ヴィレッジのレビュー・感想・評価
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展開がお約束過ぎるが
地方部落の慣習と地元権力者、産廃業と暴力団、恵まれぬ生い立ち....邦画デイアンドナイトの空気を感じる、クラクラするような設定で一気に入り込んだが、あまりにも展開が悪い方へのお約束過ぎ狙い過ぎで、途中で苦笑い。その上、救いの無い終劇にどんより気分で劇場を出た。
しかもこの時代、記述冒頭のような設定はまだ残ってるのだろうか?と疑問。かなりニッチ、マイノリティな事じゃないか?なんらかの警笛なのかもしれないが、真実味や現実味が薄く、しかもチープなドラマチック感は昼ドラを想像したw
まあ、傑作だったデイアンドナイトもそうだったがw
横浜流星の役者レベルが上がった事は間違いないが、この路線を続けた方が良い。間違ってもラブコメや漫画原作物に行かない事だw
人はなぜ、人を追い込み追い詰めるのか。 人はなぜ、不正を不正と知ってそれに手を染めるのか。 人はなぜ、かくも憐れな生き物なのか。
霧に煙る山間部の村に異彩を放つゴミ処理施設。
この村にはかつて、伝統芸能として「能」が息ずいていて、子供の頃から能に親しんでいた者も少なくないようだ。
この映画は、過疎の村、産廃不法処理、環境破壊、メンタルヘルスケア、ハラスメント、偏見と村八分…世の中に存在するあらゆる理不尽を素材に織り込んだスリラー映画だ。
そして、藤井道人監督の仕立て方は極めて巧みだった。
閉鎖的なムラの中にいて、主人公の青年優(横浜流星)は、己を殺すようにして生活している。
職場であるゴミ処理場で明らかないじめを受け、ヤクザが絡む闇の仕事にも命じられるがまま従っている。パチンコに浸って借金を負っている自堕落な母親(西田尚美)との二人暮らしだ。
映画の序盤は、二枚目横浜流星がその眼から輝きを消し去って、陰鬱で活力のない不気味な青年を演じてみせる。
小さな村で、彼と母親がなぜこのような生活をしているのか、能の舞台とそれに見入る少年の映像に、常軌を逸した男が家に火を放つ映像が挿入されるイントロのシークェンスがヒントとなる。
東京から村に戻ってきた幼馴染みの美咲(黒木華)と、最初は拒否していた優が交流を再開することで、物語は動き出す。
彼女が問題を抱えて故郷に戻ったことは、登場場面から示唆されている。たが、村営(と思われる)ゴミ処理施設に就職した美咲は意外と明るく、周囲に受け入れられて広報に従事する。
優を施設の案内係に起用する彼女の案に経営者である村長(古田新太)が賛同し、優は大きな転機をむかえる。新たな役割を得た彼はポテンシャルを発揮し、寵児となっていく。
この中盤での横浜流星は、単に明るさを取り戻しただけではなく、勢いに流される不安なのか、自分と同様に訳ありの同僚たちに対する後ろめたさなのか、負の空気感を微かに醸し出す。
村長の息子(一ノ瀬ワタル)の行動が事件へと発展し、危機に瀕した優は悪戦苦闘する。
この終盤がスリラーのメインステージで、身体も精神状態も激しく揺さぶられる優を“動”に転じた演技で表現して、横浜流星は益々冴える。
優の行動を付かず離れず観察している美咲の弟恵一(作間龍斗)の存在(視線)が、この映画をスリラーとして成立させる重要な役割になっている。自閉症的な彼の眼は、物語のごく始めの時点から優に焦点が絞られていた。
そして、この恵一を御し易い相手だと考えた優の判断ミスが、最終的に破滅への引導となるのだ。
他にも、いくつかのアイテムがスリラーとしての雰囲気を盛り上げる。
「能」と演目「邯鄲(カンタン)」と「能面」。
「ゴミ投棄場」とそこに空いた「穴」。
近年のサスペンス映画はショック描写に頼りがちだが、本作はスリル描写に力点が置かれていて、我々観客は主人公が外堀を埋められていく過程を目撃することで、主人公と同じように追い詰められていく。
丁寧な演出に個性的な俳優陣が的確に呼応していて、見事なコラボが成立している。
メインキャストの横浜流星、黒木華、古田新太の3人が強力に牽引しているが、他のキャストも印象的だ。
一ノ瀬ワタルの、憎まれ役を一身に引き受けた堂々たる悪役ぶり。
優がゴミ処理場で虐待を受ける様子を見て、自分なら耐えられないと言っていた同僚の若者を演じた奥平大兼。
優が施設の案内係となって現場を離れると彼が次のターゲットとなるが、か細く笑いながら「順番がきただけ」と言って耐えていた。悲惨な運命に襲われた彼が、最後に優に向けた視線が憐れで、胸につかえる。
村長の母親を演じた木野花。
老婆の特殊メイクが強烈だった。
無言で息子に圧力をかける存在感はさすがだ。
誰よりも優と美咲のことを身近に思っている、刑事であり村長の弟でもある中村獅童。村の闇の部分を知っていて嫌悪している。
かつては子供たちに能の舞を教えていた。ここは歌舞伎役者の本領発揮といったところ。
優に疑惑を抱いてからの悲しげな眼差し。強面でありながら、優しさを醸し出す。
実在する村かと見紛うほど、山間部でのロケーションを見事なアングルで切り取ったカメラワーク。
最後の炎上シーンの圧倒的迫力。
そして、社会の理不尽に翻弄された不幸な若者に成りきって、その怒りや焦りを身体から、声から、視線からにじみ出すように演じた、やはり横浜流星だろう。
ラストシーンの彼の表情は、私の心臓を掴んで離そうとしない。
タイトルなし
他の作品でもだけど主人公が喋らない作品は苦手。設定上しかたないんだけど辛気臭すぎる。中盤辺りから喋ってくれるように成ってホッとしていたらドンドン負へと転がり落ちていき、かなり後味の悪い結末を迎えてしまう。きっと転落から抜け出す機会は有ったはずなんだけど自分が同じ立場だったらどうだったろうなんて事を考えてしまう。田舎に関わらず生きていれば他人に流されて不本意な方向に進んでしまう事なんて、いくらでも有るだろうから思った以上に他人事じゃない作品に感じた。
村の風景に見覚えが有るなと思っていたら昨年のゴールデンウィークに観光で行った所。もしかしたら屋根裏部屋みたいな形をしたヒロインの部屋にも入ったと思う。あの辺りに車を停めたな~なんて思いながら観る事ができて楽しめた。
流星くんと華ちゃんの恋だけが救いだった
弟は見た。
潔いタイトルだけど、ここに引っ張られてストーリーの核心がブレた気がする。
小さな村で殺人犯の息子として生きる青年。犯罪行為が行われている村の巨大ゴミ処理施設。やがて呪いのように狂いだし、暴走してゆく人々。興味深い内容だけど、何かと粗い。そもそもあの母子がなぜ村に留まってるのかが疑問過ぎる。普通はあの時点で出るよね。それに何の観光資源もない狭い村がテレビで紹介されたからってあんな人気スポットになるのも流石に無理がある。
ただ能面に関しては私はこの使い方はうまいと思った。欲と罪にまみれた閉鎖的な村。誰もが持ってる二面性をあの不気味な面で隠すように生きる村人。誰にも悟られないように。やっぱ最後のワンショットは能面着けててほしかった。むしろ振り返った瞬間着けてないんかーいってなった。
キャストも豪華ですが、なんといっても木野花がすごい存在感!最初あれ?木野花?いや、違うよな…え?やっぱ木野花?!ってなった。
村社会をリアルに描いた、渾身の作品に感動!
主演の横浜流星さんの演技が胸に刺さりました。
これまで見たことのない横浜流星さんを見ることができた事。藤井道人監督の脚本は、村社会の根本的な課題を生み出してくれた。
スターサンズのプロデューサーの舞台挨拶は、面白く楽しかった。
何度も、観たい映画です。
視点・力点・作用点
爽やかさを完全に封印してる演技に脱帽。
PG12も付いてるし、予告もちょっと怖そうかなと思いつつも、藤井監督の最新作ということで観てきた。
予想してたほど怖くはなくてよかった。
横浜流星さんすごいなって、改めて。
最底辺から一度成り上がって、再び壊れていく主人公の表現が見事すぎだった。テレビに出始めた頃の優のところはすごい爽やかな横浜さんに戻ってて、今更すぎるけどこの爽やかさをここまで完全に消してたんだなって気づいて、すごいなってなった。
オールスターキャストで見応えたっぷりだったし、終始暗いんだけど観賞後感は悪くなかったし、私はエンタメ映画としてかなり楽しめた。
私は後輩感を体現してた奥平大兼くんがよかったなぁ、応援したい俳優さんの1人になった。
藤井監督は今後に期待です!!
俳優の熱量ハンパない
とにかく大スクリーンで観る映画
今迄観たことのない、横浜流星さんがスクリーンの中に居た。横浜さんの表情の変化から発せられる、哀しみや歓び、怒りや戸惑い…優(主人公)のあらゆる感情から目が離せないまま、物語のラストまでノンストップで見続けられる。
物語は、世の中の正解とは一体何なのか…觀る側の私たちに突きつけたまま、これでもかと感情のひだを揺さぶるような事が起こってくる。
観終わったとき、言葉では言い表せない涙が止まらなくなってトイレに駆け込み、声を殺して泣いた。
優にとっての正解は何だったのか、、その答えを探したくてなのか、自分の中での正義を確かめたいからなのか、わからないまま、観終わると、また直ぐに観たくなる作品だ。長く時間をかけて、沢山の人に届いてほしい作品。
出演者が誰だとか、そういうことは一旦抜きにして、一度、藤井道人ワールドの、あの世界観に浸ってみてほしい。
ちょっと秀逸な2サス、最後まで行く序章!?
暴力を暴力で返すことでしか正義が成りたたない世界
理不尽と暴力と欺瞞に満ちた村長とその息子。
ふたりが運営する廃棄物処理工場の不法投棄。そして裏に潜む反社組織、
正義は「クズ」どもに対抗できるのだろうか?
いや、従業員の主人公とその恋人の愛の絆をもってしても、正義が勝てない。
暴力を暴力で返すことでしか正義が成りたたない世界。
本作の救いのない哀しみはそこにある。
まともに生きていこうとすることを阻止する、腐りきった村の慣習。
まともな伝統は薪能だけ。
およそ常識など通用する余地などない。
横浜流星は、救いのない哀しみの、とても微妙な部分を見事に表現。
黒木華も、表情だけで複雑な感情を縦横無尽に操る。
はかない正義を冷酷に打ち砕く、古田新太、一ノ瀬ワタル、杉本哲太の圧倒的な「クズ」ぶりに声を失う。
希望に変わることのない絶望から逃れるには、村を出るしかない。
そして何があろうと村に戻ってはいけない。
最後まで、救いのない哀しみが消えることがない圧巻のサスペンス劇。
田舎は都会の人向けの老人介護施設とゴミ処理場ばかり
田舎の村社会に住むなら基本同調しながらしか生きていけないという全体的なストーリーは嫌いじゃない映画だったが、トオルの現実的じゃない演出にちょっとうんざり
もうちょっと影で陰湿ないじめな方が現実味があったかも…
横浜流星は役者としては悪くはないと思ったが、流浪の月とこれしか見てないがなんかすっかりこの手のキャラが定着した感じで機会があったら全く違う役の映画も観てみたいと思った
守るべきものとは何なのか
村社会の中で何かを守りながら生活していくイメージは容易に想像できるが、実際には自分が必死にしがみついているのではないだろうか。この作品が何を言いたかったのかはボンヤリとしていて、観客に解釈を委ねられているようだが、人間の身勝手さと臆病さの輪郭ははっきりと描かれていた。
能の演目を通して人生は一瞬の夢幻のようなもの、と言いたかったようだが、それを語るには過酷過ぎる人生描写。産廃処理場と古典芸能の共存する村は無理がある感は否めない。
横浜流星がこの後どんな役者になっていくのかはとても楽しみだ。
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