「人間の本質に迫った重厚なドラマ」イニシェリン島の精霊 Jettさんの映画レビュー(感想・評価)
人間の本質に迫った重厚なドラマ
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なかなか理解しにくく、難解に感じてしまう作品かもしれません、「何が云いたいの?テーマは何!?」と
でも、至ってシンプル、そんな小難しく考える必要はないと思います
長年 仲良くしてきたコリン・ファレルさん演じるパードリックとブレンダン・グリーソンさん演じるコルムの仲違いがエスカレートし戻れない所まで行ってしまう物語
これは本作の時代背景となるアイルランド内戦のメタファーとして描かれていて、人は気まぐれで、簡単に気が変わったり、誤解したり、我慢を溜め込んでいったりし、それが原因で争いに発展し、最悪の場合は戦争などのようにたくさんの人を巻き込み殺し合いにまで発展する愚かさを持っている、という話です
本作でのトリガとなったのはコルムが老い先を考えた時にもう少し意義のある人生を生きたい、くだらない事に時間を費やしたくない、と長年の友人を一方的に切り捨てたのが発端でした、やられた方は意味不明でそりゃ腹も立つでしょう
コリンさん、ブレンダンさんに加えパードリックの妹を演じたケリー・コンドンさん、そしてパードリックの友人を演じたバリー・コーガンさん、全員みごとな演技でした
先日発表されたオスカーノミネーションに4人とも入った事に驚いてましたが本作を観て納得です、1人でも多くオスカー受賞してほしいと思いました
イニシェリン島は架空の場所ですが、撮影はマーティン・マクドナー監督の出身でもあるアイルランドのアラン諸島でちゃんと撮影されていて、その清々しく美しい景色が全編に渡って広がり、とても心洗われる気持ちのいい時間を過ごせました
後からなんとも言えない余韻に包まれる、不思議な作品でした
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