「時代に翻弄された少女たちの物語は決して過去のものではない。」雪道 大吉さんの映画レビュー(感想・評価)
時代に翻弄された少女たちの物語は決して過去のものではない。
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もともとがテレビ局製作のドラマで、制作スタッフのほとんどが女性、少女が主人公ということもあり、慰安婦が題材ではあるが、直接的な性描写はない。ただし、慰安所での暮らしなど証言をもとに再現されたのであろう、生地獄であったことがよく伝わってくる。
病気で斑点のできた少女がいきなり銃殺されるシーンや少女たちが列車に詰め込まれるシーン、用済みになって殺されるシーンはショックだったが、特定の人物が鬼のような残虐な悪役として描かれていない。
硫黄島へ送られる日本兵への同情的なシーンさえある。
日本統治下ながら、少年少女の日常が美しく描かれて(演じられて)おり、それだからこそ、残酷で哀しい。
決して反日、糾弾を目的とした作品ではない。
生きのびて帰ったら、母には軍需工場で働いていた、真っ白な綿にまみれて働いていたと嘘をつく、お腹を大きくして赤ちゃんを産みたい。少女の言葉が悲しい。
結婚もせず、赤ちゃんを産むこともなく、嘘をつき通して戦後を生きた女性たちがたくさんいたのだ。
時代に、戦争に翻弄された女性たちの物語は決して過去のものではない。
どうしても慰安婦問題になってしまうから、観せかた難しいのかな。日本人にはハードルが高いかもしれませんが、誠実に作られた作品だと思うので多くの人に観てほしい。
少女たちを演じたキム・ヒャンギとキム・セロンがとてもよかったです。今やそれぞれ主役を張る女優さんなんですね。
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