「神々の山嶺を見て感じたこと」神々の山嶺(いただき) コショワイさんの映画レビュー(感想・評価)
神々の山嶺を見て感じたこと
1 過酷な条件のもと、生死をかけて登攀に挑んだ登山家の物語。
2 垂直に切り立った果てない氷壁。ピッケルとアイゼンで登っていくさまをロングで捉えた絵は、あたかも白い巨人に取り付こうとしている小さな生き物のように見えてくる。巨人が身震いすればあるいは突風が吹けば、落ちてしまう。
誰もが単独登攀をなし得ていない冬山で初めて成功したのならば、名声が永遠に記録され、多くのスポンサーも付いてくる。
3 単独登攀の成功を裏付けるには目撃情報が必要となる。主人公はザイルで繋がったペアを設けたりカメラマンを同行させている。
この映画では、一人の登山家の生き様を描くと同時に、かつて単独登攀に挑んだものの長らく不明であったその成否の謎解きも加わった。
4 主人公は実在した登山家をモデルとされている。全体を通すと彼の山での登攀シ−ンの緊迫感は優れているが、主人公の人となりや行動には共感し難く、観客の感動には繋がってはいない。カメラマンの体調を気付かい戻らせたために、彼の単独登攀の成否を証明することもできなくなった。
5 謎解きの要因となったカメラが遺体と共に主人公が見つけたが、経年にも関わらず雪に埋もれることなく雪の表面にあったことに違和感を覚える。また、そのカメラを主人公が持ち帰り、結果的にカメラマンが譲り受け、フィルムを現像するのも現実離れしている。
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