劇場公開日 2022年9月9日

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「ハラハラドキドキの94分」ビースト Minaさんの映画レビュー(感想・評価)

4.0ハラハラドキドキの94分

2022年9月16日
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何度も何度も劇場で予告を見ていた本作、そんなに流されたら観てしまうではないか。そもそも観に行くつもりだったが。
どうせ観に行く為特に調べていなかったが、最初はてっきりドウェイン・ジョンソン主演かと思っていた。すまぬエルバ様。
サメ、ワニ、ヘビ、クモ、と来てとうとう百獣の王ライオンに行き着いたモンスター・パニック。サクッと観れる尺でぎっしり詰まった王道の作品だった。リアルなライオンの動きも怖く、観ているこちらが顔をしかめてしまう迫力があった。家族を守る父VS凶暴ライオンという分かりやすい構図だが、ストーリーも本当に王道のモンスター・パニックとなっていた。よって意外性等を求めようとすると肩透かしになるだろうが、モンスター・パニックは変に狙うと白けてしまうため、これでベストだと思う。
明らかに馬鹿な行動をする人物がいてイライラさせられる事も無く、ライオンの恐怖に集中して鑑賞出来る。CGではあるが車に逃げ込んだ家族の周囲にうろつくライオンの描写等、事実に基づく作品を多く手がけるバルタザール・コルマウクル監督らしいリアルな演出が冴えていた。これらの描写は他の作品よりも一線を画す勢いがあった。
本作で大切なのは、人間からするとライオン等は獰猛なビーストだが、本作のライオン含む野生動物から見たら我々がビーストであるという事だ。毛皮や象牙を狙った密猟、生息地の森林伐採、温暖化による生息地の減少など、人の営みの中で野生動物の生活を壊してきたことは隠せない事実である。本作のエンターテインメント性の中にそれが色濃く反映されている。その様々な意味でタイトルが「ビースト」なのてある。

Mina