なまず

劇場公開日:

なまず

解説

韓国インディーズ映画界で注目を集める新鋭イ・オクソプの長編初監督作で、ある女性看護師の周囲で起こる奇妙な人間模様をポップな映像でブラックユーモアたっぷりに描いた恋愛群像劇。ソウル郊外の病院で、1枚の恥ずかしいレントゲン写真が流出する騒ぎが起こる。看護師のユニョンは、その写真が自分と恋人ソンウォンを写したものだと誤解。イ副院長は写真の主をユニョンと決めつけ、彼女に自宅待機を命じる。同じ頃、韓国各地で巨大な穴が出現する怪現象が発生。無職だったソンウォンは埋め戻し工事の職を得るが、仕事中に大切な指輪を紛失してしまう。ソンウォンは同僚を疑い、ユニョンはソンウォンが嘘をついているのではないかと考える。病院の水槽では、そんなゴタゴタを1匹のなまずが見つめていた。ドラマ「梨泰院クラス」のイ・ジュヨンが看護師ユニョン、本作では製作・脚本・編集も務めるク・ギョファンが恋人ソンウォン、「オアシス」のムン・ソリが病院の副院長を演じる。

2018年製作/89分/G/韓国
原題または英題:Maggie
配給:JAIHO
劇場公開日:2022年7月29日

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映画レビュー

4.0「人権」のお題で作られた不思議系青春ドラマ。これが商業デビュー作のイ・オクソプ監督はKY、それとも天才?

2022年7月31日
Androidアプリから投稿
鑑賞方法:試写会

笑える

悲しい

とある病院を舞台に、レントゲン室での恋人との行為が写ったX線写真を流出させたとおぼしき放射線技師、無職の恋人ソンウォンと同棲している看護師ユニョン、病院長の娘で人間不信のイ副院長とゆるやかに視点が移るが、穏やかな女声のナレーション(のちに病室の水槽で飼われているなまずの心の声だと判明)による情報も相まって、ほどなくユニョンとソンウォンを中心とする物語だとわかってくる。大病院からユニョンとイ副院長を除き人が消えてしまったり、韓国各地の地表に巨大な陥没穴=シンクホールが発生したりといった不条理な事象をはさみつつも、登場人物らが身近な人を疑うことで派生する出来事や、問題に直面しながらも各自のやり方で対処しようとする姿が描かれ、オフビートとまではいかないがちょっと変わったリズムと、遊び心とブラックな面が絶妙にブレンドされたストーリーに引き込まれてしまう。

鑑賞後にプレス資料を読んで驚いたのだが、2010年代にいくつかの短編映画で注目されていたイ・オクソプ監督が、韓国の国家人権委員会から、人権に関する「重みと軽快さを併せ持つ映画」「青年(若者)」というお題で製作を依頼されたというのだ。言われてみれば確かに、人を疑うことから生じる苦悩や、仕事に就けないつらさ、恋人への暴力など、人権と結び付けて考えられなくもない要素がちりばめられてはいる。もし日本の監督が同じようなお題を与えられたら、真面目に受け止めてもっとシリアスな内容か、啓発効果が見込めるわかりやすい教訓を含む映画を作りそうな気がするが、イ・オクソプは空気を読まないのか、それとも常人離れした発想力を持つ天才なのか。

余談だが、ユニョン役のイ・ジュヨン、主演作「野球少女」を鑑賞した際は感じなかったのだが、本作ではあいみょんに顔が似ているとずっと思いながら観ていた。ググってみると、やはり「イ・ジュヨンとあいみょんは似ている説」を提唱している人はある程度いるようだ。

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高森 郁哉

4.0ユニークな語り口と発想力の虜になる!

2022年7月29日
PCから投稿

冒頭のレントゲン室で始まる不可思議な描写から鮮烈だ。ナレーションが繰り出す柔らかな口調とその背後で展開する突飛な映像の対比が面白くて、ものの数分でこの映画の地上数センチ浮かび上がったかのような浮遊感の虜になる。人のいなくなった病院内でヒロインを当てどなくさまよわせ、かと思えば、なまずの跳躍を機に街には人知を超えた穴(シンクホール)が空き始めるなど、本当にこの映画は何がどう転んでいくのかわからない。視点や意識もあちこちへ移り変わってストーリーは線形には進まないが、通底する主題はやはりあの言葉、「穴に落ちた時は掘り進めるのではなく、そこから抜け出すべし」。一つのことを気にしだすと、その不安や悩みが底無し沼のように深まってどうしようもなくなっていく。そんな誰の身にもひとつや二つ覚えのある心象模様を、時として観客をポカンと置き去りにしながらも、ユニークに織りなしたイ・オクソプ監督の今後が楽しみだ。

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共感した! 1件)
牛津厚信

2.0つまらん

2023年10月2日
iPhoneアプリから投稿
鑑賞方法:CS/BS/ケーブル

笑える

楽しい

単純

不思議な映画。こんなマイナーな韓国映画もあるんだな。

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ノブ様

2.0「なんだこりゃ?」という印象。

2023年6月21日
PCから投稿
鑑賞方法:CS/BS/ケーブル

「なんだこりゃ?」という印象。

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省二