「偉大な名蹟を、自分色に染めていけ」キャプテン・アメリカ ブレイブ・ニュー・ワールド しゅうへいさんの映画レビュー(感想・評価)
偉大な名蹟を、自分色に染めていけ
通常スクリーンで鑑賞(字幕)。
原作コミックは未読。
こんなに地に足がついているMCU作品を観るのは本当に久しぶりだったので興奮した。とても面白かった。これだよこれ、これ云うのが観たかったのだと、手放しで称賛したくなる作品だった。
マルチバースが全く絡まず、過剰なサプライズも無い。ヒーローの葛藤に胸が熱くなる。2作目を彷彿とさせるポリティカル・スリラーと壮大なアクションの融合がMCUの懐の深さを感じさせた。
キャプテン・アメリカ。あまりにも重すぎる名蹟のプレッシャーに苦悩し続けるサムの姿に心を揺さぶられた。サムはスティーブと違い、超人血清を投与されていない生身の人だ。
だが、超人じゃないからこそ、出来ることがあるはずだ。相手がどんな存在であろうとまずは対話を試みるサムのスタイルは、彼の優しさに起因した行動であり、好感しか抱かない。
スティーブは希望であった。サムの言う「そこまで自分は強くないが、誰かの目標となれる存在でありたい」はとても素敵な答えだ。この瞬間、継承者がサムで良かったと心の底から思えた。
そして何より彼には、初代には無い彼だけの魅力的な個性、つまり強靭な翼がある。その個性でどこまでも高く、自分なりのスタイルで飛び回って欲しい。新たな世界の新たなリーダーとして。
[余談]
サディアス・サンダーボルト・ロスの集大成でもある本作にこれまで演じて来られたウィリアム・ハート氏が、鬼籍に入られた故に出演が叶わなかったことがとても残念でならない。
代役のハリソン・フォード氏も申し分無い演技でハート氏の遺志を継ぐ名演であったが、ハート氏のロスがレッドハルクに変身するところが観たかったと云うのが、正直な気持ちだ。
しかしながら、ハリソン・フォード氏である。こんな超大物がまさかヒーロー映画にヴィラン(とはっきりとは言えないかもだが)として出演するなんて、まるで夢のようだった。
悪役としては「WS」にてロバート・レッドフォードの先例があるものの、自らモーションキャプチャーを装着してハルクの演技もこなしているのだから、余計にすごいと感じた。
今後もMCUに、しいてはアベンジャーズと共に敵と戦う姿を夢想してしまうが、フォード氏は本作をもって俳優業引退を宣言されており、今後の動向がとても気になっている。
[鑑賞記録]
2025/02/15:TOHOシネマズ西宮OS(字幕)
2025/11/30:4K UHD Blu-ray(吹替)
*修正(2025/11/30)
