「石油産業」バーニング・シー 鰹よろしさんの映画レビュー(感想・評価)

3.0石油産業

2023年6月9日
PCから投稿
鑑賞方法:DVD/BD

 長年ノルウェー国家を潤し支えてきた北海油田において海底地滑りが発生。メキシコ湾原油流出事故の350倍の被害が予想される事態が起きようとしていた...

 海洋調査のスペシャリストであるソフィアは、石油リグで働くシングルファーザーのスティアンと交際を始めて9ヵ月。お子さんとの関係も至極良好。しかしお相手の家のベッドで裸で目覚めながらも同棲には至っておらず、歯ブラシに始まり日用品に常備薬と(場合によってはコーラとハンバーガーも?)全て大きなバッグへと詰め込み持ち歩いて回る生活を続けている。

 相棒のアルトゥルはというと、エンジニアとしては超優秀であるが、コミュニケーションに多少不安を抱えている模様。しかし初対面を除き打ち解けてしまえば誰よりもはっちゃける実質コミュ強星人だ。

 この遠隔操作ロボットの目を通し少し離れた場所から現場を伺う且つ、石油産業を直接的に支える者たちの少し外側にいる2人のエンジニアを、

 石油リグという危険な現場(前線)で働く者たちと、それを比較的安全な場から統括する者たちの両者の繋ぎ役として機能させ、それぞれの立場や主張を明確にすることで、

 環境問題への憂慮はもちろん、エネルギー産業が直面している問題、現状生じているまたはこれから生じうる矛盾を省みさせようとする訴えは、繊細に描かれるどの先にも必ずいる個々人の感情の機微も相まってかなり寄り添いやすいものだった。だからといってすぐさま何ができるか、解決策があるのかは別問題として。

「TSUNAMI」(2005)...「ワールド・オン・ファイアー」(2012)...「ドローン・オブ・ウォー」(2014)...「バーニング・オーシャン」(2016)...「THE QUAKE ザ・クエイク」(2018)...「アイス・ロード」(2021)...

鰹よろし