「マーティン・マクドナーは何を伝えたかったのだろうか」イニシェリン島の精霊 JYARIさんの映画レビュー(感想・評価)
マーティン・マクドナーは何を伝えたかったのだろうか
これまた、陰鬱とした映画だ。
誰も幸せにならない映画だ。
一体、マクドナーは何が言いたかったのだろう
十字架や死に神のモチーフを使って、
彼が伝えたかったことは何なのだろう
最初、ゴリゴリの実存主義の話かと思って観ていた
実際、コルムの話した、「優しい人は忘れられる、音楽だけが永遠に残る」って話も刺さりまくってしまったし。
それから、パードリックが変わっていくのだけど、
ずっと困った顔してたコリンファレルが人んち
乗り込んで、悪態つくときの可愛さたるや。。
動物を大切にしてるのも可愛かった。
で、死に神が島民二人の死を予言する
本の中におそらく真言を見つけた妹は島を去る
妹に想いを伝え、破れたドミニクは湖で死ぬ
未だ友人を失ったことを引きずるパードリックは
鏡の中の自分を殺し、コルムの家に火をつける
しかし、コルムは死なない。
彼は音楽の為に、生き続ける。
ここから考えるに、「人に執着した者」は死んでいる
そうじゃなく、自分、または自分が信じるものに従って行動した者は死なない。そんな法則がある
こんな言葉を聞いたことがある。
「たいていの人は25歳で棺桶に入り、75歳で死ぬまでそこで過ごす」
島の中で、パードリックは死んでいる
コルムもかつては死んでいた
しかし、音楽を見つけ、生き始めた
同じ死人だったパードリックを拒絶したことで、奇しくも彼に生きる目的を持たせることになる。コルムへの復讐だ。
彼はこれからも島の中で、復讐することを目的として生きるのだろう。
島とか、地方とかの閉鎖的な環境によくある事だが、暇な人間は人に執着する。
あの肉屋のゴシップ大好き店主もしかり、他人への興味が尋常じゃない。
おそらく何も見つけていないからだろう。
だから生者に執着する。
そこから逃れる事が出来るのは、自分の名前と引き換えにしてもいいほどの、永遠に残る何かを見つけた時だ。
と、難しすぎて脳が痺れてきた…
真の主題の一部でも分かればいいか…
にしてもスリービルボードってやっぱり飛び抜けて傑作だったよなあ…