「バーデン(心の負担)をおろせてよかった。」バーデン Socialjusticeさんの映画レビュー(感想・評価)
バーデン(心の負担)をおろせてよかった。
アンドリュー・ヘックラー監督が地方紙でKKKがレッドネックショップをバブチスト教会に売ったという記事を読んで、ケネディー牧師にコンタクトをしたと。
事実をベースにした物語。 1996年南キャロライナのローレンスでKKKがレッドネックKKK美術館を開く。その名前は『エコー』それから、黒人の教会の信者と白人のKKK を中心にした仲間とが争いを起こす。争いがエスカレートする中、ジェシー・ジャクソンがこの運動に招かれる。マイク・バーデン(Garrett Hedlund)はガールフレンドを愛し始め、彼女、ジュディーからKKKに残るか、それとも捨てて、一緒になるか決断を迫られる。マイクはすでに、この美術館の権利を父親と称するボス、トムから受け継がれて、この父親亡き後のリーダーになる存在になっている。
マイクはジュディとの生活を選択したから、KKKからの攻撃にあう。転がり込んだジュディーの家は彼女と子供、フランクリンと共に追い出され、ホームレスになる。仕事先もKKKの傘下にあるようで、何一つ見つからず、物乞いをしている時、ケネディー牧師に拾われる。しかし、黒人の経営するホテルはマイクたちを拒み、宿泊所が見つからず、牧師は自分の家に連れて行く。ここからは、牧師や家はKKKを家に入れたくないという葛藤とマイクの心からKKKを抜けられない自己の葛藤が続く。牧師の息子は父のこの態度すらも受け入れられずにいたが、彼は父親を少しずつ理解していく。父だって、牧師だとはいえ、心の中はKKKのマイクを受け入れることは大変なんだって
それに増して、KKKのマイクへの横暴や追跡がしつこく、幼馴染の黒人、(アッシャー)まで、殺されそうになる。
牧師はおじさんがKKKにリンチされた墓場に墓参りに来たところへ、マイクがおとずれる。
マイクは牧師にKKKを抜けたいなら、自分の罪を認めなさいと言われるが、自分は牧師のような人じゃないよと。そして、ただ、小さな家に家族と共に住みたいだけだと言う。その後、KKK美術館の権利を牧師に千ドルで(?)売り、家族のためのトレーラーハウスを手に入れる。
最後の、マイクは水の洗礼をケネディー牧師から受ける。自分の罪を告白して、神に赦しをこう。 監督とケネディー牧師はこのエコー劇場を文化と和解の場所にと字幕。
この映画の圧巻はマイクの育った環境には 動物を、この場合、鹿だが、愛でる心の余裕を父親からもらえなかった。タフに教育を受けて、KKKの思想を叩き込まれ、自分を自分の思うように成長させることができなかった。マイク自身、映画の出だしでわかるが、プールで遊んでる子供に、いじめるなよと声をかけるぐらいだから、繊細で、優しい心の持ち主だとよくわかる。それに、クラレンス(アッシャー)の子供も釣りにくるとは知らなく、いやな顔をしたが、この子供が魚を釣ると、黒人の子だということを忘れて、手を触って、二人で魚を釣り上げて喜ぶ。特に、ケネディー牧師を標的にするように、父親のような存在、トムに言われ、銃を渡された時も、彼の目にいつも戸惑いが見える。
この役者、ギャレット・ヘドランドはその表情の出し方がうまい!それに、トム役(トム・ウィルキンソン)はベテラン俳優なので、二人の息がよくあっているのを感じた。
笑っちゃうことに、KKKを映し出す時は、レーナード・スキナードLynyrd Skynyrd - Call Me the Breezeの曲が流れ、黒人の教会ではゴスペル。勝手に判断してるかもしれないが、エディ・ヴェダー(Eddi Vedder)のLonging to Belongなど、場面にあった曲が流れている。
マイクの苗字、バーデンという言葉と、最後の曲バーデンが、彼のバーデン(重荷)を下ろしたと思った。マイクが鹿を見つめて手を差し出す目は本当の自分に戻った目だった。(皮肉にも、私の知っているギャレット・ヘドランドだった)Chris Stapleton - Burden