「アメリカの美しい法廷ものと言う劇レア作品」ザリガニの鳴くところ bloodtrailさんの映画レビュー(感想・評価)
アメリカの美しい法廷ものと言う劇レア作品
アメリカ文学って日本じゃ誤解されてると思うんです。文章の美しさって言う点では、今の日本文学じゃ歯が立たない、的な感覚を個人的には持ってますが、それを映画で証明されちゃったよ、的な。
洋画の年一候補でした。
ラスト5分の多幸感からの、ダーーークな締めの心地良い緩衝撃。コイツはたまらーんw
暗い沼。美しい浜辺。
求愛の光。捕食のための発光。
分かりやすい対比と、意味的な二面性を、脚本と映像でしっかり描写して行きます。一本の劇場用映画としてのクオリティの高さが際立ってますし、要するにオチの示唆は、そこら中に振り撒かれてると言う。
そーなんですよ。
不憫な少女の物語りに始まり、美しい愛の物語りに騙されて、基本は法廷サスペンスだってことを忘れてしまうと言う。
この、狙い澄ましたフェイクが最高に好き。
良かった。
とっても。
コレは悩む事なく⭐︎⭐︎⭐︎⭐︎⭐︎だす。
と、年一候補だす。
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(11/21 追記)
グリーンビルのホテルで出版社の人達との会食で、カイアはこう話します。
「おそらく、そこには善悪は無い。ただ生きるために必要な事をするだけ」
その直後、彼女は、自らの口で語った、湿地帯の昆虫たちと同じ行動を取ったことになります。
本当に危なくなったら「ザリガニの鳴くところ」に逃げろ。
カイアを置いて出奔する兄が彼女に残した言葉。真意は、湿地帯の奥深く、誰にも気づかれることの無い暗い沼に隠れろ、だったかも知れませんが、これは所謂 Double Meaning . 別の解釈は
「自然に学び、自分の身を守れ」
でですよ。最初にポスターのデザインを見て思っったことは「羊たちの沈黙に似てる」だったんです。羊たちの沈黙の意味は「羊たちの悲鳴が止み沈黙が訪れる」=「羊たちに死が訪れた」。クラリスにとっては「トラウマからの脱出」と言うダブル・ミーニングが準備されていました。
カイアは羊たちの様に座して暴力に曝されるのを待たず、行動を起こして自分自身の身を守った。羊たちと逆なんですよ。原作出版は2018年とのこと。羊たちの沈黙の逆張りってのは、意識してるよねぇ、って勝手に思ってます。
なるほどです!深い考察、参考になりました。アメリカも広いから
本当にいろんな土地がありますよね。沼の情景の美しさに目を奪われてました。m(_ _)m
沼と言えば「ブルーバイユー」も
めっちゃ良くなかったですか?^ ^
bloodtrailさん
コメントへの返信を頂き有難うございます。
bloodtrailさん、サッカー通でもいらっしゃるのですね ⚽️✨
W杯、日本戦のみ観ていました 😆
余りヒットしていないのですね。個人的にはかなり推しの作品です。
柔らかな日差しの中で揺れる木々、他に誰も居ない水辺、美しい情景の中に佇むデイジー・エドガー=ジョーンズが、ただただ美しく、余韻の残る作品でした。