「日本でも考え方の違いはあっても同趣旨な批評が該当する内容。」愛する人に伝える言葉 yukispicaさんの映画レビュー(感想・評価)
日本でも考え方の違いはあっても同趣旨な批評が該当する内容。
今年293本目(合計568本目/今月(2022年10月度)7本目)。
すい臓がんだったか、末期と診断された人とその家族・友人を取り巻く物語です。
フランス映画といえば恋愛ものを全面に押し出した映画が一定数見られますが、そうではなくて余韻を残して「あなたならどう考えますか?」というところで終わるのが特徴かな…というところです(映画内でとられた方法は、方法の1つに過ぎない)。
日本では最近まで、いわゆる「末期のがん」の本人告知は本人に対して告知することを積極的に避けていた事情があります。医学的に治療法がなかった(少なかった)ということもあれば、「安らかに最期を迎えてほしい」という考え方などが背景にありました。
一方で映画内でも、日本でも、「患者が自己の病気を知って、自己の責任のもと、医師と相談して自身の考える最良の選択肢を選ぶ権利」(いわゆる、インフォームドコンセント、の考え方)は、ここ20年くらいで進み、日本ではよほど現在でも高齢者(80~)でもなければ、この考え方は妥当しているのではないか…と思います。
この観点では日本の旧態依然とした考え方がアメリカ等の「ごく一般的な考え方」に近づいたことは周知の事実であり、そのことは今では一般常識扱いなので、共感は得やすい一方で、逆に制度の差はあってもこの「本人に直接知らせる」ということが当たり前になったのが一般的になってきた今日においては、あまり「差異」は考えにくい(フランス特有のお話はまり出てこない)という部分は確かにあります。
今週は3連休でもありいろいろな作品が目白押しですが、「ゆっくりみて、自分が当事者、あるいは親がそうなったらどうするだろうか?」ということを考えられる点で好印象かな…というところです。決して「派手な」映画ではないですが、迷ったら推せる一作です。
採点対象での減点対象はとくにないのでフルスコアにしています。