「最大多数の」カラオケ行こ! 文字読みさんの映画レビュー(感想・評価)
最大多数の
2024年。山下敦弘監督。大阪で合唱部に所属する中学生男子がコンクールを終えるとヤクザが現れてカラオケに誘って歌のコーチを依頼する。声変わりの悩みを抱える少年は親以外の大人としてなんとなくヤクザと付き合うようになり、、という話。
言い方はともかく脱力系ポピュリズム路線を外さない山下監督らしく、場末のヤクザは昔ながらのこわもてばかりであり、カラオケで歌われるのは有名ポップスばかりであり、中学生たちはキャラを踏まえてふるまう。出会いの場面では雷が光り、山場ではこれまでの回想シーンが現れ、テーマソングは繰り返される。現代日本に生きる最大公約数の人々に理解可能な表象を最大限に用いて、最大限わかりやすくつくられている。冗長でくどいけれども思わせぶりな場面は皆無であり、すべての場面が意味を持って「中学生とやくざ」の物語に奉仕しているので、山場の場面での感動と脱力的展開を誰でも受け取ることができる。
ひとつ必要以上に長いカットがあったのだが、なんだったか。食べ物だったと思うのだが。
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