劇場公開日 2022年8月19日

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「さすがはロッキー4!!!どれだけアメリカ万歳なんだよ」ロッキーVSドラゴ ROCKY IV CBさんの映画レビュー(感想・評価)

3.0さすがはロッキー4!!!どれだけアメリカ万歳なんだよ

2022年8月25日
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鑑賞方法:映画館

思い返せば1985年冬、新宿の映画館のほぼ最前列で、友人と大笑いしながら観た「ロッキー4」。
ドーピングで作り上げたマシンのような筋肉のドラゴと、昔ながらの(ちょっと古臭い)トレーニングだけで築き上げた筋肉のロッキーの対決。
世界アマチュア王者という肩書きを引っ提げてソ連(当時)からドラゴがプロボクシングに参戦。エキシビジョンマッチで、ロッキーの親友アポロを倒す(リング上でアポロは死ぬ)。協会は敗北を恐れタイトルマッチを許さない。ロッキーはタイトルを返上して、敵地モスクワに乗り込み、親友の仇を取るべく、ドラゴとの決戦に臨むのであった。
というストーリーをスクリーンで観るわけだが、読んでもらった通り、当時の俺でも、「なんだ、これ? 原作梶原一輝か? おまけに敵地モスクワって、よく撮れたな。というか、もちろん共作である訳ないし、勝手に国名リアルで撮ってるわけか。すっげえなあ。さすがスタローン、ぶっ飛んでるなあ」 と大笑い。「うわ、書記長出て来ちゃったよ」と、大はしゃぎで観た訳です(ソ連書記長は、長く続けたプレジネフが82年にアンドロポフに代わり、84年に代わったアンドロポフが85年3月に急死しゴルバチョフになる、というまさにソ連末期)撮影は何年か知らないが公開は85年。

試合は、ロッキーシリーズ独特のぶん回しパンチが当たること、当たること。フルラウンド(当時はまだ15ラウンド制)戦い抜いた両者の最後は当然ながら、ロッキーの勝利! そしたら、エンドロールで満場の拍手ですよ。いやあ、びっくりしたなあ。というか、大はしゃぎで観てた自分たちの態度がみなさんに申し訳なかったかな、とほんの少し反省さえしたのを覚えてる。24歳になっていた自分達は、少し大人過ぎたんだな。高校生で観てたら、俺も絶対拍手してただろう。

そのロッキー4が大幅編集されて戻ってきた!なんと94分中42分は、かって使わなかった映像ってことだと聞いたので、ほぼ違う映画を観るつもりで劇場に座ったよ。

冒頭。ああ、これが「3」(観てない)の敵役クラバー(俳優ミスターT)なのか。レオン・スピンクスのボディーガードをしていたところを、モハメドアリの紹介で、ロッキー3のこの役で俳優デビューした人だってことだけ知ってた。さすがにタフネスだね。その後「特攻野郎Aチーム」にも出たんだね。彼と言い、今回「4」のドラゴと言い、もう出演者の肉体には感動するしかない。

そしてボクシング?シーン。あえてクエスチョンマークつけちゃったけど、「手を下げてわざと顔を打たせてるの?」と思いたくなるようなノーガードでの打ち合い展開は、「1」からまったくかわらず。まあ、これが「ロッキー」の魅力の一つだから、とやかく言っちゃあいけない。プロレスは、派手さを演出するためにあえて相手の技を受ける。そのために受け身を徹底的に鍛える。つまり「ロッキー」は、ヘビー級ボクシングをプロレス風にしたもの、と思って観ればいいんだろうな。
とはいえ、「攻めるが当たらない」を表現するのに、手を下げて上半身だけを振るディフェンスみたいな動きは、やっぱり変だよ、ロッキー。あはは。

今回の再編集は、自分にはよかった。心の中で大笑いしながら観ていることにはやはり変わりはなかった。再編集のおかげで、よりいっそう、シルベスタースタローンのミュージックビデオみたいになったと感じた。
そしてロッキーシリーズを支えるテンポ! オープニング「3」リングシーン回想→ドラゴ登場→アポロの闘いと死→モスクワでの雪中トレーニング→ドラゴとの死闘、と息もつかせぬというか流れるような94分。あっというま。途中のモノクロ回想シーンを大幅に増やしたと思うが(フルコーラス分)、結果として「会話は最小、肉体で魅せる」制作姿勢がより明瞭になったと思う。この映画って、スタローンが自分で観るために作ったフィルムを、特別に俺たちにも観せてくれたのだと思う。そういう目で見ると素晴らしい作品。

俺はこの映画のドラゴが好き。「人工的な」と感じさせる巨大で強靭な肉体。それに似あった短髪。怪獣好きの俺がドラゴを好きなのは両者に通ずるものがあるからだろう。ほとんどしゃべらない。これで「しゃべると鋭いセリフ」だったら、極めて格好いいのだが、そこはロッキーシリーズ。予想される程度のセリフしか言わないしキレもない(たとえば、「俺は、俺自身のために勝つ!」)。でもそれがまたいいんだ。だからロッキーシリーズなんだと思う。人気と映画のレベルは必ずも比例しない。

冷たいことばっか書いたみたいだけれど、今回気づいたことがある。俺、この映画結構好きなんだなあ…

おまけ
最終ラウンドの、(ロッキーの闘いをみて、それまでのブーイング一辺倒からうってかわって)熱狂応援するモスクワの大観衆、それをみて怒り心頭でリングサイドに駆け寄りドラゴの耳元で「この、ヤツを応援している声を聴け!(こんな風にしやがって)このバカが!」と怒鳴りドラゴに突き飛ばされる政府高官、負けたらさっさと帰る書記長、みんな最高だよ! 今でも俺は「こんな映画を作っていいのかな?」と心から思う。どれだけアメリカ万歳なんだよ、大笑いだよ。まったく、楽しいったらないよ!!

「きょう、ふたりの男が殺しあった。だが、2000万人が殺しあうよりましだ」「俺は変われた。俺が変われるなら、あなたたちも変われる」・・ロッキーのセリフ。ふふ。繰り返しだけど、どれだけアメリカ万歳なんだよ。

おまけ2
ロッキー1で、公園の階段を駆け上がり、このロッキー4では雪山を駆け上がり、そして雄叫び!これがロッキーだなぁ…満足。

おまけ3
皆のレビューを読んだ。そうなのか。これでもアメリカ万歳は抑えられて、代わりにロッキーとドラゴの人間性が前に出てきていたんですね。だいぶ忘れてるんだな、俺。いや、すごいよ、スタローンさん!!

CB
talismanさんのコメント
2022年8月25日

CBさんのレビュー素敵です!かっこいー!

talisman