「女優のんの復調は喜ばしいが」天間荘の三姉妹 高森 郁哉さんの映画レビュー(感想・評価)
女優のんの復調は喜ばしいが
NHK朝ドラ「あまちゃん」で一躍メジャー女優の仲間入りを果たした能年玲奈=のんが、やはり東日本大震災と被災者らの“心の復興”をテーマにした「天間荘の三姉妹」の主役にキャスティングされたのは、確かに理にかなっているとは思う。
かつて大手事務所から独立した際のトラブルで、本名で芸能活動ができなくなったのを皮切りに、テレビ・映画業界から半ば干されてしまい、理不尽な仕打ちを受けてきた彼女だが、映画に限って言えば、今年は監督・脚本も兼ねた「Ribbon」、まだ記憶に新しい「さかなのこ」そして本作と、なんと主演作が3本。あとは民放でドラマ主演を果たしたら、完全復活と言えるだろうか。
ただまあ、近作でキャラクターにしっかりはまっていた「さかなのこ」「私をくいとめて」に比べると、演技なのか演出なのか、彼女の持ち味と演じる人物の相性が微妙にずれているように思った。
アクション作品が多い北村龍平監督が、ファンタジー要素を含む“感動作”のメガホンをとるとは意外な気もしたが、原作の本家にあたる漫画「スカイハイ」の実写化ドラマと劇場版でも演出・監督をした縁からだろうか。この内容で2時間半は冗長で、2時間以内に収めてほしかった。
原作の事は全く知らず観に行きました。とても素晴らしい仕上がりの映画で、知らないうちに涙がこぼれ、何度もタオルで顔を拭う事になってしまいました。
誤解を恐れずに言うと、やはり能年玲奈さんは、能年玲奈さんであって、震災について、被災地の人達の感情というものへの思い入れが深いことから、単なる演技ではなく、本当にその本人に成り代わってスクリーンに出てきているように思える。これは単に私自身が一被災者だからだけなのでしょうか?うがった見方なのでしょうか?
皆さんもこの素晴らしい映画を素直な気持ちで観てみる事をおすすめします。