劇場公開日 2024年1月12日

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「なぜか癒される」カラオケ行こ! 泣き虫オヤジさんの映画レビュー(感想・評価)

4.0なぜか癒される

2024年1月15日
PCから投稿
鑑賞方法:映画館

笑える

カラオケ大好きな俺だからか、予告編が刺さるものが有った。
なんか楽しめそうな予感を持って観賞したが、予感はハズレてなかった。

【物語】
成田狂児(綾野剛)は地場ヤクザの組員。ある日通りかかった町のホールで開催されていた中学校合唱コンクールに足を止め、コンクール終了後に強豪校・森丘中学校合唱部部長の岡聡実(齋藤潤)に「カラオケ行こ」と声を掛ける。

狂児の突拍子も無い言動には理由が有った。狂児の所属する組では、組長の誕生日に組長の趣味でカラオケ大会が開催されることが恒例となっている。そこでは全員の歌が組長に評価され、最下位になった者は組長自身によるおかしな刺青を彫られるという罰ゲームが決まりとなっていた。何としても罰ゲームを逃れたい狂児は、どうしても歌が上手くなりたかったのだ。

一方突然狂児に声を掛けられ驚く聡実だったが、ヤクザに絡まれる怖さと狂児の必死さに不本意ながらも狂児の歌の練習につき合う。コンクール後に部活に打ち込めないモヤモヤを抱えていた聡実は、一度切りと思っていたが、偶然も重なり何度も狂児のカラオケにつき合うこととなる。

やがて二人の間に奇妙な友情が芽生えていく。

【感想】
この作品、なんだろう。
ストーリー展開に、何ら感動的なものが無いのに、観賞後感がいい。
現時点のYAHOO平均点評点4.3。 ちょっとばかり過剰評価とは思うけど、「全くもっておかしい」とは思わない。 「皆もそう思う?」と思える、いささか不思議な作品。

その要因だが、
主演の綾野剛がヤクザで凶暴なんだけど、どこか緩い狂児を上手く演じているのはもちろんだが、観賞中ずっと思っていたのは初めて見た聡実役の「齋藤潤がとてもいい」。中学生らしい純粋な感じ、思春期らしいモヤモヤと悩む感じ、反抗期らしい生意気な感じ、全て出ていて、等身大の少年像が素晴らしかった。 ヤクザと少年という突拍子も無い設定の中で、狂児と微妙で奇妙でほっこりもする空気が見事に醸し出されていた。

聡実のバックボーンである合唱部の人間関係や、ゆるーいクラブ“映画を観る部”の友人関係とかも、ほのかに良い。メインストーリーとは直接は絡まないのだが、これ無くして、聡実の心情、あるいは作品の空気は生まれていない。

全然感動作ではないけれど、観るとなんか癒される作品!

泣き虫オヤジ