「自分のためにレビューします」The Son 息子 OMGCさんの映画レビュー(感想・評価)
自分のためにレビューします
キャストにはメジャーな俳優陣が揃っているし、どちらかというと軽めな気持ちでの鑑賞機会だったが、結果として非常に考えさせられる内容の映画だった。
大切なことを教えられた気がする。
忘れたくないのでレビューしたい。
一筋縄ではないこの社会。
幸せなことも辛いこともある。
人それぞれが設定した多種多様な幸せに近づくため、
辛い物事には大なり小なり自らの精神を犠牲(ガマン)にして【乗り越える】のだ。
その意味で劇中のグランパの考えは正しい。
それらの集合が人間社会だ。
分かっている。
では社会のなかで形成される「家族」、
特に、子にとって親とは何なのだ。
(逆に親による子の意味合いは常に明白、愛だ)
その答えは、私も知っていたはず。
ただ、大人になり概念が深まった反面、
動物的な意味によるその答えを忘れてしまっていた。
この物語が伝えたかったのはきっと、
子にとって
父親は精神なのだ。
母親は生命なのだ。
ということではないか。
ヒトが人間である以上、
精神と生命はワンセットであるはずだ。
ボートに戻るため海で浮き輪なしで初めて泳ぐシーン。
海で溺れたら生命にかかわる。
それは幼い子供でも理解している。
それを乗り越える精神を伝えた父親。
なるほど、子にとって父は精神性の鑑なのだ。
やがて、、
幼い未熟な心ゆえ、
両親の別れを引き鉄に精神と生命が分裂してしまい、
人間としての自分をコントロールできなくなってしまった子。
家族3人は皆それを理解できない。
ただし当人=子がなぜ社会活動ができないのかメッセージしていた。
「わからない」と。
これは嘘ではなかったのだね。
悲しいことに社会的に成功している両親には理解できない。
これが唯々哀しい…
医師は分かっていた。
生命が失われるリスクを。
しかし際どい線で「理性的に」愛の可能性を選択した親。
愛は精神のかたちなのか?
愛が失われるリスクを選択しない両親。
子は親が理解してくれたことに感謝した。
(親はそれを理解していない)
子は精神と生命が繋がった瞬間、きっと
人間としてその瞬間を失いたくなかったのだ。
その幸せを享受し続けたかったのだ。
ふたたび精神と生命が分裂することをおそれたのだ。
… 落涙だ
心が揺さぶられる。
何という映画か。
素晴らしい鑑賞であった。
はじめまして
フォローありがとうございます。
子育てと子供との向き合い方、
本当に難しいと感じます。
同じことを言っても、長女と次女では受け取り方が
まるで違いました。
傷つきやすい精神に向かうとき、
どんなに注意しても傷つけてしまう瞬間がありますね。
お父さんは悪くないと思います。
息子くんがあまりにも繊細だったのですね。
OMGCさん こんばんは
返信いただきありがとうございました。おっしゃる通りだと思います。
自分とそれ以外の人との関係には、それぞれの距離感とアンテナが大事かなと思いますが、相手が成長途中のこどもたちならよりいっそう、先を行く大人として考えておく意味があるのかな…と。
巡りあえて良かった作品でした😌
hum様
語彙力不足なレビューをお読みくださってのコメント、有難うございます!映画の鑑賞直後のレビューと、しばらく経ってからの記憶レビューはブレることが多いのですが、この作品のそれは一貫して変わらない気がしますね。そして私自身、鑑賞前後で我が家の子供の気持ちの覗き方が変わった気がします。たまにこういう作品に出会えるのは嬉しいことですね。
最後のリビングでの団欒のシーンは、確かに息子が本当に喜んでいましたね。その直後、突然のように断ち切った行動は、医学的には突然なのではなく、その病がまだまだ愛だけでは治らないことを感じさせるものでした。かつて祖父から父へ渡った猟銃をみた彼の行動がそこにつながるとは。彼の心の叫びを知るタイミングを思い、辛いですが、重要なメッセージを感じる作品でした。
共感の多いレビューでした。