「命令を自己判断し拒否できる組織がIMF」ミッション:インポッシブル デッドレコニング PART ONE Moiさんの映画レビュー(感想・評価)
命令を自己判断し拒否できる組織がIMF
感想
本作での世界がおかれている状況とは?
謎の「それ」entityは多重人格的要素を持ち、ある時はコンピュータウイルスになり、マルウェアやボットネットになり得る。あらゆる情報に接触しそれを操作する事ができる。一度entityに取り込まれた保存データは書き換えられ情報的に信用は全く出来ないものとなってしまう。さらに世界中の情報機関のクラウドに侵入し各組織のアクティブAIを乗っ取り、また別のクラウドの中に消え去る。気付かれないまま汚染されたデータを元にニュースやSNSが形成され世界に拡散していく。fakeがさらに新しいfakeを産み出し何が正しい事なのかも判断出来なくなる。そこに本当の真実というものは全く存在しないー。
entity自体が知覚能力を持ち、我がもの顔でクラウド内を渡り歩き、様々な政府の重要機関システムに侵入を繰り返しあらゆる人的交流、信頼関係、金融被害などの損害を発生させている。世界のインフラを含めた全てのシステムを意のままに操り「世界の情報ネットワーク」所謂、世界の本当の真実を知ることができる脅威の存在となっている。全世界の情報機関は相互システムを遮断しクラウドデータセンターの汚染を恐れ全情報を紙面へ移行する作業を行っている。
entityの目的は国家間の信頼喪失、疑心暗鬼を煽り不安を増加させる事である。それが何者なのかその正体に迫れる唯一の存在がロシアが追っている十字架型の2本の鍵である。用途は全く不明。しかしentityのパワーを奪うものの様でロシアはentityを支配し利用したいと考えている。ロシア以外にも世界中でその2本の鍵の争奪戦が始まっていて、各国の目的はentityを抹殺するのではなく自国の利益の為に兵器化し世界に優位性を保って君臨する絶対的支配体制の樹立を考えているという。
そのような状況下において国家機密級の扱いである大統領直轄組織IMFに鍵を奪取する下命が伝言されイーサン・ハントとそのチーム(ルーサー、ベンジー)が動き出す。2本の鍵の内1本を既に取得したとされるイルザ・ファウストとのコンタクトを皮切りにentityの正体に迫っていくIMFの活躍が描かれる。
脚本・演出・配役◎
シリーズ最大の謎解きが展開されるアクションとサスペンス満載の2本立て構成の1本目。前編として片時も目を離せない展開で鍵はバイナリ実行前のプログラミング言語を導き出す物である設定など脚本的にもよく練られている。クリストファー・マッカリーは演出も冴えていて◎。
トム・クルーズの文字通り身体を張った素晴らしいスタントにため息と大丈夫なのか?という心配が常に込み上げる。IMFチームズ(ビング・レイムス、サイモン・ペグ)も変わらず燻し銀の演技。
毎度エキサイティング過ぎる映像が目白押しで近年のCG映像技術の向上も大したものだと何気なく想っている妙に冷静で白けてる自己が嫌だと感じる。シリーズとしてファイナル・レコニングが完結編なので結論を出すのはまだ早いが、本作を除くミッション・インポッシブル6作品の中ではフォールアウトが個人的に一番好きである。
2025年5月23日のファイナル・レコニングの公開が待ち遠しい限りである。
IMAX鑑賞
⭐️4.5