「下手なハリウッド映画と違い、安易なハッピーエンドのお涙頂戴ものにしないところがフランス映画たるところだ。」愛する人に伝える言葉 jollyjokerさんの映画レビュー(感想・評価)
下手なハリウッド映画と違い、安易なハッピーエンドのお涙頂戴ものにしないところがフランス映画たるところだ。
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病気はその人のせいではなくたまたま罹患しただけであること。
事実を隠さず嘘をつかずに治療(生)に向き合うこと。
患者に「死」を許可して穏やかに逝かせること。
ひと昔前のがん闘病は、病名や余命を患者本人に告げず、ただ「がんばれ」と無理強いしていたが、現在では医療の進歩で告知の方針が一般的となっている。
作中では院内で医師と看護師らのミーティングや音楽セラピー、医師と患者との精神的なつながりやサポート体制も描かれており、「死」は「どのように生きるか」ということでもあり、それを誠実にとらえている。原題De son vivant は英語でDuring his life(英語タイトルはPeaceful)であり、「死」は日常の延長にあるという哲学にも共感した。
看護師ユージェニーとあんなこと!?というシーンもあるが、心の平穏と安心感にはスキンシップが大切であるということだろう。
バンジャマンが演劇の教師であるという設定も、自身の感情を出し切るという、死に向かう葛藤と重なり良かった。ただし、「怖がるな」と生徒にゲキを飛ばすものの、本人がそれを実行するには時間を要する。このあたりのリアリズムも上手いと思った。
これは不要では?と思われるシーンがいくつかあり、説明が最小限な点もフランス映画ならでは。「ピアニスト」で一躍注目を浴びたブノワ・マジメルが年齢相応の演技でカトリーヌ・ドヌーヴを圧倒し、エデ医師を演じたカブリエル・サラの人柄にも感銘を受けた。
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