劇場公開日 2023年1月27日

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「なかなか好ましい小品。焦げの処は食べないようにしましょうね…発ガン性が有るから…た~君がいいね!」あつい胸さわぎ もーさんさんの映画レビュー(感想・評価)

3.5なかなか好ましい小品。焦げの処は食べないようにしましょうね…発ガン性が有るから…た~君がいいね!

2023年2月5日
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鑑賞方法:映画館

①関西人としては、最初のうちは常盤貴子等関西人でない俳優さん達の和歌山弁にはやはり居心地の悪さを感じたけれども(「⚪⚪⚪」は正しかったよ)、そのうちに気にならなくなるくらい清々しい後味の映画。
②常盤貴子は女手一つで娘を大学までやった肝っ玉母さんにしてはキレイ過ぎるけど(何せ元トレンディ女優ですから)、原田に対する気持ちが一方方向だったことがわかった時の(よくあるどんでん返しなんだけど、こちらも母さんの幸せを願ってしまったので引っ掛かってしまった)落胆・気恥ずかしさ・自嘲・怒りがない交ぜになった表情(原田に背を向けて見せない)は見事。
娘と、女対女で向き合えるまで、子離れが出来るまでの母親としての成長も丁寧に演じて女優としての成熟を感じさせる。
③前田敦子も出てくるだけで存在感のある女優になって来た。本作でもドライそうでありながら武藤母子に絶妙の距離感で接し見守り必要であれば背中を押す女性を好演している。
ただ、常盤貴子にせよ前田敦子にせよ和歌山の紡績工場(?)に勤めている女性(オバサン?)に見えないのが痛し痒し。
④本作で一番感心したのが三浦誠己の上手さ。最近『母性』『ケイコ、目を澄ませて』そして本作と続けて観たが、三作とも全く違うキャラを見事に演じ分けている(造形している)。瞠目すべき演技力。
⑤男は女性の胸に恋するわけではないから、“胸の形なんて気にしなくていいよ”と言ってあげたいが、こちらは男で女性のおっぱいに対する想いなんて分からないから軽々しくは言えないな。男の子が自分のオ⚪ン⚪ンが大きいの小さいのとかで悩むのとは次元が違いそうだし…
ただ、変に深刻になったり、簡単に結論を出したりせずに、一番納得できる道を母娘として又同じ女性として考え探して行こうという未来に希望を託す終わり方にしたのは良かった。
⑥あと、これを書くと間違いなく顰蹙もんだとは思うが、千夏が乳ガンになった理由は、絶対にあの黒焦げのトーストを食べ続けたせいだと思う。
⑦た~坊について:最初はまた同情を誘うかも知れないけへど一歩間違えればウザくなるキャラを登場させたか、と思ったけれども、最後はこの映画の“救い”の部分を担う役柄になるとは。
最初の登場シーンでは確かにウザそうと思ったが、その時に書いていた絵を使ってラスト伏線回収する脚本の妙。
た~君とその母親の姿を使って常盤貴子が子離れを決意する心情に持っていく脚本の流れ。
た~君を、登場人物達の微妙な心理が交錯するようなシーンやヒロインがフラストレーションを抱えたシーンに登場させて場を緩和するような役割をさせる使い方、そしてラストでみんなさらっていかせる。
一番の功労賞はた~君だろう。

もーさん