「圧巻のビジュアル」劇場版モノノ怪 唐傘 杉本穂高さんの映画レビュー(感想・評価)
圧巻のビジュアル
ルックにこだわったアニメ作品が増えてきているが、これは決定版。おそるべき完成度の画面を90分見せつけられる。どのカットにも画面の隙を感じさせない精緻なレイアウトが続く。圧巻の美の連続だった。
舞台は大奥。二人の新人がやってきて、数日後にも餅引きの儀式を控える最中、奇妙な事件が発生。あやかしの仕業とみて薬売りが退治に動く。物語は決して理解しやすいわけではないが、説明過剰にせずに観客を信頼する作り方。
物語も興味深いが、やはりビジュアルの完成度こそ、本作の一番の見どころ。浮世絵を動かすというコンセプトで、奥行きをなくしながらも空間を感じさせる見事が美術、和紙のテクスチャーも健在で、テレビシリーズ以上に、紙に描かれた絵が動いているという独特の感覚を味わわせる。背景美術が3Dで作られているというのは驚きだ。シネスコの画角を選択したのもよかった。劇場アニメもシネスコが増えてきているが、本作が一番シネスコサイズを効果的に利用出来ていたのではと思う。
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