「純粋でアグレッシブルな忍者カメたちと、強すぎるカンフーねずみの活躍シーンは秘蔵レベル。ミュータント・タートルズを知らない人でも、本編だけで楽しめる傑作!」ミュータント・タートルズ ミュータント・パニック! 山田晶子さんの映画レビュー(感想・評価)
純粋でアグレッシブルな忍者カメたちと、強すぎるカンフーねずみの活躍シーンは秘蔵レベル。ミュータント・タートルズを知らない人でも、本編だけで楽しめる傑作!
世界的ポップカルチャーとして幅広い世代から支持を集める『ミュータント・タートルズ』。初めて映画化されたのは1990年。再び映画化となる度ワクワクドキドキさせられる。
そして本作は、ニューヨークに住んでいる新世代タートルズが、人間界で新時代のニューヒーローに挑む!
見た目はカメでも心は普通の高校生。今どきの15歳と同じく恋して、遊んで携帯やSNSを使いこなす。そんな彼らは、ジャーナリストを目指している高校生エイプリルと出会ってからは、内輪的だった生活と心情が一変する。あることがきっかけで、彼女は彼らと話すようになり、ジャーナリストばりに、まずは根本的な質問をする。エイプリルは聞く力や理解力に長けており、ある意味運命的な出会いとなる。
そして、タートルズの最初の生態的な答えは、「亀で忍者でミュータント」「僕ら(亀)の父さんはネズミ(厳密に言うと、ミュータントであり育ての父)」。この時点で、一般的な人間なら誰でもビックリ。しかも、ネズミである父親は、ある経験を経て、人間嫌いになっている。
その第一の壁を乗り越えなくてはいけないが、タートルズが人間界で受け入れられること自体が非常に難しいという状況に追い込まれ、エイプリルと彼らは深く悩むことになり、お互い、会うことさえできなくなってしまう。と前半の簡単なあらすじだけでは何だか面白くて楽しいという良さがピンとこないが、アニメーションスタイルやグラフィックにも遊び心が満載であり、展開もスピーディー。ストーリーを追いながら、斬新な描写についていくのがいっぱいいっぱいで、とにかく楽しい。大都市ニューヨークだけに、スケボーや音楽など、ストリートカルチャーの描写も満載なのである。
本編で、印象深く目に入るのは、ティーンが授業中に落書きをした絵を、わかりやすい油絵にしたような「筆(かつペン)のタッチ」。塗られるべきところはペタペタと塗り、動きを出したい部分には、様々な色のクレヨンでクシャクシャと描いたようなものが、プロの手で新たな美しいカット絵となっており、画角も巧みで、見飽きない、とても贅沢な映画になっている。
俊敏に動くタートルズの一つ一つのカットが、色付きの彫刻のように見える時もあり、一枚の絵として自分の部屋に貼りたくなるくらい、独特で色合いも美しい。
描写やスピード、斬新なアニメーションスタイルに劣らない感動のストーリーでもあるので、「ミュータント・タートルズ」を見たことがない方々も是非ともこの機会に見てほしい。可能なら、大画面かつ大音量で。
見終わった後は、「ミュータント」と「カメ愛」が強くなり、「推しカメ」や「推しミュータント」を語り合うくらいになれたら、見る者にとっても大成功(大満足)。
タートルズが、可愛い〜赤ちゃんの時も出てくるし、根本的には怖い話ではないので、生物好きのキッズや新規の子供が劇場に足を運んでくださることを願う。