劇場公開日 2023年7月14日

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サントメール ある被告のレビュー・感想・評価

全32件中、1~20件目を表示

4.0移民として、母として、娘として。複層的な視点によって見えてくるもの

2023年7月20日
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とても複層的な視点と構造を持つ作品だ。ギリシア悲劇「メディア」を思わせる一つの衝撃的な事件についての「法廷劇」でありながら、そこにナイフを深く入れるやミルフィーユのように、社会や文化や被告の女性が歩んできた人生の断面が剥き出しとなっていく。これを具体的な供述の回想シーンなどを用いながら紡ぐという方法もあっただろう。しかし作り手のアリス・ディオップ監督はそういった安易さに陥ることなく、まずは裁判での長いやりとりや言葉を我々に突きつけ、主人公で作家のラマと同じ視点でじっくり追体験させる。やがて浮かび上がってくる被告の半生、フランスでの生活、追い詰められていく精神状態・・・。それと似た人物をラマはよく知っている。それは移民としてこの国にやってきた女性たちであり、母たちであり、なおかつ娘たちだ。これまでスポットの当たることのなかった人々の慟哭と、母娘の理解と寄り添いの物語が、静かに胸を締め付ける。

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牛津厚信

1.0それでも娘…

2025年2月15日
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鑑賞方法:VOD
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KEI

3.0法廷劇 裁判の答弁でほぼ占められる 引き込まれた ラマの心情が分か...

2025年2月11日
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鑑賞方法:CS/BS/ケーブル

難しい

法廷劇
裁判の答弁でほぼ占められる
引き込まれた

ラマの心情が分かるようで分からない
理解するのが難しかった

幼子を夜の海岸に置き去り…
色々と想像すると辛い

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Sheeta

4.0自らの無理解・無関心に気づかされる

2024年12月31日
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鑑賞方法:VOD

知的

難しい

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佐分 利信

3.5実話をもとにしているらしいのだが

2024年3月25日
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鑑賞方法:映画館

難しい

最後のセリフは創作なんだろうか、実際の答弁だったんだろうか。

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mikyo

4.0聖なるフェミニズム映画

2024年2月26日
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この映画のタイトルはなぜ“サントメール”というフランス北部カレーにある地方都市の名前がつけられているのだろう。子殺しで起訴されたセネガル人女性を裁く裁判所がある場所だから、というのはいくらなんでも短絡的すぎるだろう。カレーには確かアフリカ各国からフランスに逃れてきた難民のキャンプがあったはずで、ここサントメールにも移民たちのコミュニティが多数存在しているらしいのだ。勿論“聖なる母親”という意味も踏まえた上でのタイトルだろう。

同じく“子殺し”を題材にしたギリシャ神話映画パゾリーニの『王女メディア』を、傍聴人の黒人女性ラマが鑑賞するシーンがあったのを覚えていらっしゃるだろうか。夫への復讐を遂げた後自らの息子たちをメディア(マリア・カラス)がその手にかけるクライマックスで、なぜか日本の伝統音楽(能?)が使われている。“子殺し”というテーマ性よりも、その異質感に着目すべき演出といえるのかもしれない。『24時間の情事』のエマニュエル・リヴァも異質なもの(ナチスドイツ兵士)を受け入れたせいで剃髪されたのだ。

ドキュメンタリー界ではそれなりに名前が通っているアリス・ディォップもまたセネガル系フランス人女性であり、海に赤ちゃんを置き去りにしたロランスや、小説のネタにするためにその裁判を傍聴する作家ラマと同じような立場にいるインテリ女性。実際に起きた事件の裁判記録を元に映画化しているそうで、西洋人の特に男性検察官には到底理解しえない、アフリカ特有の呪術的世界観を浮き彫りにしていくのである。

なぜ置き去りにしたのかという尋問に対し、「叔母に呪いをかけられた」と答えるロランス。そんなロランスを西洋科学の物差しで分析しようとしても土台無理な話なのである。ロランスと同じくフランス男の子供を身籠っていたラマはその様子を傍聴しながら、セネガルからフランスに夢を持って渡ってきたものの、西洋文化になじめず孤立し精神を病んでいった母親とロランスを重ねていくのだ。「お母さんのようにはなりたくない」裁判所でラマと目があったロランスは意味深な微笑みを一瞬浮かべるのである。

そして人権派白人女性弁護士の最終弁論は、本作の全てを物語っているといえよう。「女性はすべて子供の細胞を体内に宿すキメラなのだ」と、カメラ目線でとうとうと語る女流弁護士さんの演説は迫力満点。こんな詩的な弁論が許されるのもフランスというお国柄なのだろうか。つまり、国内に移民を受け入れたフランスを異質同体のキメラに例えているのである。移民を差別することは母親や娘の存在を否定すること、すなわちフランスという国自体の否定に他ならない、とディオップは言いたかったのではないだろうか。

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かなり悪いオヤジ

3.0斬新な演出で重みのある法廷劇

2023年9月23日
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幼い娘を殺害した罪に問われた女性の裁判の行方を実話に基づき描いた法廷劇。実際の記録をセリフにしている斬新な演出とキャスト陣の重みのある演技が素晴らしい。
弁護士の最終弁論でキメラ(細胞の無限連鎖)について語っている点も非常に興味深かった。

2023-146

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隣組

3.5よかった。

2023年9月22日
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だいず

3.5最終弁論の迫力がすさまじい

2023年8月12日
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鑑賞方法:映画館

パンフレットで情報を補完することをおすすめします。
社会背景や監督の意図がたっぷり説明されています。

実際の裁判記録がセリフに使用されたとのことで関心をもち鑑賞しました。
白熱する法廷ものかと思いきや、地味で淡々としています。
説明的な描写はないので、フランス社会の背景を知らない自分にとっては説明不足で、鑑賞中には理解が追いつきませんでした。

ある被告は「母による子殺し」の罪で裁かれようとしています。
裁判官の問いかけに応えて、被告は自身のことを語り始めます。

セネガル、フランスの社会的背景
家庭環境
人種差別
経済的な困窮
愛人関係
そんな中での妊娠出産

裁判が進むにつれ、実子の殺害は表面化した事象であって、そこに至る背景や被告が抱える事情は、とても複雑でパーソナルな性質を持っていることがわかってきます。

さらに裁判では、母と娘という不可思議で神秘的な関係性にも言及します。
最終弁論の迫力がすさまじいです。

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moro

3.5裁判で明らかになる非合理的な動機

2023年8月6日
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鑑賞方法:映画館

悲しい

知的

難しい

仏文専攻の娘に付き合って鑑賞。
現代のフランス事情と裁判を丁寧に描いているので、最初は面白かった。
ただ、裁判が淡々と続き、途中で少しダウン。
裁判で、非常に合理的な背景と非合理的な動機が浮き彫りになる。
母と娘の関係が多重に重なるが、全て暗黙的で解釈がむずかしい。
明らかなのは、華やかでないフランスの現実、移民の姿、受け入れ側(白人)、旧宗主国からのプロモーション。

犯罪には、他人には、自分にもよくわからない人間的な思いが絡むのかな?

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morihide

3.5キメラ

2023年8月5日
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裁判も公聴席も女性ばかりで内容も母娘向け 被告人は微笑みを浮かべたり呪術とか終始ミステリアス しかし育児は24時間休み無しといいます、孤立無援では誰でも危険性があるのではないでしょうか 最後の弁護士さんの弁護には説得力が有りました

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ゆう

3.5タイトルなし(ネタバレ)

2023年7月30日
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りゃんひさ

4.5心が震えた。

2023年7月27日
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鑑賞方法:映画館

ジェンダー、人種差別、家族、出産、殺人、権威、文化、教育。1つのテーマだけで1本撮れるのに、これらをシンプルにそして静かに落とし込み、カメラワークの効果と相まってハッとさせられる作品は、他に観たことない。複雑な多数のテーマを紡ぐパッケージに、いたく感銘を覚えた。

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ラーメンは味噌。時々淡麗醤油。

2.0ザ・法廷劇

2023年7月27日
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鑑賞方法:映画館

法廷劇は苦手だが、全編キチンと観た。
やはり、人種問題は自分には分かりづらく、この採点。
フランスの裁判員制度もよくわからなかった。

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hanataro2

2.0もっと骨太の法廷劇だと思ったら

2023年7月25日
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M.Ooi

4.0リアル法廷劇

2023年7月24日
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知的

法廷モノは映画として人気のコンテンツではあるが、そうしたジャンルムビーの類の娯楽映画ではなく、今までに見たことのない本来“裁判”とは何なのか?までも深く考えさせられ問い詰めている作品だったのに驚き勉強になりました。
なので、上記の様な娯楽作品を見る程度の気持ちで臨んでも置いてけぼりを食うだけで、見る側もそれなりの高い意識・見識がないと追いつけない類の作品だと思います。

例えば、堕胎は罪か否か?という問題が社会にはあり、法律上では犯罪になりますが、様々な“事情”により罪が軽減されたり同情される場合もあります。では、産んでしまったらその“事情”は通用しないのか?
個人にとってはその「様々な個人的事情」こそが法律以上の最も重要事項であって、裁判とはただジャッジメントする機関ではなく、個人的事情を浮き彫りにし、それに至る原因を追究する機関であらねばならないという事を本作を見てよく分かりました。これは全ての犯罪に通じるものだと思います。
罪を犯した者の年齢・人種・生い立ち(環境)・教育・知能・人格・嗜好・資質・地位・経済力等々、様々な個人的要素や外的要素を考察しての審判でなければならないという事であり「嘘か真実か」「正義か悪か」はあくまでも土台であり前提であって、本来それだけで審判出来る者など誰もいないのでしょうね。
そして本作は女性映画であるという事が強調されていて、最近見た『ウーマン・トーキング/私たちの選択』もある意味、女性性を描いた作品であり、本来生命を引き継ぐ役割を担った女性の資質として描かれた作品でありましたが、その女性でもわが子を殺すという事の(現在社会の?)闇も覗かさせられました。(しかし『王女メディア』も引用されていたしなぁ~)

あと、ラスト近くの(女性)弁護士が語る最終弁論は凄く興味深く目から鱗の語りでした。
本作は実話に基づき、台詞もほぼ現実の答弁を引用したモノと思われるのですが、この部分を聞けただけでも本作を見た値打ちはありました。

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シューテツ

3.5時代の空気の痛さ。

2023年7月23日
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生後まもないわが子を手にかけた、セネガル移民の若い娘。裁判でフランス社会の峻烈な抑圧が明らかになるが、娘の絶望感が多くの女性に共通することも浮かびあがる。痛いくらい今の時代の空気感をとらえた名篇。

映画は世の空気感を「空気」であることを崩さないまま定着することに優れたメディアで、そのことをよく示す作品。多くを語らないまま被告人席に立つ若い黒人の娘、法廷に差し込む光、舗道から見る空、のショットがフランス社会の過酷な抑圧と連帯する女性の希望をどれほど鮮明に映しているか。

去年ニューヨークとパリで見たときは、現地の、とくに若い観客からは映画の世界にもたらされた「新しいまなざし」に興奮する声が多くきかれた。終盤の展開は賛否分かれるが、全体として『アフターサン』と並んで今の時代が生んだ名篇であることは誰も疑っていなかった。

一方で、リニューアルしたという今月の『キネマ旬報』には、「菅付雅信」なる執筆者が「ポリティカル・コレクトネスの代表」と切り捨てる短評を寄せていて、ほとほと呆れ返った。正確にいえば、自らの教養の浅さ・思考の甘さ・覆いがたいガラパゴスぶりを、なぜわざわざ声高に喧伝しているのか訝しんだ。

芸術批評を名乗る書き手が「ポリティカル・コレクトネス」とかの言葉を使うこと自体、英語圏の映画批評の感覚からすると20年は遅れている。そんなのを「レビュー」と称して流通させているかぎり、日本の映画批評は永遠に今のままで終わる。

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milou

3.5映画自体は思っていたほどではなかったが、 ロランス役の人の、何かこ...

2023年7月21日
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映画自体は思っていたほどではなかったが、

ロランス役の人の、何かこう、

中から滲み出るような凛とした美しさに惹かれた

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jung

5.0フランスの法廷劇と、その傍聴者の心理描写。 被告がアフリカ出身の女...

2023年7月19日
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泣ける

悲しい

知的

フランスの法廷劇と、その傍聴者の心理描写。
被告がアフリカ出身の女性との設定で、
人種や性別に由来する事柄が、各人の言葉の端々に現れたり。
結論にあえて触れず、観る側にも、各自考えるように要求されているような。
考えることの多い作品です。

どこかの記事で読んだこと、監督いわく
題目の "Saint Omer" は、フランスの地名ですが
発音が "sainte mère" ( 訳すと holy mother = 聖なる母) にも聞こえる、と。
映画を見終えて、痛いほどに納得しました。

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woodstock

4.0文化の温もりは

2023年7月19日
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鑑賞方法:映画館

泣ける

悲しい

知的

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berkeley