「そこに山があるから。」神々の山嶺(いただき) せつこんさんの映画レビュー(感想・評価)
そこに山があるから。
人類初のエベレスト登頂の途中に行方不明になった登山家マロニーのカメラを羽生という登山家が持っているのを目撃したカメラマンが、羽生について調べ共にエベレストアタックする話。
元々日本の小説で漫画化、実写映画化もされていた「神々の山嶺」を今度はフランスでアニメ化。なので、日本の街の様子や、日本人の描写が外国の人から見た日本的な雰囲気で新鮮だった。舞台が60,70年代(?)なので再現度は分からないけど、最近の日本アニメの「どう!?本物そのままでしょ!?」感じゃない、手書き感がこの時代に合ってるなと思った。
看板に文字いっぱいネオン街とか日本ド直球すぎて逆にあんま見たことないなと思った。そしてやっぱり海外の人から見たらアジア圏って顔が薄いんだなと(笑)もうちょっと日本人でも顔の凹凸と目あるよ〜と思った。
そして、「人はなぜ山に登るのか?」という問いの答えの一端を垣間見る話でもある。前人未到の記録に挑戦して名声を上げたいからか、山頂の絶景をひと目見るためか、それとも自分の命を救いそして先に死んで行った者たちへの罪滅ぼしか。結局なんとも言えないからこそ、「そこに山があるから」ってめっちゃベストな回答なんだなと思った。
カメラマン深町が共にエベレストを挑戦する時羽生の足跡を辿っていくという描写が、深町が羽生の半生を調査して辿っていくことと重なる。羽生の姿は遠くにチラッと見えるだけで、一瞬近づいたと思えばすぐに離れて行き、結局最後まで見届けることが出来ない。羽生の全ても人がなぜ山を登るのかも分からなかった、分からなかったからこそ深町は今後も山を登るラストなんだろうなと思った。