「日本の文化の素晴らしさを外国人の方が知っている?のが複雑な心境」神々の山嶺(いただき) スキーヤーさんの映画レビュー(感想・評価)
日本の文化の素晴らしさを外国人の方が知っている?のが複雑な心境
通常スクリーンで鑑賞。
原作が執筆され文庫本で刊行されたばかりの頃に小説で読みました。
著者である夢枕獏さんの大ファンであります。
見に行って良かったです、映画館まで少し足を延ばさねばなりませんでしたが。
漢とロマンの物語です。
最初に断りたいのはこの映画に色々ダメ出ししたい点はありますが(後で書きます)、
素晴らしい原作に絵と声をつけてもらい、原作の息づかいを感じさせるこの映画を製作したフランスのスタッフに賛辞を送ります。
よって★5にさせて頂きます。(個人の趣味万歳)
まず背景が素晴らしい、CGとかそうでないとか解りませんが、山が生きてました。
人物は無骨な絵ですがそれがこの物語にピッタリ当てはまってました。
風景などはアルプスの少女ハイジ?
人物と映画全体の重厚感はあしたのジョー(一期)?
そして、吹替でしょうか?羽生の声を大塚さんがやってくれて本当に素晴らしかった、登頂の途中で立ち止まって息継ぎする声とか、もうなんかリアリティのかたまりでした。
そしてゴーグルの奥にときおり透けて見える羽生と深瀬の眼が生きてるんです。
その他、特筆するところを上げたら一杯あります。
とはいえ、私が読んでからおよそ15年位経っていて、細かい点は覚えていない事もあり、おぼろな記憶ですが、最後に深町がつづる最大のシーンが抜けてませんか?最後のドラマ。私の記憶が確かならクライマックスが書かれてないような気がするんですが?間違っていたらすみません(この後もう一度原作読みたいと思ってます)。
分厚い文庫本の上下巻、しかも壮大な物語をこの時間の尺に収めるのは無理があったでしょう。
表題で書きましたが、この素晴らしい物語を日本で見とられず、フランスで作品にしてもらえた事に複雑な心境です。
賛否両論があっていいと思いますのでできるだけ多くの人に一度見てもらいたいと思う作品です(上映館少ないですよね)、この作品に今の日本のアニメが忘れさった大事な物があるように感じます。
IMAXでこの絵を見てみたいと思ったのは私だけでしょうか(映像的にできるのか知りませんが)?
ここからは本編と関連が薄い後書きみたいな物なので、読まなくてもOKです。
夢枕獏さんといえば陰陽師などで有名だと思いますが、私は陰陽師は好み的に下の方です。
最初に読み始めたのは「ねこひきのオルオラネ」からです。サイコダイバーシリーズやキマイラ(今のVFX技術で製作したら、すごい映像になると思うんですが)などが好きで、陰陽師以外にも沢山良い作品があると思います。アニメでも実写でもVFXでも良いです、埋もれてる良作の映像化をぜひ日本でも作ってほしいと思います。
ついつい長くなってしまいました、最後まで読んでいただいた方ありがとうございました。
日本文化を非常に表現できていた作品でした。
このアニメの原作をマンガ化した谷口ジローがフランス人作家とコラボした作品も、アパートや小物が日本そのものですごくよくできていた記憶があります。