「地域の風景の静止画カットは好み」向田理髪店 菜野 灯さんの映画レビュー(感想・評価)
地域の風景の静止画カットは好み
高橋克実、初主演ということで、観るからにいい人。表情すべてがいい人。なので、最初から最後までずっとほのぼのした感触なんだろうなと安心感がある。
テーマは、世代間対立と融和。理髪店を継いだ父親と、さらに継ごうとしてUターンしてきた息子。だが、理髪店を継ぐことだけが継承ではないような、その精神なり生き方、仲間を大切にする生き方は継承されていると感じた。
地域を少々美化しているところは否めない。あのような塩梅よく友達が複数いればたのしいだろうけれど、現実には孤独な世帯の方が多いような感覚がする。この映画を見ると、地方のバーや飲み屋って友達つくりに役に立っているんだろうなと思ってしまうけれど、そういうところでたのしめるおじさん、おばさんは一握り。昔ながら、小中高時代の友達が近くにいて、その友達とうまくやっているひとにとっては、地方は居心地がいいかもしれない。
確かに、東京、大阪等の都会に出てしまうと、地域の絆を感じるのは難しい(何かしらの行事等に参加している人は別だけどそういう人はまれだろうし)。
とにかく、ほのぼのとした脚本と映像でした。ところどころに風景の静止画カットがはさまるのもいい感じだったし、好みだった。サントラはもう少し生音ギターを効かしたような感じのフォーク系も合っていたようにも思う。
あと、この映画の観たいと思ったひとつは板尾創路が友達役で出ているから。ちょいワル親父な感じで、実際あんな感じのおっさんが居そうでリアル。
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