「隣人を愛せるか」3人のキリスト @花/王様のねこさんの映画レビュー(感想・評価)
隣人を愛せるか
仕事として、他人の心理に触れるって自分のメンタルも引き摺られていくと思う。
統合失調症を怖いと感じる。
怖いものは、未知なるものは自分が分かるように、扱いやすいようにコントロールしたくなる。
薬漬けにして、口答えをしたら電気ショックを与えたくなる。
非人道的だと言われても、そうした手段を使わない人は精神患者に関わる機会はない。
そう、関わる機会がないんだ。
誰も好き好んで、精神的に不安定な人と関わりを持ちたいとは思わない。
先日観た『イニシェリン島の精霊』でも感じた嫌な感じ。
下手に関わりを持ったら、自分の人生を賭けて一生の付き合いになるか、途中で相手か自分が根を上げて疎遠になるか、死か終着点がない。
それはすべての友人関係においても同じことが言えるのに、精神疾患がある友人を持つと言うことは、その人に合わせた人間関係を構築していかなければならない。
テンプレートにハマってくれない相手の思考は未知との遭遇であり、価値観の擦り合わせをしていく手間と時間がかかる。
要は愛がなければ続かない。
それが友情や恋愛感情かは別にしても、愛が無ければ関わりを維持していくことなんてできない。
3人のキリストにとって、自身がキリストだと主張することはアイデンティティに近い感覚だと感じた。
自分が何者かも分からない若者がいるのに、自分はキリストだ!今朝は生まれ変わって新しい体でここにいる!とか言えるのはある意味で鋼のメンタルをしている。
鋼のメンタルとは裏を返せば鋼の檻だ。
檻の中にいろ!と磔にするか。
自分で檻から出ておいでと鍵を開けておくか。
人を観る角度やアプローチの仕方でこんなにも信頼感が深まるとは驚きである。
自分もレッテルを貼って人と付き合うことが多い。
味方を変えることができれば、未知を知ることができれば自分は今より少しは優しい人間になれるのかもしれない。
うまくまとまらないが、救いのある物語。