「正しく怒る」夜明けまでバス停で かぜさんの映画レビュー(感想・評価)
正しく怒る
映画を見終わって、高橋伴明監督の弁を読んだ。監督は怒りを原動力に映画を撮り続けてきたが、ある時期から怒ることをやめてしまった。でも世の中はどんどんおかしくなるばかり、ここらでちゃんと怒ろうと思ったという。そうなのだ、この映画は、「正しく怒ることは何なのか?」を考えさせられる映画だった。その昔、フレッド・ジンネマンの「ジュリア」(1977年)のラスト、ジェーン・フォンダ演ずるリリアン・ヘルマンが、ナチス政権下のベルリンで、レジスタンス活動をするジュリアと涙の再会をする。片足を失ったジュリアの姿に怒りの感情をおさえきれないリリアンに「今でも昔のようにそうやって怒ってるの?」と聞くと、「そうなの抑えようと思うんだけど」と言うと、ジュリアは「I like your anger.」と応える。
人間は喜怒哀楽を失ったらおしまいだ。人間は、本当につらい思いをすると少しずつ感情を出せなくなる。本当につらいのだ。
怒るのと、キレるのは違う。人を責めるのと怒るのも違う。今のワイドショーでコメンテーターは、正しく怒っているのか?色々と考えさせられる映画だ。
土地勘があった場所で起きた事件を題材にした映画だったので、見る前は暗い印象が拭えなかったが、実際見たら予想外に救われる映画だった。そう言えば「火口のふたり」もそうでした。
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