港町のお弁当屋で働く話。そこに住んでいる人達との触れ合いを描く。
とにかく、主役の有村架純さんが良い!明るくて、可愛くて、セクシーで、ホンッと魅力的な女性を見せてくれます。
浮浪者に弁当を与え、お風呂までいれてあげる。
目の不自由な入院患者の女性を頻繁に見舞う。
母親が働きずめで、寂しい想いをしている小学生の相手をし、家族に息苦しさを感じるストーカー女子学生も温かく見守る。
風俗店の元店長や、同業者?の女友達、隠れ家で漫画に読みふける女子学生等、交際範囲も広いのに、どこか淋しさが漂う。
弟からの電話にはなかなか出ず、母親の葬儀にも立ち会わない。
どの登場人物も、こうじゃないかなって推測は出来るが、直接的な表現は示されない。この中途半端さもこの作品の魅力かもしれない。
それでいて、心の奥をズッシーンと突いてくる場面の数々・・・
鍵を失くして閉め出された小学生におにぎりを作っている女子学生。おそらく初めてであろうと思われる反抗。おにぎりを食べていたところに帰ってくる母親。招かれた家の中で
焼きそばをご馳走されるが、泣き出してしまう女子学生。
何故だろう?オヤジももらい泣きしちゃいました。
全編に何とも言えない雰囲気が漂う、心暖まる優しさに溢れた一本でした。
余談ですが、この作品を見てたら、なんか見た風景だなって懐かしさを感じました。まぁ、似たような港町なんて、よくあるもんだよなって思ってたんですが、エンドロールを見てビックリ。ロケ地が故郷の港町でした。
どおりで見覚えがあったわけだ・・・
抗わない…他者との間に深い関係性を築かないという彼女の生き様
「孤独」を盾にしても、人生の荒波に真正面から抗(あらが)わずに生きるという生き様(ざま)ー。
ほんとうに「ざっくり」と言ってしまえば、そういうことになるのでしょうか。
ちひろが、風俗嬢になったのは、どうやら生きていくため(食べるため)だったようです。
反面、彼女がそういう生業(なりわい)を選んだのは、それが他人(客)とは深い関係性を築かなくても済む…というか、自分を守るために敢えて関係性を築かない職業であったことも、大きな理由だったのではないかと思います。
朗らかで、人当たりも悪くなく、否、むしろ笑顔が人懐(なつ)こくて、一見すると人嫌いではなさそうなのだけれども、どこか、最後の最後の部分では、心を開いていない、人を拒んで寄せつけないところがなくはない―。
それ故、弁当屋で働いていても、後に酪農の仕事に就いてからも、その生い立ちを微塵も感じさせないちひろの立ち居振舞いは、ある意味、凄いとも思います。
幼少期のほか、風俗嬢時代は、苦しい、苦しい、更に苦しい毎日を送って来ていたのでしょう。たぶん、おそらく。
それらが彼女にとっては未曾有の苦しみだったが故に、その後の彼女の人生では、すべてが耐えられることになってしまっていたのかも知れません。
これほど「抗わない」生き方を彼女できる理由として、評論子には、それしか思い当たらないのです。
「これ見よがし」に訴えるのではなく、その生きざまを通じて静かに訴えるからこそ、観る者にも伝わる…胸に迫るものがあるのではないでしょうか。
そう思うと、十二分な佳作だったと思います。評論子は。
<映画のことば>
「さすがは元風俗嬢。男の扱いがうまいねえ。」
「ありがとうございます。」
「褒(ほ)めてないから。」
自然体な有村架純と脇を固めるキャストが豪華すぎてリアリティが物足りない
いよいよ映画で今泉力哉監督と有村架純さんがタッグを組むとあり、ハードルを上げまくっていた今作。様々な意見が聞こえているのもあってか、確かにそう…と写る点も多々。これがネット配信の難しさでもあるだろうけど。
リアリティがない、といった意見も多いが、個人的には映画自体が八方美人になりすぎていると思った。配置の周到さと妙な豪華さが若干裏目に出ている感じ。ちひろさんの正確に対しての悩みや痛みがクッキリとしているので、まあそうだよね…とも思ってしまう。初めから受け皿がある感じ。掴めない感覚はまだ良かったと思う。
また、今泉力哉監督といえば(それで縛っているのはまた違うと思うが)長回し。瞬間的に封じられる演者の空気があるのが魅力だと思うが、今回はそれが少なめ。それもリアリティの欠如の1つだったのかもしれない。それでも日々は続くし、過去を知る必要もないからこそ、せめて今にある心地良さも観たかったのかもと思う。
主演は有村架純さん。どこまでも自然体に生きる感じがもう凄すぎる。風俗嬢と名乗るには不自然なキャスティングだが、説得力はある。あと個人的には、豊嶋花さんと長澤樹さんの共演が熱かった。
豪華なキャスティングが必ずしも作品に良い効果をもたらす訳ではないと思ったり。映画館でどっぷり観るべきだったかな。
ずーっと気になっていた作品
ちひろさーん‼️
元風俗嬢でありながら、弁当屋で明るく働くちひろさん‼️どんな人とも分け隔てなく接するちひろさんの明るい人柄が、シングルマザーの母をひとり寂しく待つ小学生マコト、家庭に息苦しさを感じている女子高生・久仁子、家に居場所がない女子高生・千夏らの日常に光を与えていく‼️しかし、ちひろにも幼少時の苦い経験があった・・・。こんなふうに書いていると素晴らしい名作のようなんですが、実はちひろを含め、ひとりひとりの登場人物のキャラや背景が掘り下げ不足で、イマイチ胸に響いてこない‼️久仁子の家庭はなぜ息苦しいのか⁉️多分、父親の圧に母や弟も息苦しさを感じていると思われるが、暴君なのか? DV親父なのか?この父親の性格もハッキリせず、結局何も問題解決していないように思う‼️マコトの母も、仕事のストレスや、息子の寂しさを痛感させられるような描写がないので中途半端な印象‼️千夏に関しては、家庭の問題が全く触れられてないので、イマイチキャラがつかめない‼️ちひろさんの過去も両親や弟との間に何があったのか、触れられていないのでイマイチ共感できない‼️リリー・フランキーや風吹ジュンさんのキャラも詰めが甘い‼️ただちひろさんを始めとするキャラそのものは魅力的なので、彼女たちの笑顔ややりとりを観ていると、自然と観ている側も笑顔になる‼️そんな映画かな⁉️
癒し系でありながら、どこかぶっ飛んだ性格のちひろさん、よかった。 ...
自由気ままな生き方
悪くはない。最後まで。 キャラクター、物語、雰囲気、どれも平均的に...
やっぱり人間って弱いんだな
一言でいうと、この映画は「ものすごくあったかい映画」です。誰とでも分け隔てなく接する主人公のちひろさんが、いろんな人の心を様々な形で癒していく中で、見ているこちら側も自然とその影響を受けている感覚になりました。人間誰しも悩んだり悔んだりすることがありますが、人の心は簡単に崩れてしまう。そんなときはやっぱり誰かの支えが絶対に必要です。人間は一人で生きていけるほど強い生き物ではありません。
それにしても、終始作品を取り巻くちひろさんの癒しオーラは何なのでしょうか。相手によって態度を変えることは一切せず、ちひろさんの手にかかればどんな人でも心が和らいでしまいます。どんなに優秀なマッサージ師でも取り除くことのできない心のコリを、ちひろさんなら見事にほぐしてしまうという、本当の意味での理想の人間のような印象でした。現実がちひろさんのような人ばかりなら、喧嘩や戦争なんて起こらないでしょうか。それ以前に、まず誰とでも分け隔てなく接することって恐らく想像以上に難しいでしょうね。誰にでも気に入らない人はいるだろうから、どうしても嫌な人を相手にすると顔に出たりしてしまいがちですが、どんな人でも一人の人間として受け入れることってすごく大事だってちひろさんから教えてもらった気がします。そして、自分の人生観がちひろさんに良い方向に変えられたような感じです。
これだけあったかい映画が他にあるでしょうか。人間って自分たちが思っている以上に弱いので、自分にとっての「ちひろさん」を見つけて癒してもらうのが良いのかもしれませんね。
恋愛に酔えない女
2024
15本目
自分にはこの手の映画は深夜にゆっくり観るに限る。
その方がどっぷり浸かれる。
有村架純の演技に酔えます。
もはや“ちひろさん”という人です。
これだけでも観る価値あり
さて内容ですが、
元風俗嬢をまったく隠す事なく、”人として”生き抜く彼女。男と女、大人と子供、親子、あらゆる属性を気にしない生き方はある意味、羨ましく一方で理解されない生き方で、それゆえに一つ場所に留まれない。
そんな彼女の葛藤も無表情ながら見えてきます。
内容としても彼女を取り巻く人々が少しづつ成長します。でも彼女はそれを狙ってるわけではなく、周りが勝手に感化されていく。恐らく、誰1人”ちひろさん”を分かる事はなかったのでないだろうか。
ちひろさんの目に引き込まる。
そんな映画。
目玉焼きの乗った焼きそば食べたい
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