ザリガニの鳴くところのレビュー・感想・評価
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「ザリガニの鳴くところ」を見て感じたこと
1 田舎町の湿地帯にある一軒家。一人取り残された少女のそれからの人生を描く人間ドラマ。
2 主題は、少女が如何にして一人で生き延び、どんな人生を歩んだのか。そこに、彼女が係わった男の転落死の謎が絡んでくる。原作よりもミステリーの趣向は薄めにして人間ドラマの色合いを濃くした。
3 全体的な筋立ては、原作に沿って少女時代の50年代と成長した60年代を上手くまとめていた。このうち、悲惨な少女時代を簡素にし、話が暗くならないようにしていた。また、成人後は奔放な性格から災いを招き窮地に陥るが、少女時代から手を差し伸べてくれた少数の人々の助力により、ハッピーな話となった。一方で、原作で示された転落死の謎解きは、本作では最後のショットとモノローグで示唆されるのみであったことには食い足りない印象を残した。
4 彼女が暮らした湿地帯の独特なロケーションやときに逆光を取り込んだ淡いト−ンの風景描写など原作の持つ雰囲気の映像化に成功していたと思う。
原作未読だから楽しめた?
ミステリーというと、犯行手口や、真犯人が誰かというあたりが焦点になることが多いのですが、本作は「殺人が事故か」が争われるポイント。
裁判を追いながら、いかに容疑者である主人公・カイアの生い立ちが悲惨で、カイアの父親と変死体となった男とが似ているか、長年にわたる町の連中から受けたカイアへの差別と偏見がひどかったかが描写の中心で、なかなかにクるものがありました。
そして……
モヤモヤモヤモヤのラスト。
そこがいい。
見応えあり、良作の一つでした。
ただ、原作未読での鑑賞だったので私は面白かったんですけど、小説から入った人には不満が出るかも。
ネットで知る範囲だけれど、原作にあった幼少時のカイアが凄まじい飢えやそこからくる凶暴性、不潔さ・臭さなど「差別されるだけの外見的な理由」が映画では描写されていないと。
こぎれいなまま成人し、恋愛模様に突入していくのが、原作改変が大きく、ご都合かつ、淡泊に見えるという問題点もあるらしいです。
映画は映画であり独立していて、原作通りでなくともよいと思うのですが、原作派からすると物足りないのかもしれません。
私もこれから原作を読んでみようかと思います。
最後に残った最たる謎。
正直公開前に衝撃の結末とか余りにも煽り過ぎです。もうどんな結末がご用意されてるのかと期待値MAXでドキドキしながらの鑑賞でしたが、さすがに終盤に差し掛かるとこれはもしや?!って空気になって結局そらそうだろうなってオチでした。
ただ構成や演出は面白かったし、ちゃんと真相が明らかになるラストもモヤモヤせず良かった。湿地の娘とレッテルを貼られ禍々しくも美しい負のオーラを纏ったカイアとそんな彼女に惹かれる男たち。町の有名人チェイスの不可解な死。彼の命を奪ったのは一体誰なのか。恋愛要素と法廷を舞台にしたミステリー、そしてそれに説得力を与える沼地の静かな自然美。
テイラースウィフトが歌うエンディングも心地良い。ところでザリガニって鳴くのだろうか。それが残された最大の謎かもしれない。
生育環境のせいにしない力強さ
幼少期から壮絶な家庭環境、女の子1人で生きていく学校への登校わずか1日ながら賢く学び取っていく。
私が世界名作劇場で1番好きな「ペリーヌ物語」と似た感じ。法廷のシーンなどで活躍する弁護士さんもいい。日本で弁護士、裁判官を描くととびきり変わった人が登場するがこちらは真っ当。エンディングは賛否が分かれるだろうがはっきりそうとは思えない。それよりも老齢まで長い物語にしたことこそこの映画の奥行きの拡がりにつながっているのではないかと思う。
美しく強靭な物語
自然豊かな湿地帯で起こる静寂な事件
アメリカで1500万冊を売り上げた小説を映画化。
舞台は1969年のノースカロライナ。湿地帯に住む主人公カイアがある殺人事件の犯人に疑われ、現在進行形での法廷のシーンと回想シーンが交互に描かれてゆく。
カイアの惨めな幼少期から、プラトニックな恋愛模様、また湿地帯の美しい情景が切り取られ、それだけでも必見の価値がある。
シンプルな相関図で、誰が犯人かは大体予想がつくため、サスペンスを求めすぎると肩透かしを喰らうが、全体としては上質なミステリーとしての輝きを放っている。
メスのホタルやカマキリの話から、自然には善悪がないというカイアの発言は、この話のキーポイントになっている。一般社会から切り離され、偏見の目でみられていた彼女が、自然の中においては力強く生きるコントラストの描写も丁寧である。
タイトルにある「ザリガニ」は当然歌う(鳴く)ことはできないが、男性優位の社会であった当時の女性の立場や、社会から隔絶されたマイノリティを「ザリガニ」と表現しているのではないかと推測する。
アメリカの良心の‼️❓心の叫びを聴いたのだ❓‼️
自然の摂理
正統派映画久々に2時間短く感じました
ラストの満足度が高い
この頃はめっきり映画のCMが減ったのに、この映画はものすごくTVで CMが流れていて、配信元の本気を感じる。
そこまでCMをやるなら、絶対に面白いんだろう。よし、見てやろう!!と映画館に行き、
はい、面白かったです🙆♀️
ただ思ってたのとは、全然違った。
ドラゴンタトゥーの女みたいなミステリーかと思いきや、純愛ものを見たような。
ヒロインも舞台となる湿地の景色も美しい✨
湿地に取り残された少女。
彼女にとって湿地は、ホームそのもの。
自然から学び、共存する。福祉を頼ればいいとつい思ってしまうのは、生きてきた場所が違うからだ。
踏みにじられれば、彼女はひれ伏さずに戦う。戦わなければ、人生を奪われてしまうから。
衝撃の結末。
世の正義とは違うかもしれないが、
映画を観た人は、きっと満足するはず。
湿地で生きる少女を通して見せるさまざまな物語
不穏な雰囲気が漂う予告で、公開を楽しみにしていた本作。淡々とした展開の中にも惹きつけられるものがあり、最後まで楽しく鑑賞できました。
ストーリーは、湿地で変死体が発見され、殺人の容疑をかけられた、湿地で一人暮らしをする若い女性のカイアが法廷で裁かれる中で、彼女の生い立ちから現在に至るまでの壮絶な人生が明らかになっていくというもの。変死体となったチェイスの死の真相をめぐるミステリーの体を装いながら、カイアと彼女のよき理解者であるテイトとのラブストーリーでもあり、湿地の自然を堪能する記録映画のようでもあり、当時のアメリカの差別社会への戒めのようでもあり、さまざまな楽しみかたができるのが本作の魅力です。
冒頭で発見された変死体の死の真相をめぐるストーリーではありますが、前半は事件よりもカイアの人生そのものに興味を惹かれます。年端も行かない少女が両親に捨てられ、湿地で一人で生き抜くなんて、とても現実的とは思えません。しかし、これまでの記憶や経験を頼りに、湿地で暮らすことを決めたカイアの覚悟がすさまじいです。そこで母を待つために離れられなかったのか、湿地をこよなく愛していたのか、自分を蔑む人々の中に入っていくことを拒んだのか、カイアの心中には複雑な思いがあったことと思います。そして、これらが全て伏線となり、後半に収束していく流れが秀逸です。
そんな彼女をさりげなく支える店の黒人夫婦、彼女に読み書きを教えたテイトは、カイアにとって実の家族以上に心のよりどころとなっていたと思います。だからこそ、テイトの裏切りは許せなかったでしょうし、心に空いた穴をチェイスで埋めたかったのかもしれません。しかし、その穴をチェイスでは埋めることができないことは、カイアは初めからわかっていたようにも思います。彼女は、湿地とそこで生きる自分をありのままに受け入れてほしかっただけなのかもしれません。
主演はデイジー・エドガー=ジョーンズで、彼女の美しさにずっと見とれていました。テイトとチェイスに見せる表情や雰囲気の違いがとてもよかったです。何気にデビッド・ストラザーン演じる弁護士も有能でよき。ただ、後半はその冴えわたる弁護が仇となり、ラストが予想できてしまったのはもったいないところです。それでもオチの見せ方としては、余韻の残るいいラストでした。
ミステリとしては
原作未読。
アメリカですごく売れた「ミステリ」だという触れ込みに食いついて劇場へ向かった。
主人公の女性はすごく綺麗だし演技も上手。若い頃のアン・ハサウェイを思い出した。
その彼女が、恵まれない境遇から周りの人々との関わりの中で自分の人生を切り開いていくという1人の女性の成長譚としては良い。
自然の映像は美しいし、「湿地」というあまり馴染みのない地域で暮らす人達の生活というのも興味深い。
ただ。
これを「ミステリ」だと思って観てしまうと、かなりの肩透かしを感じてしまう。
少なくとも、あのラストは「衝撃」でも「驚愕」でもない。
「物語の最後に、ちょっとした仕掛けがある。」
そのくらいの気持ちで観るのがちょうど良いのでは。
ラストシーンは衝撃でもなく、ミステリー色も強くなかったですね。
ザリガニは鳴かない
現代でやったらどうなってたんだろう。
タイトルの意味が、作品鑑賞し終わっても理解出来ん・・・
字幕で2回位出てくるんだけど・・・
まぁいいや。
物語の時代設定が1960年代。
物語の舞台もこうしないとしょうがないか。
時代設定かなぁ…
殺人事件が題材なんだけど、プロセスが安っぽい。
これが終始気になってしまったのか、物語もテンポが悪く思え、「この流れで、結末どうすんの?」
頭の中はこんな感じだったが、結末は悪くないんだよねぇ…
結末そのままで、現代の設定でやっていたらどうなっていたんだろう。
とは思えた。
[原作読了]心に染みるミステリの傑作
映画を観てすごくよかったので原作も読みました。その上での感想です。
原作を先に読んでいたらまた違う感想になるかもしれませんが、映画→原作の順番でみた限り、映画の出来が素晴らしいことが改めてわかりました。
映画版は原作でやや冗長に感じられる部分をカットしたり、順番を入れ替えることでよりわかりやすくなっています。脚本が相当練られており、原作の魅力を余すことなく2時間に収めることに成功しています。
原作の特に前半は、風景描写や細かい心理描写に充てられた部分が多いため、ミステリ的な展開を期待しているとちょっとヤキモキします。
映画はそういった文学的な部分とミステリ要素のバランスが後者寄りになっているので、緊張感をもって楽しめます。
主人公の業さえ感じさせる真相と湿地帯のコントラスト
1950年代のアメリカのノースカロライナ
父親の暴力により、一家離散した湿地帯に住む貧しい一家の末娘が、運命に翻弄されながら生きていく姿を描いたサスペンス
時間枠が前後しながら進む構成ながら、テンポ良く展開も分かりやすい
湿地帯の自然の美しさと主演のデイジー・エドガー=ジョーンズのナチュラルな魅力が、主人公の生きる現実の過酷さと、抱える孤独の深さを際立たせてる
主人公は被害者を殺したのか否か
事件は差別意識が作り出した妄想なのか
暴力により家庭が壊れていく様を目の当たりにし、愛する人に捨てられた過去を持つ主人公の業を感じさせるラストに、彼女が生涯を捧げた湿地帯の自然が寄り添う
見応えのある映画だったけど、逆に全体的に良くできている域を超えられなかった印象も
完成度の高いミステリー
人気小説を映画化したミステリーで一人で力強く生きる少女の半生を描いた物語。裁判シーンと交錯しながら進む展開が絶妙で湿地帯の美しい映像も相まってスクリーンに引き込まれた。起承転結もしっかりしていて完成度の高い作品。
2022-212
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